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    週刊メールジャーナル 1999年10月13日号 第7号
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★経営譲渡の長銀破たん/失脚した則定検事長と長銀の関係に底知れぬ闇
★被曝者続出の臨界事故対策を賞賛するわが国原子力政策権威学者の誤謬
★玩具メーカー「タカラ」の親子喧嘩/長男社長を追い出し、弟を呼び戻す
★【政界ウォッチ】自民守旧派と創価学会の民意なき権力闘争が始まった
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経営譲渡の日本長期信用銀行・破綻の原因検証は終わってない(最終回)
失脚した則定検事長と長銀の関係に底知れぬ闇/経済ジャーナリスト中野忠良

 最近分かったことだが、長銀がイ・アイ・イへの融資担保として提供させて
いた高額絵画51点(ミレー、モネ、モディリアーニ、ユトリロなど)が暴落
し、簿価28億円の三分の一から4分の一で処分されていたという。
 長銀の粉飾決算、違法配当の前に、「ずさんな融資」があり、これは歴代頭
取たちの特別背任が追及される問題である。

      ◆パチンコ業者が則定検事長に罠を仕掛けた理由◆

 則定衛検事長の辞任は衝撃的だったが、女性スキャンダルで失脚させられた
地検ナンバーツーの実力者の辞職は“謎”につつまれている。
 まず第一に、則定検事長を銀座のクラブに接待し、ホステスをあてがい、飲
食費や旅行費用を出したのがパチンコ業者だったという奇怪さである。
 そのパチンコ業者は、業界のフィクサーと呼ばれ、数々の疑惑のある熊取谷
稔コスモイーシー社長だったという。
 熊取谷社長は、都知事選候補の国際政治学者舛添要一氏に1000万円の現
金を“ヤミ献金”して話題になった人物でもある。
 パチンコ業者がなぜ検察幹部を罠に嵌めて失脚を図ったかということが第一
の謎で、その目的はどこにあったかである。
 第二の謎は、則定検事長と長銀の関係である。
 則定検事長に罠を仕掛けたパチンコ業者のグループは、昨年12月払い込み
のイ・アイ・イの第三者割当増資に、パチスロ機大手のアルゼ(旧ユニバーサ
ル販売、岡田和生社長)が11億円を払い込んで大株主に収まっている。
 アルゼは経営不振の松竹と提携して全国に娯楽施設つきの映画館を展開しよ
うとして話題になっている。アルゼの岡田社長はパチンコ業界の大元締めとい
われる亀井静香(自民党政調会長)と特に親しい関係にあり、さきの熊取谷稔
氏との関係も深いといわれる。

      ◆亀井静香、平沢勝栄とパチンコ利権構造と長銀◆

 パチンコ業者が則定検事長の失脚を図ったのは、検察庁内にある派閥争いを
巧みに利用し、これ以上、長銀の捜査を旧経営陣に及ぼさないようにするため
だったのではないかという疑問である。
 長銀の旧経営陣の不正が追及されれば、イ・アイ・イばかりでなくパチンコ
業界と長銀の関係、さらに長銀と政界首脳部の関係が明らかにされるので、そ
れを食い止めるためだったのではないかという疑念である。
 パチンコ業界の“フィクサー”と呼ばれる熊取谷コスモイーシー社長は、N
TTの真藤亘総裁を利用して政界に食い込み、亀井政調会長や後藤田正晴元防
衛庁長官、平沢勝栄代議士らと深い関係を結んで、パチンコ業界の利権構造を
一手に収めているという。
 熊取谷氏ばかりでなく、アルゼの岡田社長が、松竹と業務提携、ゲームソフ
トメーカーの「セタ」やパチンコホールの設計、企画でトップ企業の「環デザ
イン」を買収、イ・アイ・イまで大株主になって経営支配を狙っているのは、
彼らに大いなる野望があるからだろう。
 上原隆元副頭取の自殺の背景には、底知れない闇が広がっている。

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【正論】被曝作業員続出による臨界終息を「事故対策能力備わる」と賞賛する
わが国原子力政策の権威・鈴木篤之教授の誤謬
                      佐賀大学 助教授 細川弘明
 10月5日付『読売新聞』「論点」欄に掲載された東京大学大学院教授の鈴
木篤之氏解説記事に――
 「臨界事故を終息させ、漏洩放射線を遮蔽するに当たっては、原子力安全委
員会の指揮の下、東海村にある日本原子力研究所や核燃料サイクル開発機構の
専門家たちの献身的協力があった。原子力事故というと欧米先進国に学ぶ時代
が長く続いたが、今回その必要がなかったことは、独自の事故対策能力が少し
ずつ備わり始めていることを暗示しているのではないか。」「事故を教訓とし
て前向きに生かすことが重要であるように思う。」とあるが、鈴木篤之教授に
是非ともお尋ねしたい。

■「献身的協力」は誰に向けるべき賛辞か

 今回、臨界を終息させる非常手段として、沈澱槽の周囲の冷却水をぬく作業
が指示され、18名の作業員(JCO社員)が10月1日の午前3時ころから
8時ころにかけて、様々な被曝労働を余儀無くされた。
 「献身的協力」というのは、かくも尋常ならざる危険な作業を遂行してくれ
た現場の方々に対してならばともかく、このような人的犠牲をともなう対処策
しか思いつくことができなかった「専門家」に向けるべき賛辞だろうか。
 中性子反射材として機能していた周辺の水を取り除けば、その瞬間、大量の
中性子がタンクの外に飛び出し、作業員が極めて危険なレベルの中性子を浴び
ることは、原研や核燃機構の「専門家」に分からないはずはない。明らかに、
作業員の被曝はやむを得ない、との判断にもとづいて、考案・指示された方策
だ。

■作業員18人の内1人が100%死亡の可能性

 報道されている被曝量にもとづき、上記の作業による集団被曝量とリスク
(ガン・白血病による死亡増加数)を試算すると、集団被曝量は約1.08人
シーベルト。これに伴う死のリスクは、広島放射線影響研究所のリスク評価基
準にもとづいて計算すると約0.13、これより厳しい評価基準を提唱する米
国の保健物理学者J.W.ゴフマン博士の想定にもとづいて計算すると、約
0.33〜0.43となる。
 ガンマ線量が不明、また、一番照射量の高かった時間帯のデータが公開され
ていない、などの理由により、この計算はあくまで暫定的な試算で、今後、時
系列ごとの詳細な被曝線量データが公開されれば、集団被曝量が2倍以上にな
る可能性もある、と私は認識している。
 ひらたく言えば、低く見積もっても、18人のうち1人が10%以上の確率
で死亡するという、恐ろしい被曝レベルではないか。完全な情報公開がなされ
た上で、ゴフマンの係数で計算すれば、18人のうち1人がほぼ100%の確
率で死亡(晩発死)するという結果になる可能性すらある。
 本当に、ほかの方法はなかったのだろうか。ほかの方法がなかったとすれ
ば、作業員に対し、作業の危険性の性質について説明したのだろうか?

■人的犠牲に依存した日本の核技術の未熟と限界

 米国連邦エネルギー省のロバートスン長官は、日本時間の同日未明に、米国
及びロシアの合同チームを救援に派遣する用意があると表明していた。両国は
軍事核施設における臨界事故に対処した経験があり、事故処理でロボットその
他の自動装置を使用した経験がある。今回の事故処理では欧米先進国に学ぶ必
要はなかった、と断言できるのか。
 日本の核技術は、ウラン採掘、燃料加工、輸送、原子力発電、核廃棄物の後
始末に至るすべての工程で、被曝を伴う労働にささえられている。ロボットで
すべて自動化することなど、夢物語だ。ましてや事故ともなれば、今回のよう
に、大量被曝という人的犠牲を伴う。
 いま私どもに問われているのは、鈴木氏の記事の結びにあるような「事故を
教訓として前向きに生かす」というような、これまで事故のたびに「専門家」
たちが繰り返し(そして実現されないできた)むなしい惰性的態度ではない。
放射線被曝者を出すことを前提とした技術と社会、犠牲に依存した技術と社会
のあり方を、いちから見直すことではないか。
(次週は、メーリングリストに投稿された鈴木篤之教授の回答を掲載します)

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【中野忠良の経済コラム】玩具メーカー「タカラ」の親子喧嘩
           オーナー会長が長男の社長を追い出し、弟を呼び戻す

 オーナー会長の社長復帰という“荒技”で会社再建中の玩具メーカーの老舗
「タカラ」が、2000年3月期決算で141億円の最終赤字を計上、上場以
来初の無配に転落することになった。
 今年6月父親の安藤安太会長の復帰で社長を退いた息子の安藤博久氏は、
94年の社長就任後、爆発的なヒット商品「リカちゃん人形」を売り出し、そ
の後も「「人生ゲーム」などがヒット、おもちゃ作りの天才と呼ばれてきた。
 博久前社長は、アミューズ関連やマルチメディアなど新しい分野の商品開発
を手がけ、社内ではリストラも実施、黒字経営を維持してきたのに、なぜ75
歳の老会長が社長に復帰、子会社に転出させられたのか不思議に思われてい
る。
 「多額の損失が隠れており、父親が敗戦処理をやっている」と社内幹部はか
ばっているが、どうもプライベートな問題まで噂が流れて、結局は親子の意見
が合わず、子供の方が身を退いたというのが真相のようだ。
 それがあらぬか、博久社長とソリが合わず3年前に辞めていった弟の慶太氏
を呼び戻すという動きがある。
 こうなると、親父と仲の悪い長男が追い出されて、親父の言いなりになる弟
を社長に呼び戻そうとすれば、博久社長についている古参社員も黙っていない
だろうし、お家騒動が始まると見る向きもある。

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【川崎明の政界ウォッチ】自民守旧派と創価学会の民意なき権力闘争が始まる
         ジャーナリスト 川崎 明(元・千代田生命広報部次長)

 昨年の参議院選で示された“民意”と、“自自公連立内閣”という永田町の
論理とは、到底つながっているようには見えない。
 普通の人はそう思うのだが、永田町ではそうではないのである。
 長引く経済の混乱に無策だった自民党。『結果』を出せずに沈没した橋龍政
権を反面教師として政権の座についた小渕派の人たち。彼らにとってこの内閣
は「仕事師」の内閣で「あり続けなくてはならなかった」のである。
 一見、うまくいっていそうに見える景気対策、経済政策。長い間の守旧派の
人たちの願望だった国旗・国歌法や通信傍受法、改正住民台帳法などの成立。
これらは、「改革」を掲げた橋龍政権を冷ややかに傍観していた、55年体制
を支えたことのある守旧派保守系の政治家をまとめるための必要条件だったの
である。
 こうして自自連立を運営してきた人々にとって、近づく総選挙対策としては
「結果」の更なる積み上げしか、選択肢として残されていなかったのである。
 このための必要条件が“自自連立”だった。
 このためには、先の通常国会での情報公開法の成立などに見られる、無原則
的な妥協すら辞さなかったのである。
 こうして発足した小渕連立第二次改造内閣だが、こうした成立までの経緯に
見られた姿。「真空総理」といわれる小渕首相の政治スタンスの政策協議の場
に臨んだ自由、公明両党の思惑とが絡み合って出来上がった玉虫色合意。こう
したものがこの内閣の本質と見るのは誤りである。
 政権与党として、ネクスト小渕を抱えていない小渕グループを、したたかな
計算で利用しようとする守旧派保守系グループ。これに対する、自らの現世利
益(りやく)は政権担当によってしか実現し得ないことを知る創価学会池田名
誉会長との権力闘争。これこそが、この連立改造内閣の本質なのである。
 池田名誉会長が提言する首相公選制にしろ、議院内閣制、小選挙区制にせ
よ、民主主義による国政の基本にあるのは“民意”でなければならない。
 民意の反映しない国政は、どのような形態にせよファシズムである。
 ところが、永田町の論理は、昨年の参議院選での「民意」を“自自公連立政
権”につなげてしまった。
 次の総選挙での敗退は、55年体制の“完全なる”崩壊を意味し、政権交替
可能な二大政党体制への政界再編のトリガーになることが分かっているからで
ある。
 政権にしがみつくことによってのみ現世利益を得られる守旧派政治家たち
は、“民意”の強迫観念症にとりつかれ、そのことが、現世利益の実現を目指
す池田名誉会長との野合を招いたといえよう。

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 週刊メールジャーナル 1999年10月13日号 第7号(水曜日発行)
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