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    週刊メールジャーナル 2000年1月5日号 第18号
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★マスコミが書かない「許永中」収監その後/政治家2人の実名が当局に判明
★ペイオフ延期決定の目的は、自民党代議士の地元選挙スポンサー保護対策だ
★中小企業金融公庫・1億2千万円不正融資問題と中小企業庁との癒着関係
★探偵・興信所研究8/通産大臣から“お墨付き”の東京商工リサーチ

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大マスコミが書かない「許永中」収監その後/政治家2人の実名が当局に判明
                     経済ジャーナリスト 山根次郎

 11月5日都内のホテルで身柄を確保され、6月大阪拘置所に収監されたイ
トマン事件の主犯・許永中被告(52)は、逃亡2年間、どこで、何をしてい
たか“謎”につつまれている。現在までのところ許被告は“完全黙秘”を続け
ているというが、逃亡中に許被告をかくまっていた金美佐子容疑者(38)が
逮捕、起訴され、金被告の供述で逃亡中に接触した人物が明らかにされつつあ
るという。
 12月5日深夜。台場のホテル・グランパシフィック・メリディアンで警視
庁に収監された時、許被告の持っていた携帯電話から、発信、着信の記録がメ
モリーされており、政治家2人、銀行家1人、証券会社員1人の名前が判明し
ている。
      ◆逃亡中に株の仕手戦や不動産売買も手掛ける◆

 許被告は逃亡中に株の仕手戦に参加したり、複数の不動産売買を手掛けてい
たといわれるが、中華料理レストランチェーンの「東天紅」(本社・東京都台
東区)、平林克哉社長)の株を買い占めていたという。東天紅は上野で「赤札
堂」を経営していた小泉一兵衛氏が創業した中華レストランで、全国に40店
舗のチェーンを展開、大阪一部市場に株式公開された上場企業である。
 現在の小泉グループが717万株を保有、筆頭株主であるが、11月に突
如、「上田夫美」なる女性が200万3000株を所有、安田信託銀行の
104万株を上回る第2位の株主におどり出た。関係者によると上田なる女性
は大阪北区曽根崎新地にある高級クラブ「A」のホステスで、許被告の愛人の
一人だということだ。
 いずれにせよ、許永中被告のバックにいる政治家や大企業が全く「おとがめ
なし」では、警察の信用は失墜するだろう。

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ペイオフ延期決定の目的は、自民党代議士の地元選挙スポンサー保護対策だ
失墜する邦銀格付けと国際金融市場からの信用  ジャーナリスト 川崎 明

 昨年末の29日夜、自自公3党の政策責任者が集まり「ペイオフ解禁」(銀
行や信組が潰れたら預金は1000万円までしか保証されなくなる)を、
2001年4月開始予定から1年間全面的に延長することに決めた。亀井政調
会長は「(解禁を)さらに延長するかは分からない」と、さらなる延長すら匂
わせている。これは、行政の流れをひっくり返す大問題だ。
 「ペイオフ解禁」は日本版ビッグバン(金融制度改革)の総仕上げであり、
事実上の国際公約だった。その延長のニュースを受けて、年明け早々、S&P
を始めとする国際格付会社などからは、邦銀の格付引き下げのメッセージが続
々と出はじめている。
 このような国際信用や金融市場でのデメリットを被っても、あえて犯さざる
をえなかった目的は総選挙対策だ。

●生保契約は自己責任、なぜ高額事業預金だけ保護か

 言うまでもなく、自民党代議士の地元スポンサーはゼネコン系列の地元土建
業者と信組などの地元金融機関であり、次の総選挙を考えた“背に腹代えられ
ない”選択肢だった。
 土建業者に対しては、2000年度予算案で公共事業費のバラまきを決めて
おり、地元金融業のオーナーたちには、経営責任先送りの安堵と引き換えに選
挙資金の提供を約束させたことになる。
 「金融システムの混乱防止」と「中小企業対策の万全化」と言うと聞こえは
良いが、経営に影響が出そうな一部信組の大口組合員は“地元の顔役”的オー
ナー経営者だちであり、彼らはバブル景気を演出した主役でもある。
 老後のためにコツコツと預金をしてきた高齢者等に、1000万円超の預金
者はきわめて少ないうえ、この人たちはとっくに郵貯や保険などに資金をシフ
トしている。
 1000万円超の事業預金の保護は、民間生命保険の契約者には、経営破た
んによる自己責任を取らせていることに比べても、明らかなアンバランスであ
る。
●大蔵出身政治家主導による露骨な政策介入

 この決定の主役はまたしても亀井静香自民党政調会長だった。
 亀井氏は「経済を安定軌道に乗せるには、一部金融機関の改善が必要」と言
うが、それは表向きであり、本音は「総選挙を有利に戦うため」であることは
見え見え。
 介護保険の政治介入で孤立した経験に懲りた亀井会長は、「ペイオフ延長」
には手の込んだ演出をした。
 信組、信金、第二地銀、地銀(都市銀行を除く)の各協会側から「延長」の
申し入れをさせ、金融業界の総意が「延長」であるという舞台づくりをした。
 しかも、そのお膳立てをするために、越智通雄金融再生委員長には「信組だ
けの延長論」を発言させ、さらに、それを引き金に相沢英之自民党金融問題調
査会長には「信組だけを外すのは具合が悪い」と言わせ、党内の大勢だった金
融改革論を抑え込むシナリオを演出したのだった。
 このような政治主導による政策介入は、かつて、バブルを産み出した政官業
トライアングルのアンシャンレジューム(旧体制)への復古主義であり、警戒
する必要がある。
 このことは、越智委員長、相沢会長のいずれも旧体制の大蔵官僚であり、護
送船団行政という業界保護の信奉者であることを見ても明らかである。彼らの
思想やこれまでの発言を十分承知しながらポストに就けた、小渕恵三首相(総
裁)の責任は重大である。(以下次号)

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中小企業金融公庫・1億2千万円不正融資問題と中小企業庁との癒着関係
指摘される同和系企業に弱い体質      経済ジャーナリスト 中野忠良

 政府系の金融機関の一つである中小企業金融公庫は、名前の通り中小流通向
けの融資比率の高い特殊法人である。それだけに、監督官庁である中小企業庁
との癒着が問題視されており、そこから不正融資疑惑も少なからず指摘されて
きた。その一つに、同和系企業への不可解な融資がある。
 氷山の一角として、元同和会最高顧問をつとめていた尾崎清光なる人物に対
する融資が関係者の証言で明らかになった。

◆同和団体代表に政治活動資金1億2千万円を融資

 高知県を活動舞台にしていた尾崎が、昭和53年に上京、東京で活動するに
当たって稲村左近四郎代議士(当時)の仲介で、中小企業金融公庫から1億
2000万円の融資を受けた。
 尾崎清光は、この金の返済が終わらないうちに59年1月30日、入院中の
東京女子医大のベッドで何者かに射殺された。
 生前の尾崎からこの金の返済を頼まれていた藤田鉱業の藤田昭次郎代表は、
60年8月15日、高知銀行田井支店において、額面1億円の小切手(高知銀
行で現金を用意できなかったため)で代理弁済を行った。
 ところが、平成9年4月、藤田代表は中小公庫から残金2000万円と利息
の支払いを要求されたことから、代理弁済で中小公庫への返済は終了している
として確認を求めたところ、意外な事実が判明した。
 藤田代表が高知銀行田井支店で支払った1億円は、中小公庫の代理業務をし
ている四国銀行で、楠本武雄1000万円、藤田昭次郎3000万円、藤田鉱
業6900万円の3口に分けて処理されていたのである。

◆「小切手受け取ってない」嘘の言明で不正融資隠し

 中小公庫が3口に分けて処理するには、当然、楠本、藤田両氏の了解なしに
はできないはずなのに、両氏には何らの連絡や断りもなく3口に分けて処理さ
れた。
 驚いた藤田代表が、平成9年12月上京して、公庫本店の亀山業務部長にた
だしたところ「そもそも小切手は受け取っていない」との返答を受け、二重の
ショックを受けた。
 その後、藤田代表は、中小公庫と監督官庁である中小企業庁に対して、1億
円の代理弁済と3口に分けて処理された理由の説明を求めたが、今日まで藤田
代表は「事実確認」すらできないままである。
 中小公庫は、藤田代表の代理弁済どころか、尾崎清光に対する1億2000
万円の融資そのものをなかったことにしようと証拠隠滅をはかろうと画策、必
要もないのに、わざわざ弁護士扱いにして、公庫と藤田代表の直接の接触を避
けている。
 さる12月17日上京した藤田代表は、中小企業庁において、同庁の金融課
長、振興課長立ち会いの下で、中小公庫の業務部長、次長ら幹部と話し合った
が、事実関係の確認ができず、会談は平行線(或いは水かけ論)をたどり膠着
状態にある。

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知られざる業界「興信所、探偵社」(8)           中野 忠良
通産大臣から“お墨付き”の東京商工興信所(現・東京商工リサーチ)

 東京商工興信所の薫木重二専務は、昭和39年12月、衆議院商工委員会に
参考人として登場した。この年、北九州で連鎖倒産が大量に発生し、役所はそ
の対策に負われていたのだが、薫木専務は、居並ぶ国会議員を前に、次のよう
な“倒産学”を披露した。
 「倒産には諸々の構造的要因があります。まず赤字経営ですが、大企業は救
済融資があるのに対し、中小企業は受けられません。次が在庫の悪化。生産過
剰になるなかで、販売網が弱い企業が多いようです。最近の倒産を見ますと、
設備投資の最中に金融引き締めにあい、資金繰りを悪化させたケースが目立ち
ます。放漫経営で倒産というのもありますが、現在顕著なのは売掛金の回収難
でしょう。少ない運転資金で外部負債が増大したため倒産する例や、大企業の
支援が打ち切られて倒産することもあります。融通手形による関連倒産という
新しい問題も出ています。さらに、労働力不足で設備が遊休して、赤字が累積
する場合も考えられます。今後、金融を緩和したとしても、中小企業の過当競
争、採算性の低下などを考えますと、倒産は減らないでしょう」
 薫木専務の国会での発言を機に、東京商工興信所の「倒産データ」が注目さ
れる。これは昭和27年3月に創刊した「興信特報」(月刊、年間の倒産統計
表)が、不渡り手形情報、整理会社、危険な会社、それと倒産会社とその原
因、負債総額、大口債権者などをズバリ具体的に記入し、金融筋、投資家、実
業家、大手企業に重宝がられていたからだ。
 時の桜内義雄通産大臣が「企業調査は秘密にかかわることもあり、国がやる
のは難しい。東京商工は多年にわたって調べているようで、あれだけやってい
るなら、それを基礎にすればいい」と語ったことから、公共商工は“通産大臣
御用達”のお墨付きを貰った。(以下次号)

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    週刊メールジャーナル 2000年1月5日号 第18号
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