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    週刊メールジャーナル 2000年2月2日号 第22号
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★ビール事業ジリ貧で自主再建不能かサッポロ/JT・バドワイザーの買収説
★異常国会の裏側/野党審議拒否のまま予算案早期通過の情勢で民主党に焦り
★関西新空港の利権王・府漁連会長(下)砂の独占1千億円と大阪府構造汚職
★探偵・興信所研究12/元特務機関長らが「インチキ産業スパイ学校」設立

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ビール事業ジリ貧で自主再建不能かサッポロ/サントリーがシェア追い越す
JTの次はバドワイザーによる買収説   経済ジャーナリスト 中野 忠良

 本誌9号(10月27日号)で報じたサッポロビール買収説が再燃してい
る。
今回は、米国アンハイザー・ブッシュが名乗りを上げた。「バドワイザー」を
売っているブッシュ社は、日本で外国ビールの約50%のシェアを既に確保、
全体が1%未満のシェアをこの先5〜10年で5%まで拡大する目標を掲げて
いる。
 キリン、アサヒに次いで第3位のシェアを守ってきたサッポロだが、9月、
10月、11月の出荷量でサントリーが悲願のシェア10%に乗り、サッポロ
は4位に落ちた。

●恵比寿再開発に失敗、富士銀行にも重荷に

 サッポロは、非ビール部門への進出に積極的で、不動産、スポーツ、レジャ
ー産業と取り組み「複合経営戦略」で逆襲を狙ってきたのである。
 社運を賭けた恵比寿ガーデンプレイスは、2000億円を投資、1兆円の経
営効果を期待したが、投資過多で利息の返済に追われる悲惨な結果を招いた。
 不動産、ホテル事業の失敗で二期連続の赤字決算となり、99年12月期は
辛うじて黒字計上の見込みだが、業績下降に歯止めがかからない。
 このような状況からJT(日本たばこ産業)への“身売り”説がさきに流れ
たのだが、今度はアンハイザー・ブッシュ社の買収説が浮上してきた。
 サッポロのメイン・バンクである富士銀行は、一勧、興銀との「三行統合」
に参加することになり、重荷を降ろしたいとの思惑があり、この際、サッポロ
の“身売り”に強く反対する立場にない。

●超大型ヒット商品出なければ2〜3年か

 昨年11月辞任した岩間辰志社長は「本年発表する新商品は20代後半から
30代前半を中心にする」と語り、不振の黒ラベルとすみ分けする大型の新商
品でビール事業の再建を目指す考えを示している。
 だが、サッポロのビール事業はジリ貧を続けており、アサヒのスーパードラ
イのようなヒット商品が生まれない限り、2,3年以内に“身売り”(買収)
が実現するのではないかと観測されている。
 さきに流れたJTによるサッポロビールの買収説は依然として消えていな
い。

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異常国会の裏側/野党審議拒否のまま予算案が早期通過の情勢で民主党に焦り
                       ジャーナリスト 川崎 明

 衆院比例区定数削減法案の冒頭処理をめぐって、野党が結束して審議拒否を
続けている。
 野党欠席のままの首相施政方針演説は憲政史上初めてという異常事態だ。
 多くの国民の間には、「たったの20議席を削るかどうかで何をやってるの
か」と、白けた空気が強まっている。
 だが、既に実質的に選挙戦に入っている状況では、弱気で妥協した方が国民
の手前、不利になるという見方が与党側にも、野党側にもあり、引くに引けな
い状況になっている。

◆本音は「定数法案で殴り合いする気などない」

 もともと第一党の自民党内にも、第二党の民主党内にも、そして公明党内に
もこの定数削減法案には異論があり、この問題で殴り合いをする気など始めか
ら、毛頭無かった。
 連立政権の“踏み絵”として、定数削減法案の冒頭処理を与党協議に持ち込
んだのは自由党だった。
 もともと自由党の小沢党首には、議会制民主主義に対する独自の政治理念が
あり、これまで、何事でも世論の見極めがつくまで政治決断を先延ばしにする
自民党の政治的体質に対して、強いいら立ちがあった。この国の将来の方向づ
けのために“政治主導”を強めたいという思い入れがあった。民主主義の選良
(代議士)が官・財・民をリードし、「決断・実行ののち国民の信を問えばよ
い」という政治姿勢にこだわってきたのである。
 自由党藤井幹事長らが「民主主義の政治原則は多数決であり、(強行採決
は)当然の成り行き」と言い張るのは、そうした背景がある。
 これに対して“失われた10年”の間に、着々と政治勢力を拡大してきたの
が共産党だ。
 もともと小選挙区を土台とした現行選挙法では、得票率と議席数がアンバラ
ンスになり、少数党には絶対不利との思いがある。
 比例区を中心にした定数削減法は共産党たたきとの思いがありこれは飲めな
い。
 「議会制民主主義を言う前に、民主体制のルールを見直すのが先決」と主張
するのも当然だ。

◆利害得失で妥協さぐる政党間かけ引きが始まるか

 いまの国会の異常事態は、実のところ自由党対共産党の対決なのである。
 政治主導によるトップダウン型の民主主義か、市民運動によるボトムアップ
型の民主主義か、いずれを選択すべきかの対決なのである。
 このような政治的対決に対して、自らの政治信条を国民の前に明らかにし、
民主政体のあり方について、堂々と議論することが選良としての政治家の役割
なのである。
 すでに代表質問も野党欠席のまま終了し、このままでは2000年度予算
は、財政危機の問題点も明らかにされないまま成立してしまう可能性がある。
 したがって、この状態が続くことは、時間の経過とともに民主党にとって不
利な形勢になるという読みが党内にあり、焦りも出はじめている。「謝罪と解
散時期の話し合いに応じるなら審議に戻る」という、鳩山党代表の発言はその
表れなのである。
 国民の多くは、マスコミの世論調査に表れたとおり、信を問わずして発足し
た、自自公連立政権に対して不信感を募らせているのであって、即時解散総選
挙実施だけが民主主義のルールにのっとった唯一の選択肢なのである。
 利害得失を図りながら、妥協のタイミングをさぐるような政党間のかけ引き
はもうウンザリというのが国民の声ではないか。
 勝敗の利害計算を度外視して、民主政治の筋論を展開する政治家に、国民は
“清き一票”を投じる情勢が熟しつつある。(以下次号)

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関西新空港の利権王に税務調査のメス(下)   ジャーナリスト 佐藤 進
「砂」の独占1千億円と法外な漁業補償金額支払い/背景に大阪府の構造汚職

 「関空工事で最も不当に儲けた男」と言われる田中忠明氏は、大阪府漁連会
長として、関空一期工事でも二期工事でも、大阪府や関空会社を向こうに回し
て漁業補償交渉を一手に取りまとめてきた。
 一期工事では、交渉相手の関西国際空港株式会社に無理難題を突きつけ、漁
獲高や漁業の年純益、海面の消失面積などの計算による通常の相場の、なんと
倍以上、二百五十億円を八七年に払わせた。関空会社側は、「これでは大蔵省
の会計検査が通らない」と知恵を絞り、別枠で上乗せした上に、漁獲高の数字
を操作して支払ったほどだった。

◆漁船の海上封鎖の影響で国際公約に遅れ

 さらに田中忠明氏は、元請けのゼネコンから協力金、見舞金、架空の警戒船
料など、さまざまな名目をでっち上げてカネを要求。
 そうした要求が通らないと田中忠明氏は、一転して操業権を主張し、漁船を
連ねて海上デモを行った。漁船のデモ隊は人工島の資材積出港を七カ月にわた
って海上封鎖し、その影響もあって人工島に地盤沈下が発生した。国際公約だ
った九三年三月の開港スケジュールが一年半も遅れてしまったのは、これが原
因である。
 当時の関係者は誰もが「何て、えげつない連中だ」と感じたが、開港予定の
国際公約や工事の遅れで発生する金利を考えると、どんな荒唐無稽な要求でも
応じるしかなかった。

◆「砂」の独占で売り上げ1000億円

 その後、田中忠明氏は関空会社だけでなく大阪府の高級官僚や政治家とも太
いパイプを築き、田中氏のファミリー企業は数々の利権を手中にしていった。
 田中忠明氏の娘婿が社長をつとめる共和海建(大阪府岸和田市)は、関空工
事で使用するすべての「砂」の卸を一手に握っている。その売り上げは、一
期、二期を合計して1千億円近くにもなる。
 また、別のファミリー会社では警戒船の出動請負、関空がらみのクレーン工
事、橋脚設置工事などでも独占的に受注している。
 ちなみに、昨年10月には、埋め立て工事で、使用許可が出ていない韓国産
の「海砂」を「長崎県で採取した」と偽り工事海域に1783立方メートル投
入されるという不祥事が起きている。外国産の海砂には日本にはないバクテリ
アなどが付着している可能性があるとして、関連会社が大阪府から厳重注意を
受けた
 田中忠明氏は二期工事の漁業補償交渉でも、府漁連会長として関空会社に強
気で臨み、計算や相場の倍以上の二百億円を払わせた。
 「このように、一期工事のみならず二期工事でも田中忠明氏の傍若無人がま
かり通る背景には、大阪府の構造汚職がある」と関係者は指摘している。

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知られざる業界「興信所、探偵社」(12)         中野 忠良
不良外人、中年女、元特務機関長らが「インチキ産業スパイ学校」を設立

 テレンチェフ・ジョージという日本語ペラペラの青い目は、「私のSIAシ
ークレット・インベスティゲーション・エージェント、つまり秘密調査機関の
本部はデトロイトです。部下が100人、日本人機関員は、中野学校や特殊機
関出身者です」と大ボラを吹き、鉄砲所持許可証をチラッと見せてピストルの
特別携帯許可書と思わせる。これだけで虚像が完成。彼を国際大型スパイ団の
ボスとして仰ぎ、恐れおののく企業経営者やマスコミ関係者もいた。
 テレンチェフ・ジョージは、日経露人の両親がロシア革命から日本に亡命
し、昭和7年に大分県に生まれた。3歳の時、一家は神戸に移住、12歳の
時、父親が死亡し、家計も苦しく、中学へも行けなかったという。密航を企て
たり、偽ドル事件を起こしたりして、逮捕歴たっぷりの不良外人になっていっ
た。
●帝国秘密探偵社の経験生かした恐喝の手口

 達者な日本語で外人エキストラの紹介業で身を立て直し、陸軍少将の未亡人
の養女と結婚、義母となった未亡人のつてで34年に帝国秘密探偵社に入った
のが“大物産業スパイ”になる契機となった。しかし、使いものにならずわず
か50日で解雇された。だがこの経験を生かし「大日本印刷事件」のように書
類を盗んだ先を恐喝する手口を知ったわけである。
 ジョージ以外にも、石田武子という中年婦人が「天涯孤独、満州で特命のス
パイ活動に従事」という触れ込みで、昭和37年に「日本調査学院」を開設、
元特務機関長などが講師に名をつらね「インチキ産業スパイ学校事件」を起こ
した。
 元特務機関、元全権大使、情報評論家といった人々が「日本市場を席巻する
ために、CIA仕込みの産業スパイがごっそり上陸、日本の企業は、この諜報
戦に勝てるだろうか」と嘆かせるに至った。
 そして、時代は敵の企業から秘密を盗むことより、漏洩防止する「専守防衛
型」が主流になっていった。(以下次号)

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    週刊メールジャーナル 2000年2月2日号 第22号
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