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2000/3/1 No.26    週刊メールジャーナル   読者数7009人(先週)
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★守旧派・越智氏の本音が漏れただけ/小渕首相の責任は重大
★「最大限考慮します」金融監督庁・再生委の自由裁量の手口はこんなにある
★香港企業のお手玉になった名門・赤井電機の悲惨/額面割れ企業の悲喜劇
★探偵・興信所研究16/調査判断ミスは少な目に見ても一割はある
★先週号「音楽著作権の無法体質」記事に対する御意見の紹介と回答
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守旧派・越智氏の本音が漏れただけ/小渕首相の責任は重大
                       ジャーナリスト 川崎 明
 越智通雄金融再生委員長が25日辞任した。
 本誌が「ペイオフ延期」決定の真相として指摘したように、解散総選挙を目
前に控えて、金融システムの改革に不安を持つ地元金融機関や有力財界人の支
持を取り付けるために登場した越智氏の本音が漏れただけのことである。
 事実、この日の朝、自宅前に集まった記者団に対して「辞任はしない」と言
明し、同日の予算委員会での答弁に臨んだ内容は、自らの役割を政権政党の幹
部として「やるべき事を忠実に実行してきただけ」というべきものだった。
 越智氏は大蔵省の裁量が大手を振ってきた時代の大蔵官僚の出身であるばか
りでなく、自民党の金融問題調査会長として、急激な金融改革・日本版ビッグ
バンには否定的な立場を通してきたことで知られており、一貫して手厚い業界
保護策を主張してきたのである。
 その背景に、大蔵族議員として業界からの政治資金を受け取っていたことは
本人が認めているところでもある。

●公的資金は国民の血税、何を「最大限考慮」するのか

 問題は、このような人物を金融再生委員長に任命した小渕首相の任命権者と
しての責任である。余りにも見え透いた小渕政権の狙いには、はじめから再生
委や金融監督庁、大蔵省の内部にさえ危惧の声が出ていたのであり、とうてい
責任を免れることはできない。
 形の上では「辞任」であっても、実質的には「更迭」という素早い対応を取
ったのも、実はその「責任」を痛感したからに他ならない。
 言うまでもなく「金融再生」という真の目的は、金融危機からの脱却のため
に、国民の血税である公的資金を注入する代わり、金融システム改革という荒
療治を短期間で完了させようという国民的合意の上に成立した約束事を実行す
ることだったはずだ。
 ところが越智氏は委員長に就任直後から、柳沢氏が進めようとした再編路線
や、外資系金融機関、異業種の新規参入による業界活性化の考えに否定的な発
言を繰り返してきた。この影響で、一時業界に高まっていた再編機運が急速に
なえてきたことは否定できない。もしも、栃木県での「手心発言」テープが民
主党、共産党に送りつけられなかったら、どうなっていたのであろうか。
 なし崩し的に金融改革・再生に逆行のシナリオが着実に実行されていたかも
知れない。
 小渕政権の責任は重大である。(以下次号)

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「最大限考慮します」金融監督庁・再生委の自由裁量の手口はこんなにある
                       ジャーナリスト 佐藤 進
 「信組は7月から来年3月までの間に全部検査します。それは手配がつきま
した。検査の仕方できつい所があったら、またどんどん直接仰せください。あ
るいはここにお集まりの皆さん、蓮実進衆院議員にどんどん言ってください。
書類かなんかで渡してもらったら、彼が私の所に来たら、最大限考慮しますか
ら。(中略)危なかったら早く言ってください」(越智通雄金融再生委員長)
 この発言の恐ろしさをマスコミはロクに報道していない。越智氏が「最大限
考慮しますから」という意味は、以下の3点にある。

●「地域経済に不可欠」の理屈
 金融監督庁は、金融機関を検査して自己資本比率を算定、それに基づいて
「破たん」か「救済」か判断する。自己資本比率がゼロ%以下なら、「債務超
過」とされ、金融再生法に基づいて破たん認定、整理・淘汰(とうた)され
る。二%以上八%以下なら、「過少資本銀行」の認定を受け、早期健全化法に
基づいて業務改善命令が出され、公的資金の資本注入による救済の道が開け
る。
 その中間である0%以上2%以下の場合は、金融監督庁の裁量に任される。
ここの判断について明確なルールはなく、事実上「経営破たん寸前に陥ってい
る」と勝手に判断されれば淘汰され、「この銀行は地域経済に不可欠」と勝手
に判断されれば、公的資金で救済される。その判断を越智氏は「最大限考慮し
ます」というのだろう。

●問題貸し出し分類のカラクリ
 また、自己資本比率の算定には、その銀行の貸し出し債権の中で問題のある
債権を第U分類(要注意先債権)、第V分類(回収懸念先債権)、第W分類
(回収不能債権)に分ける。そしてそれぞれの割合に応じた貸し倒れ引当金を
算定し、自己資本比率が割り出される。どの貸し出しをどの分類に入れるかの
基準は金融監督庁の裁量となる。金融監督庁はそのルールについて銀行にも報
道関係にも公表していない。すべての銀行に同様のルールを適用しているかす
ら分からない。その判断を越智氏は「最大限考慮します」というのだろう。

●自己資本カサ上げ工作の黙認
 さらに、銀行が自己資本比率をカサ上げする操作にはいろいろなものがあ
り、例えば不健全な銀行同士が関連会社を通して互いに増資しあうという方
法がある。
 こうした銀行の巧みな「カサ上げ工作」を知っても黙認するか、あるいは許
さないか、この部分でも金融監督庁の裁量となる。その判断を越智氏は「最大
限考慮します」というのだろう。

 昨年1年間で、国民銀行、幸福銀行、東京相和銀行、なみはや銀行、新潟中
央銀行が破たん認定された一方で、足利銀行に1050億円が資本注入され
た。金融機関にとって、金融監督庁のさじ加減ひとつが天国と地獄の境目とな
る。
 まさに金融監督庁は、わが国の歴史始まって以来最大の利権官庁となった。

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香港企業のお手玉になった名門・赤井電機の悲惨/額面割れ企業の悲喜劇
                     経済ジャーナリスト 中野忠良

 総合商社のトーメンが額面割れの45円、ゼネコンの長谷工が36円、青木
建設41円と額面割れ企業が続出中である。
 額面割れ企業でもっと悲惨なのは赤井電機である。2月25日の終値は43
円、かつて高級テープデッキの名門として第2のソニーとうたわれた会社が、
99年9月中間決算で56億6700万円の大幅赤字を出し、1月25日の取
締役会で田巻俊夫社長が辞任、社長が空席という“異常事態”に陥っている。
 しかも、この間に香港のセミテック・グループが赤井電機の持ち株を「グラ
ンデルグループ」に売却したため“経営不安説”が流れ、株価が額面割れにな
った。
 赤井電機製品の委託生産を引き受けている山水電気の榎本康一社長が現職の
まま赤井電機の代表権のある常務に就任したが、山水電気は99年12月期決
算で66億円の債務超過に陥っている。
 山水も香港企業のグランデルグループに70億円の新株を引き受けてもらう
方針というが赤井電機、山水電気、ナカミチの名門三社は香港企業のマネーゲ
ームにもてあそばれる存在でしかなくなっている。

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知られざる業界「興信所、探偵社」(16)         中野 忠良
判断ミスは少な目に見ても一割はある/信用毀損で訴えられ敗訴した調査会社

「環境悪化、減収で好転は極めて困難」との調査情報を知った取引先から、片
岡工業へは問い合わせが殺到、社長が強く否定したものの注文は激減の一途を
辿ってしまう。怒った片岡工業の社長は、「デマを流して信用を失墜させ、企
業業績に大損害を与えた興信所は許せない」として提訴、日本企業調査は敗訴
した。
 経済興信所は、報告書で「取引危険」「要警戒」「差し当たり支障なし」
「取引可能」といった診断をする。危険な企業が安全と報告されたら依頼者は
被害にあうし、逆なら調べられた会社が損害をこうむる。このような判断ミス
は少な目に見ても一割はあるという。
 「ミスがあっても、興信所だからしょうがないとして、告訴もされないわけ
ですよ。そんな評価では時代から置き去りにされるでしょう。調査のウデは、
事務所の大小とは無関係だから、依頼する側も有能な調査員がいたら育ててや
るべきです。それに、業界全体も給与システムを改善して、調査員が調査に専
念できるよう、質の向上を考えるべきでしょう。そのためには一日も早く、業
界の団体を結成すべきです」
 という声が出はじめ、昭和49年に、日本探偵協会・探偵士養成所の児玉道
尚校長が経済興信所とも一体となった調査業者の団体を結成する構想を練っ
た。
 その年の12月、全国から50名もの探偵が参集し、団体結成が話し合われ
翌50年10月東京八重洲の国労会館で結成大会が開かれた。(次号に続く)

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先週号「音楽著作権の無法体質」記事に対する御意見の紹介と回答

 本誌先週号「音楽著作権の無法体質/小林亜星氏「北の宿から」疑惑と著作
権協会の醜態/著作権仲介業務法違反の徴収使用料77億円流出事件」で、
竹林政行さんの証言(http://uttae-.hoops.ne.jp/)を引用したことに対し
いくつかご意見がありましたので、その中の2つをご紹介し、同時に回答させ
ていただきます。

> 竹林氏は、ただの誇大妄想狂みたいなもんですよ。
> 芦原将軍のようなもの。
> その辺をきちんと調べないでジャーナリズムってのは如何なものか。
> あまりにも杜撰です。
> それと小林亜星を並べるのはあんまりってもんでしょう。
> 女性週刊誌よりたちが悪く見えます。

> はじめまして。御誌をいつも興味深く拝見しております。
> さて以下の記事ですが、竹林さんの告発の内容について、どこまで確認さ
> れましたでしょうか。私は竹林さんがネットで活動をはじめてからずっと
> ウォッチしていますが、「24年間も竹林さんの著作権を侵害し続けてい
> る」とはとても思えませんでした。

 まず第一に「週刊メールジャーナル」は、誰の告発であっても、独自の裏付
け調査をせずに掲載することはあり得ません。
> その辺をきちんと調べないで……あまりにも杜撰です。
 とは、全く根拠のないことで、大変憤りを感じます。なお、調査の手法や内
容については「取材情報源の秘匿義務」等の絡みもあり、これ以上を報道する
段階ではないし、以下のようにその必要もないと考えています。
> 竹林氏は、ただの誇大妄想狂みたいなもんですよ。芦原将軍のようなもの。
 そう考える皆さんにまず考えて頂きたいことは、もし仮に竹林さんがウソを
言っているとしたら、どうなるでしょうか。
 竹林さんは地位も名誉もある多くの有名音楽家を「盗作者」と決めつけ、メ
ールマガジンとウェブで繰り返し名誉毀損しているわけです。小林亜星氏らか
ら告訴されれば、「刑法230条名誉毀損罪」で3年以下の懲役もしくは禁錮
または50万円以下の罰金に処せられます。民事で訴えられれば数百万円の損
害賠償支払い命令となります。法的には、竹林さんの行為は「芦原将軍のよう
な」軽い気持ちで出来るものではないのです。
 なお、公判となれば、竹林さん本人の証言が重要な焦点となります。
 もし仮にウソであれば、検事や相手側弁護士の反対尋問ですぐにバレます。
しかし真実であれば、その真実性がいっそう明らかになり、竹林さんの証言は
強い証拠能力を持つことになります。竹林さんを誰も訴えないのはそういう理
由からと思われます。
> 女性週刊誌よりたちが悪く見えます。
 こういう表現をする人は、「大新聞が高級で週刊誌が低級、女性はもっと低
級」という発想を何の疑いもなく持っているわけです。現実は全く違います。
例えば大新聞は、報道機関でありながら社会的強者からのさまざまな利益供与
と引き換えに癒着しており、その意味で「最も低級なマスコミ」と言えるでし
ょう。
 現代日本では、非常に低級な人々が社会的に高級と誤解されている実態がし
ばしば見受けられます。インターネットの普及により、多くの人々が、真摯な
態度で独自の情報を発信し、世の中のこうした素朴な誤解をひとつひとつ解い
くことが、社会の公正さと品位を高めることにつながると私は信じます。
 読者の皆様におかれましては、今後とも弊誌をご愛読下さいますよう、何卒
宜敷くお願い申し上げます。               本誌 大森哲夫

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 週刊メールジャーナル 2000年3月1日号 第26号(水曜日発行)
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