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2000/5/3-5/10 No.35  週刊メールジャーナル   読者数7247人(前回)
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★「バカが大臣になったら困る」総務庁が幹部公務員法案めぐり露骨な裏工作
★石原慎太郎氏「三国人発言」の源流は、選挙ポスター「朝鮮人」シール事件
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「バカが大臣になったら困る」総務庁が幹部公務員法案めぐり露骨な裏工作
後藤田正晴氏巻き込み田中真紀子議員と泥仕合  ジャーナリスト 川崎 明

 権力内部での抗争がピークに達している事件が起きている。
 報道が少ないため意外に知られていないのだが、一つの法案をめぐって
「政」と「官」とがせめぎ合いを繰り広げているのである。
 法案の名は「幹部公務員特別法案」。中央省庁幹部が閣僚に対する情報隠し
を防ぐために、自民党内部で検討されてきた法案である。
 もし、局長以上の高級官僚が閣僚への報告を怠った場合は、退職後であって
も、その事実が判明した時に、懲戒免職などの処分ができるようにする内容で
ある。

●大臣へ報告義務怠れば懲戒免職で退職金返上

 党側はG・Wあけには有識者によるヒアリングを計画するなどして、立法化
の準備を着々と進めてきた。
 これに対する官僚側は「絶対に成立させない」とサマザマな裏工作を展開し
ている。この法案は、田中真紀子氏が委員長を務める「国家公務員法の特別検
討小委員会」がまとめ、同党内閣部会で審議が進んでいる。
 法案は、幹部職員の閣僚への報告義務を明確化し、情報隠しなど懲戒免職相
当の問題を起こした場合、退職後7年間は退職金返納などの処分を科すことを
柱としている。
 しかし、国家公務員の人事行政を所管する総務庁は、1、報告は当然の義務
で、わざわざ法律で罰則を設けるのは、閣僚と幹部の信頼関係を損ないかねな
い。2、退職金返納は重すぎる処分で、個人の財産権からも問題がある――な
どと批判しているが、これは官僚側の差し金である。
 総務庁の担当者が田中氏らに「バカな政治家が大臣になったら困る」「この
法律が成立したら、局長になりたい人がいなくなる」などと直訴した。

●薬害エイズや金融危機、官僚の無能と不祥事が教訓

 田中氏らが、官僚機構に影響力がある後藤田正晴元副総理の名をあげ、「後
藤田氏も賛成している」と強調すれば、総務庁側もすかさず後藤田氏に会い、
「我々には『問題がある』と認識していると伝えた」と触れ回るなど、泥仕合
の様相を見せている。
 田中真紀子氏は「法案は官僚いじめではなく、薬害エイズのような問題で二
度と国民が苦しまないための『伝家の宝刀』だ」と説明。法案つぶしに動く総
務庁側のやり方には我慢がならない様子で、「根回しで政治家を丸め込んで既
得権益を守ろうとする典型的な官僚のやり口」と批判を強めている。
 この背景には、バブル崩壊後、金融システムの危機が迫るまで対策が遅れる
などした、政策当局の無策ぶり、不祥事を起こした高級官僚に対する退職金支
給について国民の批判が強まったことなどがある。
 さらに、国会法の改正などによって政府委員制度を廃止し、官僚による答弁
を止めたりと、このところ強まる一方の「政治主導」に対する官僚側の抵抗表
現という側面もある。
 この問題では、国民はもう少し高見の見物を決め込んでいても良さそうだ。

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石原慎太郎氏「三国人発言」の源流は、選挙ポスター「朝鮮人」シール事件
なにゆえ民族・人種差別は悪か              本誌・大森哲夫

 三国人発言の石原慎太郎氏に好感を抱く人が、案外多い。
 この人の発言の何が問題なのか、ひいては、この人がいかなる社会観念を持
つ人物で、それがどのくらい問題なのか、きちんとまとめて報告しておくこと
も重要かと思われるので、今週と来週の2回に分けてレポートする。

◆公設第一秘書が告訴され取り調べ

 石原慎太郎氏の三国人発言を聞いて、まず思い出される事件がある。
 一九八二年の総選挙で石原慎太郎陣営は、ライバル候補・新井将敬氏の選挙
ポスターに「朝鮮人」とのシールをべたべた張って回り、石原慎太郎氏の公設
第一秘書が実行犯として告訴され、警察の取り調べを受けた。
 公的な場での発言で「三国人」「シナ」など、誰かをあえて不快にする呼称
を石原慎太郎氏がことさら用いるのは、この人に意図があるからだ。過去の事
件を踏まえると、石原慎太郎氏の意図は、人種差別意識による敵意と侮蔑の表
明と考えられる。

◆国際人権規約と人種差別撤廃条約の意義

 人種や民族的偏見による差別をどう考えるか、ある程度の教育を受けた人に
とっては言うまでもないことだが、念のため言及する。
 国際連合による一九四八年の「国際人権宣言」の第一条には「すべての人間
は、生まれながら自由で、尊厳と権利について平等である。」(岩波文庫「世
界人権宣言集」四〇三頁)とされ、さらに人種、民族、皮膚の色、言語、出
身、等々いかなる差別もなく、何人(なんぴと)も法の下に平等であり、等し
く基本的人権を享受できる旨、宣言された。
 日本政府はこの実効性確保のための「国際人権規約」に一九七九年、「人種
差別撤廃条約」に九五年批准し、遵守義務を有している。
 こうした理念は、西欧の宗教戦争や絶対王政の抑圧の時代に提唱されたホッ
ブス、ロック、ルソーの社会契約説やモンテスキューの啓蒙思想を土台とし、
ヨーロッパ近代革命後の世界各地における植民地虐殺、アメリカの奴隷制度、
さらには第二次世界大戦中のユダヤ人虐殺の悲惨な歴史を教訓としている。
 ○○人だという、ただそれだけの理由で、おびただしい数の人々が殺され、
奴隷にされ、虐待される歴史的事件を目撃した過去の多くの賢人たちが、それ
ぞれの時代で考え悩み、最終的にたどり着いた結論だ。

◆無視される「法の下の平等」原則

 外国人に違和感を持つ感情は誰でもあるだろう。しかし、外国で一定期間生
活した経験のある人なら、差別される不合理も理解できるはずだ。地球上のあ
らゆる地域社会が経済的にも文化的にも密接に相互依存し合っている今日、国
連の理念はますます重要性を増していく。
 石原慎太郎氏は、その後のテレビ出演での発言で、具体的な国名を挙げ
「○○人の犯罪が凶悪化している」と盛んに繰り返している。国籍や生まれが
どこだろうが、犯罪者は平等に法を適用し取り締まるべきであり、ある国籍の
者を重点的に厳しく取り締まるのは、「法の下の平等」原則を明らかに無視し
ている。
 石原慎太郎氏は、外国人を差別して当然と考えているようだが、こうした国
連の規定や理念、近代国家の大原則をどう考えるのか、東京都知事として明ら
かにしないなら、無責任かつ無知と言われても仕方がない。   (つづく)

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★「堕落警察のルーツ/パチンコ利権漁り恥史」は、今週はお休みとなりま
 す。悪しからずご了承ください。
★読者の皆様から暖かい励ましのお便りを頂戴し、大変ありがとうございま
 す。今後ともご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。(編集部)
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 週刊メールジャーナル 2000年5月3日・10日合併号 第35号
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