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2000/8/16-23 No.49 週刊メールジャーナル 読者数7567人(前回)
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★これだけ疑惑に包まれた亀井静香政調会長を特捜部はなぜ逮捕できないのか
★旧態依然、大蔵主導の予算編成の背景に森首相の無能と将来ビジョンの欠落
★【新連載】平成のお家騒動/企業担当者の流行語「雪印型ズサン危機管理」
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これだけ疑惑に包まれた亀井静香政調会長を特捜部はなぜ逮捕できないのか
初公開「亀鑑会」極秘リストの衝撃 経済ジャーナリスト 中野 忠良
7月21日、表の顔は“画商”で、裏の顔は政財界を股にかけた“フィクサ
ー”の福本邦雄(73)が、受託収賄罪で逮捕された中尾栄一元建設相
(70)の共犯として逮捕された。
福本の父親・和雄は京大教授で、戦前は“福本イズム”で知られたマルキス
ト。財界四天皇と唱われたサンケイ新聞社長の水野成夫、国策パルプ会長をつ
とめた南喜一氏らがその弟子で政財界に知られた存在だった。
息子の福本邦雄は椎名悦三郎官房長官の秘書から中曽根康弘元首相、宮沢喜
一蔵相、竹下登元首相らの政治団体代表をつとめた。
とくに竹下元首相との関係を軸に“フィクサー”業をやり、97年6月には
「三宝会」という政財官界とマスコミ関係者の集まる交流会を発足させ、竹
下、小渕恵三、亀井静香、中尾栄一らが出席してスピーチをやった。
亀井静香自民党政調会長は「私は、福本学校というか、福本牢の中の一人」
と吹聴するほど、その関係を誇示していた。
◆福本邦雄が作った亀井静香議員を囲む会
福本がダーティな顔をのぞかせるようになったのは“イトマン事件”から
で、主犯の許永中が乗っ取りに成功した「KBS京都」の社長に就任、竹下の
娘婿・内藤武宣も同社の役員に名を連ねた。
だが、福本は竹下が疑惑につつまれた“金屏風事件”で既に司直の捜査対象
になっており、竹下疑惑と住友銀行に関する不祥事件では当局からマークされ
てきた。
そして今回とうとう年貢の納め時が来たわけだが、地検特捜部長・笠間治雄
氏が狙っているのは、中尾栄一の受託収賄事件が本命ではなく、許永中、亀井
静香、ラインの一大汚職事件の立件だろう。
「キチンとした裏付けが必要です。証拠が挙がればやりますよ。誰だろうと
やります」
と笠間部長はキッパリ語っている。そこで笠間部長に証拠に一つとして、福
本邦雄が作った亀井静香議員を囲む会「亀鑑会」の極秘リストを提供する。
「亀鑑会」メンバー。星浩(朝日・編集委員)近藤憲明(毎日・編集委員)高
橋利行(読売・編集局次長)岡崎守恭(日経・編集局次長)後藤謙次(共同・
編集委員)平本和生(TBS報道局長)普勝清治(全日空相談役)相原宏(三
菱商事副社長)花崎淑夫(JR東日本常務)勝栄二郎(大蔵省官房秘書課長)
小野邦久(建設省事務次官)。読売の高橋氏とTBSの平本氏が世話人。
なかなか興味ある顔ぶれではないか。一人一人洗っていけば、これまで“藪
の中”だった疑惑の事件が解明できるのではないか。
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旧態依然、大蔵主導の予算編成の背景に森首相の無能と将来ビジョンの欠落
早くも族議員による国民不在の予算ぶん取り合戦 ジャーナリスト 川崎 明
これまで大蔵省に集中していた予算編成権限を巡って、権力中枢が暗闘を繰
り広げている。
予算編成に政治主導を入れようとする狙いで創られる組織が、内閣府に設け
られる経済財政諮問会議である。しかしこの機関が立ち上がるのは、来年1月
の省庁再編後。来年度の予算編成作業は今、各省庁によって概算要求作りがす
すめられている。省庁再編を見越した予算の取りまとめ担当はすでに決められ
てはいるが、再編後の行政権限を睨んでの、既得権を守るための予算獲得争い
は、族議員を巻き込んでの、まさに死闘が展開されている。
●「財政首脳会議」存続決定の意味と本質
この時期を大蔵省が見逃すはずが無かった。大蔵省は、今までどおり与党幹
部との折衝によって予算の骨格を固めたほうが、森首相のいう、「私自らの主
導で予算編成したい」とする希望に叶う道だと、首相を説得。大蔵省の提案し
た財政首脳会議を立ち上げたのである。
この財政首脳会議は、首相、官房長官、蔵相と与党幹部だけで構成する会議
で、大蔵省はこれまでどおり、予算編成の舵取りをすることになる。
まさにそのシナリオどうり、政府・与党は、来年1月からの中央省庁再編後
も財政首脳会議を存続させることを決めてしまったのである。
そもそも、経済財政諮問会議の創設が決まった背景には、行政改革の目玉と
して政治の機能を回復させる狙いがあった。ところが財政首脳会議の存続が決
まったことで、官僚のシナリオが無ければ動けないとういう、これまでの政治
の無能さから、脱却する筋書きが、振り出しに戻ってしまうことになった。
行政改革の基本構想では、もともと官と政との綱引きがあった。高級官僚の
不祥事が続々と明らかになる中で、一度は政治の側に追い風が吹いたものの、
中央省庁再編前に早くも官僚のしたたかさの前に、政治側が白旗を掲げざるを
得なくなった格好だ。
その最大の原因は、森首相に行政改革という、新しい国づくりのビジョンが
無いからというほかない。
●亀井静香政調会長の積極発言の裏の策謀
省庁再編後内閣府に入る経済企画庁の堺屋長官は、自らの留任条件として、
経済財政諮問会議に「魂を入れる」ことと、財政首脳会議のメンバーに加わる
ことを森首相に約束させた。
そのことがあってか、森首相は、第2次森内閣発足直後の7月7日の閣僚懇
談会では、「日本新生プランの経済政策の取りまとめは、経企庁長官にお願い
します」と表明している。
ところが今月に入って、首相は、自らの主導権の発揮を裏付ける、来年度予
算における日本新生プランの特別枠について、内閣内政審議室に「各省庁の要
望内容を検討して欲しい」と指示しているのである。
竹島一彦内政審議室長は大蔵省出身であり、首相の、矛盾した二つの指示の
裏には大蔵省の思惑が透けて見える。
自らの無能さを証明するかのような、政治主導のチャンスを放棄する森首相
の言動に隠れて、一方では、自民党内の予算編成の主導権争いが激しさを増し
ている。
亀井政調会長による、公共事業費のシーリングはずし、概算要求段階での青
天井発言は、これまでの、経世会(旧竹下派。橋本派の前身)の利権を奪い取
るための策謀と見られても仕方がない。党内最大派閥の橋本派は、官僚出身の
族議員を中心に、これまでの利権を擁護するための動きを強めている。
国民不在の予算分捕り合戦が進行している実態を、しっかり見つめる必要が
ある。
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【新連載】平成のお家騒動/企業担当者の流行語「雪印型ズサン危機管理」
“消費者軽視”の経営姿勢が事件の傷口を広げる 中野 忠良
1万4000人以上の食中毒者を出した雪印乳業食中毒事件は、乳業界トッ
プ企業のズサンな管理体制をさらけ出し、石川哲郎社長は事件発生後44日に
引責辞任を表明した。証拠隠滅、返品再利用、期限切れ混入屋外タンク汚染と
次から次に出るわ、出るわ“消費者軽視”の経営姿勢がさらに傷口を広げた。
と思ったら、森永乳業近畿工場の学校給食用に宅配用の瓶詰牛乳を飲んだ生
徒、児童らが異常を訴えたため20万本の出荷を取りやめると共に製造ライン
を停止した。
小岩井乳業は7月3日から6件の苦情を受けて、5日には製品
26万4000本の回収を行った。
さらに、参天製薬は6月14日、目薬に異物を混入すると脅迫され、翌日脅
迫の事実を公表し、製品の回収に着手した。
あとはもう武田薬品にも脅迫状が届き、「目薬に異物」と39万個を回収し
たほか、88の会社が同様の脅迫を受けて製品の回収に当たるなど、同様の事
件が相次いだのである。
いま会社を訪問すると「お宅は雪印型ですか、参天製薬型ですか」が合言葉
になるほど、雪印乳業の危機管理体制のまずさと、参天製薬の危機管理体制の
鮮やかさが比較される流行語となったほどだ。
●「日本酪農の父」に師事した創業者の精神が半世紀で崩壊
乳業界は、1955(昭和30)年に“森永ヒ素ミルク中毒事件”が起こ
り、乳児130人が死亡、1万数千人の患者を出す大惨事を起こしている。
それから45年後の今日、乳業界は今回の雪印乳業食中毒事件で再び危機的
状況に陥ったのである。
日本酪農の父と唱われた宇都宮仙太郎と、その牧場で働き雪印乳業の前身の
北海道製酪販売組合を設立した黒沢酉蔵(とりぞう)翁の精神は、わずか半世
紀で失われてしまったのか。
「健康の秘けつは牛乳とチーズ」と言い、コメを食べなかったという黒沢翁
は、デンマークに学べと適地適作主義による酪農振興を説いて、今日の北海道
酪農の基礎を築いた人である。
泉下の黒沢酉蔵が今日の食中毒事件を聞いたら、何と言うだろう。反公害闘
争で投獄された経験もある彼は、現在の雪印の経営陣の対応ぶりに心底、落胆
するだろう。 (次回は出光興産)
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週刊メールジャーナル 2000年8月16日・23日合併号 第49号
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