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2000/8/30 No.50    週刊メールジャーナル   読者数7624人(前回)
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★内閣府発足めぐる各省庁のゴリ押しで、行政改革の立法精神が骨抜きの危機
★あさひ銀行の3行統合離脱の裏/埼玉大型事業と旧埼玉銀行幹部の私利私欲
★【平成のお家騒動】2/出光興産いとこ同士の会長と社長が株式公開で対立
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内閣府発足めぐる各省庁のゴリ押しで、行政改革の立法精神が骨抜きの危機
森無能総理にリーダーシップ期待するのは無理だ ジャーナリスト 川崎 明

 前号(8月16・23日付・49号)では、予算編成権を巡る、政と官の主
導権争いの激化について指摘した。それは、森首相が、来年度予算案の目玉と
も言うべき「日本新生プラン」の特別枠について、経済企画庁と内閣内政審議
室の双方に対して、取りまとめを指示するなど、首相のリーダーシップの無
さ、行政改革に対する無定見が招いていることを明らかにしておいた。
 来年度予算は、「日本再生プラン」もさることながら、経済構造改革を軌道
に乗せることが、日本経済にとっての最大の課題であるところから、堺屋経企
庁長官は、来年1月からスタートする「経済財政諮問会議」を前倒ししてで
も、来年度予算の骨格の論議をはじめる積りでいた。
 ところが、大蔵省の巻き返しで、「財政首脳会議」が始まってしまったこと
から、既得権益の保護に向けて、政・官・業の利権グループが猛烈な予算獲得
競争を始めているのである。

◆「俺を首にしてからやれ」と反発する堺屋長官

 「財政首脳会議」の立ち上げについて説明にきた大蔵事務次官に対して、堺
屋長官は、「俺を首にしてからやってくれ」と言って追い返したという。
 来年1月の中央省庁再編が、来年度予算編成を巡る利権保護の動きにも、拍
車をかけている側面があることを、前号で指摘した。
 ところが、その省庁再編を巡っても、激しいポスト争いが展開されているの
である。
 新たに誕生する首相直属の「内閣府」は、複数の省庁にまたがる政策を総合
調整する役所で、他の12省庁よりも格上になる。
 現在のところ、その幹部をどの省庁が担うか決まっていない。このため、各
省庁のポジション取りが過熱しているのである。
 国の予算の基本方針などを立案する「経済財政諮問会議」の事務局を取り仕
切る統括官は、現大蔵省の主計局長以上の実権を持つ可能性があるとみられて
いる。
 内閣府に組織が吸収される経企庁は、そのまま諮問会議の事務局に移りるた
め、統括官も独占できると踏んでいた。ところが、大蔵、通産両省が割り込み
をかけてきたのである。

◆「外からの人材登用」等、重要施策が反故になる?

 調整型といわれる森首相だが、果たしてこの経済官庁同士の主導権争いを調
整できるだろうか。
 そもそも、中央省庁等改革基本法には、官邸機能の強化策として「内閣府」
と「内閣官房」には、「行政組織の内外から人材を登用する」と明記されてい
る。本来の行革目的を理解していないことが明らかになった森首相に、この立
法精神を遵守できるか心もとない。
 経企庁はいま、大学や民間シンクタンクなどから、経済財政諮問会議を支え
る事務局員を募っている。その経企庁の幹部ですら「民間人が役所の仕事を即
席でこなせるとは思えない」と言っている。その裏には、民間人を登用すれ
ば、その分、自分たちのポストが圧迫されることが判っていて、できれば避け
たいと思う気持ちがあることは明らかだ。
 国の政(まつりごと)を支えてきた官僚機構が、自らの権力に対して保守的
なのは聖徳太子の律令時代以来といっていい。しかし、世界標準がこの国にも
必要になったいまでも、官僚基準を押し通そうとする高級官僚がこんな状態で
は、がりがりの守旧派政治家が跋扈するのも致し方ないのか。

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あさひ銀行の3行統合離脱の裏/埼玉大型事業と旧埼玉銀行幹部の私利私欲
旧協和銀行系との内部抗争が激化     経済ジャーナリスト 山根 次郎

 あさひ銀行が三和、東海、あさひの3行事業統合を発表して3カ月後に“離
脱”し、業界の孤児になった。この離反劇の真相は、あさひ銀行内部の派閥抗
争にあり、旧協和系と旧埼玉系の血みどろの抗争が3行事業統合を潰したとい
う。
 さらに踏み込んで真相を追及すると、合併後、旧協和系が優位に立って主要
ポストを占めたため、旧埼玉系が猛反発した。ことに、旧協和系の伊藤龍郎頭
取が決めた3行事業統合に旧埼玉系が反発、ひっくり返したというのである。
 今、旧埼玉系の地盤である埼玉県下には大型開発プロジェクトが目白押しに
あり、大宮、浦和、与野の3市合併をはじめ、上尾周辺や荒川の開発計画があ
る。
 旧埼玉系幹部は、訳のわからないメガバンクに吸収されては、こういうおい
しい地盤を他行に持って行かれると心配したわけである。
 こうした旧埼玉系幹部の“私利私欲”や“メンツ”や“我がまま”に、伊藤
頭取の決断した3行事業統合への参加が潰されてしまったのである。
 あさひ銀行では、西川口支店で客とのトラブルがあり騒ぎになっているが、
国内441店舗で、この種のトラブルが起きており、一般預金者無視、従業員
無視、株主無視の体質が問題になっている。

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【平成のお家騒動】第2回        経済ジャーナリスト 中野 忠良
株式公開めぐり出光興産いとこ同士の会長と社長が対立/家族主義経営にヒビ

 出光興産といえば、サントリー、竹中工務店と並んで株式非公開会社の雄で
ある。売り上げ2兆円は、わが国石油業界で日石三菱に次ぐ大手石油元売り会
社である。
 今年6月、出光昭社長が、5年後に株式を上場する方針を発表した。そし
て、住友銀行などの取引銀行から約340億円の増資を受け、創業以来初めて
外部の資本を導入したのである。
 ところが、出光昭社長のいとこに当たる出光昭介会長が「上場はしない」と
反対を唱えたのである。
 出光興産は、売り上げ2兆円もある大企業だが、最近の増資まで資本金は
10億円。独特の家族主義的な経営理念の下で、労働組合もなく、株式も非公
開を貫いてきた。
 さきの増資とそれにともなう普通株の発行は、株式公開による“普通の会
社”への転換の第一歩とみられたのである。
 ところが、出光昭介会長は「今回の増資は一回きりの資金調達で、普通株の
発行はしない」といい、経営理念も変えないと語っている。

●株公開の障害は1兆円負債、道のりは厳しい

 これに対して、出光昭社長は「発表したことは絶対やる」と言い、「改革派
の役員がこれを支持しており、会長を説得しながら財務強化に取り組む」と発
表、完全に会長の意見が対立した状態である。
 出光昭社長は、普通株発行・上場に備えるため、経理部次長をトップとする
準備委員会を設け、具体的な準備に着手している。
 ただ、石油会社は利益が薄く、国際的な石油価格の変動に影響されやすく、
出光が株式公開をする道のりは厳しいのである。
 何よりも株式公開する場合の障害は、1兆円を超える借金にある。そこで、
出光昭社長は「財務体質の強化」を唱えるわけだが、一挙に改善ができるわけ
ではない。
 そして、株式公開にともない従来の経営理念が貫けなくなる懸念もある。
 「株式市場は投機の場だ。会社はまず株主のために、社員のクビを切ってで
も利益を株主に回せと要求される。私にとって、経営理念を貫くことが最優先
だ。貫けないとわかれば上場はしない。株主一辺倒の経営はしたくない。」
 と出光昭社長は語っており、ここに、株式公開するか、非公開を貫くかのデ
ィレンマがある。その答えが出るのは未だ先になろう。 (次回は西武鉄道)

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 週刊メールジャーナル 2000年8月30日号 第50号(水曜日発行)
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