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2000/10/11 No.56    週刊メールジャーナル   読者数7689人(前回)
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★千代田生命破たん/銀行救済と大口預金者保護だけの金融行政に重大な責任
★【企業お家騒動】9/総会屋事件とリコール隠し、三菱自動車の不祥事体質
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千代田生命破たん/銀行救済と大口預金者保護だけの金融行政に重大な責任
歪められた「金融ビッグバン」本来の狙い    ジャーナリスト 川崎 明

 千代田生命保険がついに破たんした。10月9日同社は東京地裁に「更生特
例法」の適用を申し出、認められた。金融庁は一部業務停止命令を発動し、今
年6月に施行された「更生特例法」適用第1号になった。
 長年経営不振が言われていたが、東海銀行の支援だけでは再建できないとい
う判断に至ったとされる。

●破たんの引き金は相沢金融再生委員長の失言

 これに先立つ先週の三和、東海、東洋信託による新3行統合の記者会見で
は、千代田生命支援問題に質問が集中、あたかも千代田生命の存在が「UFJ
(ユナイテッド・フィナンシャル・オブ・ジャパン)」の足かせになるかのご
とき空気が質問を支配していた。異様な記者会見であった。
 このような記者会見に至った原因は、別途行われた相沢金融再生委員長との
記者会見にあった。
 相沢委員長は記者の質問に対して、千代田生命と外資系保険会社のアリアン
ツとの提携交渉が行き詰まっていることを、うかつにも漏らしてしまったので
ある。
 記者団に追及された相沢委員長は、東海銀行が救済することを期待するとい
うコメントを出さざるをえなくなったが、アリアンツとの提携を千代田生命救
済条件としてきた東海銀行の立場を苦しくさせたといわれる。
 こうした状況が「金融ビッグ4」の一角をなす、「UFJ」結束の癌になる
かも知れないという観測が記者に広がったのは当然だった。
 いつもながらの行政の長による失言ではあるが、千代田生命の経営破たんを
早めた結果はともかくとして、こんごの「金融ビッグ4」によるリテール(小
口金融取引)競争に与える影響は小さくない。

●ないがしろにされた保険契約者保護の法整備

 日本版「金融ビッグバン」には、金融業界の垣根を取り払い、バンカシュア
ランス(銀行と保険の融合)を促進してクロスセリングによる顧客利便を向上
する狙いがあったはずだが、生保の経営状況によっては、再編の組み合わせが
変わる可能性が強まったことになる。
 銀行統合の一方で親密生保の支援が出来ない理由は、資金負担の大きさであ
り、これは統合グループの体力の弱さを証明している。
 このことは、顧客のライフサイクルに応じた資金需要を満たすという「金融
ビッグバン」の狙いを損ね、リテール分野でのグローバリズムによるメガコン
ペティション(大競争)に勝てないことを意味する。
 そこには、これまでの行政による「金融ビッグバン」に対する誤った対応が
原因にある。金融システムのクラッシュを避ける名目で、銀行業界と銀行預金
の保護には血眼になりながら、保険契約者の保護を先送りにしてきた行政があ
る。
 「消費者契約法」や「金融サービス法」も供給者寄りの妥協の産物に終わ
り、
日本版エリサ法のような保険契約者保護は見送られ、保険契約者は銀行預金者
に比べて著しく不利な状況に置かれてしまった。このままでは、民間生保に対
する国民の不信感は一層の高まりを見せるに違いない。
 この国の社会保障制度を補完する、自助努力の手段としての民間生保の役割
も封じてしまうことになる。

●迅速な判断で契約者負担を軽減した経営陣の良心

 こんどの、千代田生命の破たんもまた、行政の思惑を越えた結果のようだ
が、
これまでの経営破たんによって、300万人を越える契約者に何らかの負担を
負わせる結果を招いた行政の責任は免れない。
 今回の千代田生命の判断は早すぎたという意見が一部にある。しかし、契約
者保護が不徹底な状況では、早めの判断によって契約者負担を少しでも抑える
ことが出来るのであれば、経営の良心を少しはそこに見ることが出きる。だが
個人・企業年金など積み立て型商品を始めとして、契約者の損失が避けられな
い以上、過去も含めた経営責任の追及を早急に厳しく実施する必要がある。
 要は、契約者保護と経営責任の追及とを完全セットで実施する仕組みを一刻
も早く確立することが行政の責任である。

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【平成のお家騒動】第9回 三菱自動車工業 経済ジャーナリスト 中野忠良
リコール事件の社内調査責任者は総会屋事件で有罪/全然懲りない不祥事体質

 三菱自動車工業が、消費者からのクレーム情報(無料の回収、修理)を隠ぺ
いしていた「リコール隠し」問題で、部長級幹部が報告書を二重に処理し、会
社ぐるみで隠ぺい工作をしていたことが明らかになった。
 8月17日までに9件、53万台のリコールに加え、新たに6〜7件、5万
台以上が追加提出された。
 三菱自動車は、組織ぐるみで過去30年間も“欠陥車”を隠し続けてきたの
である。自動車会社の生命線ともいうべき「安全」を無視してきたことにな
り、同社の企業理念は如何なるものであったのか。
 三菱自動車は、米国でセクハラ訴訟を起こされ、総会屋事件が発覚、度重な
る不祥事に、99年3月、社員向けに「三菱自動車企業倫理」をつくり、小冊
子にまとめて社員の“心得集”として配布した。
 この中には「法令および社内規定等決められたことを守る」と明記され、リ
コール隠しの6文字も書かれている。ところが、過去30年間にわたってリコ
ールの届け出を怠り、累計62万台分が隠されていた疑いが持たれているの
だ。
 平成11年11月の運輸省による立ち入り検査の際に、提出すべき直前1年
間のクレーム情報のうち、リコール149件を隠した虚偽報告を行い、今年7
月5日の検査でも215件を隠していたという。

◆業績も悪化、三菱グループ他社からも見離される

 この隠蔽工作には、ユーザーからのクレーム窓口となる「品質保証部」の歴
代担当者をつとめた役員3名が関わった疑いが深まっている。
 「驚くのはそれだけではありません。リコール隠しの社内調査をした品質問
題対策委員会の委員長は、上級執行役員の植場淳氏。3年前の総会屋事件で懲
役4月、執行猶予2年の有罪判決を受け、猶予期間を終えたばかりの人物で
す」(社内関係者の話)
 会社のいいなりになって違法行為をした人物が、リコール隠しの調査を本気
でできるわけがないのである。
 いま、三菱の販売店では、リコールとは関係ない車種までキャンセルが相次
ぎ、リコール隠しの悪質さに加えて、その後の対応のまずさが“顧客離れ”に
つながっている。
 8月27には、河添克彦社長が今回の責任を取って辞任すると発表、97年
に総会屋への利益供与事件で引責辞任した木村雄宗社長とともに2代続いて社
長が引責辞任することになった。
 三菱自動車は、ユーザーから見離され、三菱グループからも見離され、外資
(ダイムラー)からも乗っ取りを狙われ、9月中間決算で600億円の赤字が
見込まれ、経営の根幹が揺すられている。         (次回は三越)

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週刊メールジャーナル 2000年10月11日号 第56号(水曜日発行)
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