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2000/10/18 No.57    週刊メールジャーナル   読者数7718人(前回)
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★社会保障の重要政策論をポスト森の政争の具にする亀井静香氏と無責任首相
★また1つ竹下企業が倒れた/千代田生命のドン・神崎安太郎氏と政界の癒着
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社会保障の重要政策論をポスト森の政争の具にする亀井静香氏と無責任首相
独善的な介護保険見直し発言のウラの意図    ジャーナリスト 川崎 明

 今月から介護保険の1号被保険者(65歳以上)の保険料徴収が始まった。
低所得者の徴収をめぐって、かなりの保険者(市区町村、事務組合)が独自の
減免措置をとったことが厚生省を困惑させている。
 これは始めから予想されたことであり、何の手も打ってこなかった厚生省の
責任ではあるが、この期に及んでまたもや自民党亀井政調会長が独善的な発言
をして、政官双方を混乱させている。
 今月始め、「低所得者に対する配慮が必要」と発言したからだ。
 これまで政府は、「負担を分け合う保険制度である以上、少額でも応分の負
担をすべきだ」という基本的立場をとってきたからだし、公的介護保険の政府
案に対して批判的立場をとってきた人たちも、まずは制度を立ち上げてから課
題を整理して、早い機会に見直しをすべきだと主張してきたからだ。

◆重要問題を一切他人任せにする森喜朗首相にも責任

 亀井会長は、昨年の介護保険法成立時に「保険料徴収の凍結」を強引に押し
付けたものの、今年の総選挙ではむしろ国民の反発をかったことは記憶に新し
い。
 にもかかわらず、またもや懲りもせず混乱の種をまく理由はどこにあるの
か。
 今回は来年の参院選対策ではない。ポスト森のヘゲモニーを握ることとが最
大の狙いであると見られている。
 その原因は、森首相自身が作り出しているのだから情けない。森首相は昨年
から亀井氏に対して「この(社会保障)問題は貴方に任せる」と言い、何らリ
ーダーシップを取ろうとしてこなかったことが原因なのである。
 もともと、社会保障制度についての政策は、加藤紘一元幹事長率いる旧宏池
会(官僚出身の多い現加藤派)の独壇場であった。
 厚生省も派閥の勉強会では、宏池会対策に一番力を入れてきた。高級官僚に
よる説明だけでなく、厚生省寄りの審議会委員や厚生省OBの学者を派遣して
政策の裏付けをネゴしてきたのである。
 ところが、加藤派がアンチ執行部に変身したころから社会保障政策がダッチ
ロールをし始め、厚生省のネゴが力を失ってきた。

◆ポスト森狙うが、スキャンダル噴出で亀井氏に焦り

 このところ、ようやく年金、医療でも基本政策をめぐって厚生省の巻き返し
が効を奏し始めてきたところであり、一息つけるかに見えたのである。
 「自民党からは何の連絡もなく、真意がどこにあるのかわからない」という
厚生省幹部の発言が、今回の亀井会長の発言に対する戸惑いを証明している。
 厚生省としては、加藤氏がポスト森を目指して公明党神崎武法代表との関係
を戻し、KKラインを構成したことは渡りに船であった。
 ところが、亀井氏にとっては、これはおおごとである。
 若築建設問題や自ら経営に関与した会社をめぐって火が付きそうになってき
たいま、何としてもポスト森の座席指定券を買っておかなければならない、切
羽詰った状況にある。
 結果はどうであれ、何の問題であれ政策決定のヘゲモニーを握りつづける必
要がある。
 野中広務幹事長の辞任が確実になった状況では、橋本派の内部事情も亀井氏
を焦らせている。
 このような原因を作った森首相の責任は重い。
 国民の生活不安を解消する社会保障政策に関心の薄い森首相の私的諮問機関
「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」(貝塚敬明座長)は今月
24日に報告書をまとめるが、こうした森首相の態度を反映して、まったく無
責任な報告になることが明らかになってきた。
 国民不在の権力争奪戦を放置する状況を変える方法は無いものか。

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また1つ竹下企業が倒れた/千代田生命のドン・神崎安太郎氏と政界の癒着
バブル期の無謀な拡大戦略で巨額不良債権 経済ジャーナリスト 中野 忠良

 経営危機に陥っていた千代田生命が、10月9日東京地裁に「更正特例法」
の適用を申請し受理された。その意味は、来年4月以降は保険加入者に対する
支払いが減額されるということで、さきに破綻した東邦生命の場合は最高8割
の減額があった。そこで、加入者は保険の解約をした方がいいのかどうか悩む
ところだが、残念なことに更正特例法を適用申請した時点で、解約はできなく
なっているのだ。千代田生命の経営者は、加入者がこれだけ損害を受けること
を承知で更正特例法の適用申請をしたことになる。
 千代田生命は1904(明治37)年に創業された生保の老舗で、戦前は明
治生命、帝国生命(現朝日生命)と並ぶトップクラスの生保だった。戦後も大
手生保の一角を占めてきたが、バブル期に過大な不動産投資をしたことで巨額
の不良債権を抱え込んだ。

◆元首相の死で経営危機高まり、銀行が支援打ち切る

 経営破綻の元凶は、昭和57年社長に就任し、平成4年まで14年間の長期
ワンマン経営を続けた神崎安太郎現会長である。神崎は政官界に食い込むため
竹下登元総理に接近、フィクサーと呼ばれた福本邦雄(逮捕済み)の主宰する
「三宝会」に加入、政界や大蔵省に人脈を広げた。
 金融庁の調べによると、千代田生命の含み損は2199億円、不良不動産の
含み損が509億円となっているが、火災で焼けたホテルニュージャパンの跡
地に約700億円を融資、回収ができずに跡地処理も難航、不良債権の額が膨
らんだ。
 これは、神崎社長(当時)が、業界上位の各社を意識して、量的拡大をはか
り、運用利回りの高い不動産関連の企業向け融資や株式投資を積極的に進めた
ことが、バブル崩壊とともに経営を悪化させる原因となった。
 受託収賄事件で逮捕された中尾栄一元建設相の就任祝いには神崎会長、米山
令士社長がそろって向島の料亭に出席している。
 竹下登元首相の死により、千代田生命の経営危機説は高まり、メインバンク
・東海銀行の支援打ち切りで経営破綻してしまった。また1つ“竹下企業”が
倒産したことになる。

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連載「平成のお家騒動」は取材のため今週はお休みさせていただきます。
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週刊メールジャーナル 2000年10月17日号 第57号(水曜日発行)
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