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2000/11/29 No.63    週刊メールジャーナル   読者数7929人(前回)
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国民のためにならない無責任政治番組/テレ朝サンデープロジェクトの滑稽
【企業お家騒動】15/味の素で創業家の世襲制が復活か、社内から批判の渦
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国民のためにならない無責任政治番組/テレ朝サンデープロジェクトの滑稽
自民党主流派幹部とやけに親しい田原総一郎   ジャーナリスト 川崎 明

 本誌前号で指摘した政局第2幕はかなりのハイテンポで進んでいるようだ。
しかし、シナリオが無くなってしまったので即興舞台でおまけに演出も無い。
したがって結末も見えにくいが、間違いなく森喜朗内閣は閉幕に向かっている
ことは確かだ。
 いつでも森首相に発言か行動のミスが出れば、自民党主流派は待っていたと
ばかりに森おろしに動き出すことは明らかだ。
 それどころか、3月に開かれる党大会では、人事をめぐる紛糾によって、党
自体が解体の憂き目に遭うことになるかもしれない。
 ただ、一部のマスコミが演出家気取りででしゃばることが懸念されている。

●自堕落民放テレビが何を思い上っているのか

 テレ朝系列「サンデープロジェクト」の司会者田原総一郎氏が、26日の同
じ番組で、「多くの国民が、加藤紘一さんに不信任案賛成を翻意させたのは、
19日の番組に出演した、田原と野中幹事長とがつるんだやらせが原因だと言
っている」として、出演した(させられた?)鈴木宗男総務局長を相手に、そ
のような事実の無いことを証明させようと、躍起になっていたのは滑稽だっ
た。
 国民は誰もそんな誤解はしていないし、自堕落な民放テレビにそんなに国を
動かす権威も実力もあるとは思っていない。思い上がりも程ほどにするべきで
ある。
 しかしハッキリしていることは、北海道の洞爺湖温泉から中継出演した野中
幹事長が「総裁選を繰り上げても(森首相を退陣させる可能性があっても)い
いと思う」と言ったことを田原氏が早とちりして、加藤氏から「(その場合は
不信任案に)賛成することを考え直しても良い」とする言質をとってしまった
ことである。 
 政治家の常としても当然のこと、海千山千の野中氏が、このような重大な逃
げ道の無い約束事を、独断でする筈が無いことくらい誰にも分かりそうなもの
を、“お公家さん”の加藤氏をその気にさせてしまったのは、明らかに田原氏
のミスリードではないかと、あの瞬間、多くの国民は思ったのである。
 この番組ばかりではないが、国会議員を招いて討論させるのはいいとして
も、司会者の思い込みによって発言を誘導するのは無責任にすぎる。

●野中の北海道滞在の裏の理由/追及を避ける田原

 それにしても今回の田原氏と鈴木氏のやり取りは双方増長慢で見苦しいかぎ
りだった。
 鈴木氏が野中氏に随行していたのは、「側近中の側近として」と田原氏はお
だて上げていたが、この時期わざわざ北海道くんだりまで主流派の幹部がおそ
ろいで逃避行していた理由は別にある。
 洞爺湖温泉再開の激励は表向きの理由で、周辺にきな臭い煙が立ち込めてき
た鈴木氏が、野中後援会を自らの利権テリトリーに呼び込み、東京地検特捜部
をけん制することにあったのである。しかもまさに19、20日の激烈な加藤
派、山崎派工作の最中、アリバイをつくりながら、その実遠隔操作をしていた
のである。こんなこと、田原氏が知らないはずが無いのに、なぜその点の追及
を避けてしまったのだろうか。
 挙句の果て田原氏は、亀井静香政調会長がわざわざ羽田空港まで野中氏を出
迎えた理由について鈴木氏に尋ねながら、「これで、(加藤氏の芽がなくなっ
たので)次期総裁は亀井さん、幹事長は鈴木さんがハッキリした」などと、重
ねてのリップサービス。これにはさすがの鈴木氏もテレ笑いを隠すことができ
なかった。
 鈴木氏を出演させた理由は、洞爺湖温泉での野中発言には、何の裏も無く、
いわんや田原氏との事前のはかりごとなどありえないという、生き証人に仕立
て上げることにあった。
 けれどもこの番組では田原氏が、野中氏、亀井氏、鈴木氏といかに親しいか
ということを証明する結果になっただけである。この3人に村上氏、古賀氏を
加えた政界の仕事師5人組が、今回の「加藤氏の乱」に果たした役割を見れ
ば、この番組が国民のために何ができたのか、自ずと明らかになったわけであ
る。 いよいよ政局第2幕が佳境に入ってくる。この大切なときマスコミがお
かしな口出しをしてミスリードしないよう、自重してもらいたい。

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【平成のお家騒動】第15回  味の素   経済ジャーナリスト 中野忠良
創業家御曹司が異例の大抜擢/世襲制に社内から批判の渦、経営内紛へ発展か

 米司法省から「リジン価格操作カルテル」問題を指摘された米国・味の素は
今年6月、1000万ドルという巨額の制裁金の支払いを命じられた。一方
で、97年に発覚した総会屋への利益供与事件の後遺症から、いまだに抜け切
れずにいて被告・石神元総務部課長の裁判は続いている。
 利益供与事件で97年5月引責辞任した稲森俊介社長は会長に退いて、江頭
邦雄氏にバトンタッチし、稲森・江頭新体制は歴代社長たちが座る名誉職の相
談役が取締役会に出席していたのを廃止“長老支配”を一掃しようとの気概を
示した。
 だが、同年6月株主総会後の取締役会で、鈴木三郎助名誉会長の長男・重利
氏(アミノ酸事業部長)を取締役に昇格させている。鈴木重利氏の取締役就任
は、通常より2、3年早い昇進(氏は昭和46年に新卒で入社)であり、味の
素社内では「世襲制の復活か」との批判が出ている。

◆不祥事の続出、雇われ社長には経営を任せられない?

 味の素は、戦後はじめて同族以外から社長になった道面豊信氏以来、創業家
から社長を出すことはなく、資本と経営が分離する近代経営の形が作られ、創
業家は名誉職に甘んじてきた。
 道面以降、歌田勝広、鳥羽董、稲森俊介ら歴代社長は創業家から“経営を委
託”された雇われ社長であった。
 この間、唯一、創業家の鈴木恭二が社長の時代に「グルタミン酸ソーダは有
害」との事件が起きて、鈴木恭二は詰腹を切らされたのである。この事件に懲
りて、創業家は経営の第一線に立つことがなくなった。
 ところが、この“習慣”を破って、鈴木家が経営の第一線に立とうとの野心
をむき出してきたのである。それは、総会屋への利益供与事件以来、米司法省
からヤリ玉にあげられた“カルテル事件”などが相次ぎ、やとわれ社長たちに
経営をまかせられないとの判断が出てきたのであろうか。
 ただし、味の素の現在の社員たちは、そういった認識は皆無に等しいであろ
うから、いきなり「世襲制」といわれても、何が何やらさっぱり判らないとい
うのが実状だろう。
 こういう時代に、創業家の人間をあえて取締役に昇進させた意図がどこにあ
るのか、稲森・江頭体制の意志表示をいま暫く見守ることにしよう。
                            (次回は松竹)

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週刊メールジャーナル 2000年11月29日号 第63号(水曜日発行)
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