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2000/12/6 No.64    週刊メールジャーナル   読者数7963人(前回)
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自民党の末期症状/秘書や党職員から「亀井を更迭して解党的出直しを」の声
【企業お家騒動】16/クーデターで創業家が社長返り咲きの裏側のドロドロ
前会長の千代田生命私物化問題で新事実/暴力団系企業・愛時資へ不正融資
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自民党の末期症状/秘書や党職員から「亀井を更迭して解党的出直しを」の声
内閣改造劇めぐる大マスコミの混乱と醜態    ジャーナリスト 川崎 明

 本誌が配信される頃には森喜朗首相による第二次改造内閣は、よたよたしな
がらも何とか発足しているはずである。
 しかしこの原稿を執筆しているときは通産相(再編後の初代経済産業相)な
どの調整をめぐって官邸、橋本派、江藤・亀井派とが三つ巴の激しい抗争をし
ていた最中であった。
 改造前夜の12月4日深夜から5日午前にかけては派閥間の抗争が極点に達
し、「だから言わんこっちゃない、野中先生がやらなきゃ誰にもできんよ、い
っそ不信任を通して解散してればよかった」などと言う物騒な発言が、一睡も
できなかった秘書や党職員らから出たのもむべなるかなである。
 話の趣旨は亀井静香政調会長を更迭して世代交代の印象を国民の前にもっと
明らかにすべきだということであった。
 このような意見は党内では早くから出ていた。言わば良識派というより常識
派の実務担当者の率直な声だったのである。

●野中の謀略説まで言われるほどの誤報記事オンパレード

 本誌が前号で指摘したように、テレ朝系列『サンプロ』司会者田原総一郎氏
の「ポスト森は亀井総裁、鈴木幹事長(宗男総務局長)で決まり」などとした
発言の悪影響はこんなところにも出ているのである。まさにマスコミによるミ
スリードの見本である。
 しかも辞任を発表後の野中幹事長は「自分はもはや言うべきではない」とし
て積極的な調整から手を引く態度を見せていたことが派閥間の自己主張に輪を
かけていたのである。
 だが、野中氏にしてみればこれは既定の方針であった。キングメーカーとし
て院政を確保するために避けて通れない路線であった。
 このため11月31日からのマスコミ報道は誤報のオンパレードだった。
 野中幹事長の留任情報をはじめ、田中真紀子氏の入閣説まで、まるでど素人
の政治記者が流したのではと思われるほどの錯覚情報が氾濫したのには驚かさ
れた。
 「ひょっとすると野中氏が意図的にかく乱情報を流したのではないか」と専
門家の間では言われるほどの情報の混乱振りであった。

●「森おろしの第2幕」とのマスコミの見方は大間違いだ

 いずれにせよ、今度の改造劇をめぐってハッキリしたことがいくつかある。
 1,自民党が相も変わらずの醜い派閥抗争を見せつけたこと 2,すべての
派閥でリーダーシップのとれるリーダーがいないこと 3,実質的な森おろし
が最終段階に至ったことなどである。
 野中氏の後任幹事長である古賀誠氏は「野中氏の子分と言うよりジュニアの
ようなもの」というマスコミの論評があるがこれだけは的を射ている。
 つまりは野中院政の準備が一歩前進したということもあわせてハッキリした
のである。
 これに合わせて亀井氏、鈴木氏、村上氏がどんな歩調を取るかで自民党の参
院選に向けた戦略がハッキリする。
 ただし、国民にとっては自民党がどのように戦略調整しても解党的出直しを
しない限り何のメリットも無いことはハッキリしている。
 その意味で、マスコミが口を揃えてこの政局を「森おろしの第2幕」として
いるのは明らかな大間違いである。
 正しくは「加藤政局」の第三幕が開こうとしているところであり、今のとこ
ろ、第四幕も第五幕もありそうな気配なのである。
 国民が今度の参院選でどのような学習効果を見せるかによって、全く新たな
政局の幕が開くと言ってもいい。それまでは連立与党を含めたどたばた劇は間
違いなく繰り返されるのである。

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【平成のお家騒動】第16回   松竹   経済ジャーナリスト 中野忠良
創業者御曹司社長による放火事件から16年、クーデターで息子が社長の座に

 東証一部上場会社の社長が、自分の自宅に火をつけて燃やし、お手伝いの女
性が焼死するという前代未聞の事件が起きたのは16年前の1984年だっ
た。
 この男は、小柄で病身、71年に夫人を亡くし、酒好きで毎晩、銀座裏をフ
ラフラ飲み歩いていたという。
 通称・池田山の豪邸に住んでいたが、長男も独身で男2人のやもめ暮らしだ
った。男は精神衰弱で発作的に火をつけたということになったが、何ともおど
ろおどろしい事件を起こしたものである。
 この男こそ名門・松竹の大谷隆三社長で、創業者・大谷竹次郎の息子だっ
た。事件後、社長の座を降りた大谷の後は永山武臣副社長が継ぎ、その後を奥
山融副社長が継いだ。
 松竹は映画会社ではあるが、興業部門(歌舞伎)を持つ特殊な存在であり、
当時から演劇部門と映画部門に分かれ、永山が演劇、奥山が映画部門を分担し
ていた。

◆奥山社長父子の会社私物化/アルゼの松竹株買い占め

 98年1月、松竹にクーデターが起きた。奥山融社長と息子の奥山和由専務
が突然、解任されたのである。
 映画部門が赤字になり、人気プロデューサーといわれて映像部門の権力者と
して我がままな振る舞いをしていた奥山専務の会社私物化に、松竹の役員陣が
取締役会で解任動議を出し、これが承認されて奥山父子は松竹から追放され
た。
 そして、後任社長に選ばれたのが創業者・大谷家の三代目である大谷信義
(隆三元社長の息子)である。
 松竹の98年2月期決算は97億3900万円の赤字であり、大谷信義は最
悪の時期に社長の椅子についた。
 大谷は常務、専務をつとめ、映像部門の責任者と歌舞伎座社長を兼務してき
た。永山会長がこれを後見しているという図式である。
 「育ちの良さからか、人柄はいいが、これという仕事の成果もなかった」
 と評される大谷家三代目社長が、この激動の時代に会社再建できるかどうか
危ぶまれている。
 現に、パチンコメーカー大手の「アルゼ」(岡田和生社長)によって株が買
い占められ会社乗っ取りの危機にも見舞われている。  (次回は佐川急便)

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前会長の千代田生命私物化問題で新事実/暴力団系企業・愛時資へ不正融資
                    経済ジャーナリスト 中野 中良

 “黒い紳士”たちに食い物にされた経営再建中の「千代田生命」の神崎安太
郎前会長が暴力団とのかかわりの深い企業の役員をつとめ、その企業グループ
に230億円もの融資をしており、その大半に当たる160億円が回収不能の
不良債権になっていることが、このほど明らかになった。
 暴力団がらみの企業とは“佐川急便事件”にも登場した「愛時資」(本社・
東京都千代田区)という会社で、栃木県下で暴力団関連企業とゴルフ場開発を
進め、幹部が国土法違反で逮捕されたいわくつきの会社。
 神崎前会長は、この会社の役員をつとめ、月額50万円の報酬を受けていた
。この事実を会社の役員会にも報告せず、12回にわたり総額230億円の融
資を行っていた。うち165億円が焦げ付いている。
 さらに、愛時資が都内で地上げした土地を坪当たり4000万円、総額
190億円で買い取っていたが、現在160億円の含み損を抱えている。
 横井英樹のホテルニュージャパン、破たんした金融業者アイチの森下正道、
さらに東京相和銀行の長田庄一ら、“バブル紳士”たちとの融資、取り引きに
も深入りしていたことはすでに発覚しているが、神崎安太郎前会長の会社私物
化は、そごうの水島広雄前会長の会社私物化にヒケを取らないものといえるよ
うだ。

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週刊メールジャーナル 2000年12月6日号 第64号(水曜日発行)
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