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2001/6/6 No.88     週刊メールジャーナル   読者数8516人(前回)
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田中外相叩きの背景と伏魔殿外務省のどす黒いODA利権構造と鈴木宗男氏
守旧派に荷担する大マスコミの無責任      ジャーナリスト 川崎 明

 クイズめいて恐縮だが、ナイジェリア連邦共和国議連、モザンビーク共和国
議連、ケニア共和国議連、ジンバブエ共和国議連、ボツワナ共和国議連、ザン
ビア共和国議連、コンゴ民主共和国議連、ルワンダ共和国議連、モーリタニア
・イスラム共和国議連、ブルキナファン議連、象牙海岸共和国議連、ギニア共
和国議連、日本ガーナ共和国議連、ガボン共和国議連、ブルンディ共和国議
連、カメルーン共和国議連と並べて見て、これは一体なんだと思われるだろう
か?
 これらは、アフリカの国々との友好親善を進めるための国会議員連盟(議
連)の数々だが、ここに掲げた16カ国の議連会長を務めているのが前自民党
総務局長の鈴木宗男氏である。
 同氏が自民党きってのアフリカ通と言われている理由もうなずけるだろう。
 何故アフリカなのか? 
 良く知られているように、同氏は故中川一郎代議士(元農水相、科技庁長
官)の秘書を経て代議士になったが、その人脈を受け継いでロシア関係に強
く、北方領土問題には大きな発言力を持っている。

●ODA工事を受注した企業と窓口政治家の癒着

 今回田中眞紀子外相が、外務省人事を凍結した原因の一つに、小寺次郎前ロ
シア課長の英国公使転出をめぐる省内の暗闘があったといわれているが、その
直接の火種となったのが、北方領土返還交渉の進め方をめぐる闘いである。
 2島先行返還を画策していた鈴木氏に対して、頑なにこれまでの政府方針に
固執した小寺氏が更迭されたと言われている。
 ともあれ、野心家の鈴木氏は、同じ橋本派で同様野心家の野中広務元幹事長
に接近し、外交族として野中氏の右腕になっていく。
 現在、鈴木氏の影響力は外務省全体に及んでいるが、そのてこになったのが
ODA(政府開発援助)をめぐる外務省利権である。
 そのODA利権に早くから絡んできた鈴木氏だったが、欧米先進国や、韓
国、中国、東南アジア各国といった“重点地域”に係わる利権は、すでに大物
政治家に抑えられていた。
 そこで“政界未開地”だったアフリカに目をつけた、とされる。
 議員連盟の会長は、その国と日本との政治的な窓口になるということであ
り、ODAを始めとする相談ごとはまず窓口に持ち込まれる。ODAを受注し
た企業は、その窓口政治家の事務所に“挨拶”に出向かなければならない仕掛
けになっている。
 こうした利権システムに目をつけた鈴木氏は着々と外務省利権を手中にして
きたが、自分の意に従わない官僚を排除しようとするのは当然だ。

●鈴木宗男氏のアフリカ経済援助“差配”の数々

 現在、鈴木氏は自民党対外経済協力特別委員長として、外務省のODA利権
を握り“差配”している。
 最近の夕刊紙や週刊誌で取り上げられた問題のひとつが、ケニアでの175
億円にのぼる水力発電事業である。現地では農地が荒れるなどとして反対運動
が起き、政治問題化している。
 この事業の推進役となったのは、ケニア共和国議連の会長であり、官房副長
官時代にはモイ大統領と会談、迅速な援助を約束した鈴木氏だと言われいる。
 しかしなぜか鈴木氏は問題が大きくなってからは、「事業のことは知ってい
るものの、外務省その他に口を利いたこともなければ推進もしていない」と、
異常なほどの否定ぶりだ。
 鈴木氏が外務政務次官時代の平成3年には南アフリカを訪れて、アパルトヘ
イト(人種隔離政策)撤廃について協議、民主化の推進を要請している。官房
副長官時代には、先のケニアだけでなく日本のODAの“目玉”とされたスエ
ズ運河架橋事業で、エジプト側と何度も交渉を重ねている。
 平成11年10月、ユネスコ(国連教育文化機関)の事務局長に松浦晃一郎
駐仏大使が選出されたが、その根回しを果たしたのは票(国数)の多いアフリ
カ諸国に“顔”を持つ鈴木氏だったという。
 また、緒方貞子氏とともに訪問した森喜朗前総理のアフリカ行きも、同氏と
外務官僚の根回しの成果だとされている。(本誌1月10日号で既報)
 そうした努力の一面は買うが、それが国内土建工事と同じ利権感覚の延長線
上にあるのだとしたら、今後ともケニア問題同様、批判されなければならな
い。

●外相本人の独善性とヒステリー症?も問題だが

 一方、田中外相と外務省との確執は、こうした外務省利権と深いかかわりが
あることは明らかだ。眞紀子氏の、「表現は悪いが」とした上であえて言っ
た、「伏魔殿」なる言い回しは、こうしたさまざまな問題を丸抱えにしたまま
の役所体質を言い表そうとしたものだということは、多くの国民が感じている
ことだ。
 ところが、外務省の深い闇のなかを、本来照らし出さなければならないマス
コミ(とくに大手日刊紙)が、その使命を全く果たしていない。
 これには、マスコミが予期できなかった小泉内閣と眞紀子大臣の登場で、こ
れまでの取材ネットワークが崩壊してしまったことがある。
 いま、眞紀子外相はイタリア外相やオーストラリア外相との会談での発言に
より、窮地に立たされるシナリオが進行中だ。
 このシナリオはそもそも、取材に窮したマスコミが、外務省内の守旧派官僚
グループのマスコミ対応に乗せられて展開してきたものである。
 もし、シナリオどおりに舞台が進み、政官の守旧派たちが、密かに祝杯をあ
げる結果になれば、ほぼ永久に、外務省利権のどす黒い疑惑は明るみに出るこ
とはなくなってしまう。
 このことは、マスメディア自体が自民党権力体制の中で守旧派体質に陥って
いることを示している。
 もちろん、眞紀子外相本人の持っている、独善性とヒステリー症が、いずれ
小泉内閣のアキレス腱になるであろうことは、組閣過程当時から言われてきた
ことであり、今日の事態はさして驚くに当たらないことであるが、虎視眈々と
リベンジの機会を窺っている守旧派たちに、構造改革の主導権を奪われること
にでもなれば、マスメディアのジャーナリズムとしての資質が、改めて問われ
ることになる。

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 週刊メールジャーナル 2001年6月6日 第88号(水曜日発行)
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