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2002/9/25 No.152    週刊メールジャーナル  読者数9450人(前回)
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◆雪印食品の告発者を追い詰める醜悪な「官」と「業」
    (会員制経済情報誌『現代産業情報』9月15日号より転載)

 雪印食品や日本ハムの牛肉偽装事件は、偽装を悪いことだと認識していない
食肉業界の本質、そこに大量の天下りを送り込むことで業界と癒着、まともな
行政指導を行なってこなかった農林水産省の腐敗、食肉業界に横たわる同和利
権の“闇”など、様々な問題を国民に知らしめた。

 そのきっかけを作ったのは、雪印食品から偽装を強制され、一度はそれに従
ったものの、迫り来るマスコミの追求に悩み、自らの良心に照らし合わせて内
部告発に及んだ西宮冷蔵の水谷洋一社長だった。

 衝撃的な告発から半年、当初は水谷氏が元衆議院議員の河本三郎氏の元秘書
であったことから、政界との連携説や、雪印食品との確執説など様々な風聞が
流れたが、その後の経過から、一人の業者の思い悩んだ末の告発であることが
明らかとなった。

 その西宮冷蔵が追い詰められている。
 仕掛けているのは農水省である。西宮冷蔵は、輸入農産物を扱うため農水省
から「畜産物の輸入検査場所指定」を受け、国土交通省からは「倉庫業法」の
営業許可を受けている。

 このうち国交省の「倉庫業法」については、在庫証明を偽造したとして、同
省が15日間の営業停止処分を下そうとしている。

 この「偽造」は、大口取引先からの“強制”によって事情をよく知らないま
ま応じたものであり、雪印食品を捜査した警察も、起訴した検察も不問に付し
たもの。

 それを今になって行政処分しようとしているのは、雪印食品騒動の最中に、
農水省と国交省が連携のうえ、「業界秩序を乱した業者へのみせしめ」(食品
業者)として、西宮冷蔵への処分を決めていたからだという。

 「農水省は、国産牛肉の買い上げ焼却制度をいじれば、第二、第三の雪印事
件が発覚することを承知していた。だから、これ以上問題が表面化しないよう
に西宮冷蔵を罰し、内部告発が続かないようにするつもりだった。ただ、騒動
の最中に行政処分だと“露骨”なんで、7月9日に“内示”した。

 西宮冷蔵は当然反発、署名活動などして反撃に出た。国交省は刑事告発をチ
ラつかせるなど強圧的だったが、日ハム事件の発覚で『やっぱり西宮冷蔵の告
発は正しかったじゃないか』という声が強くなり困っている。

 でも、農水省の手前もあるし、振り上げた拳を下ろせない。それで『何が何
でも処分』という態度を崩していない」(同)

 西宮冷蔵イジメは、「官」だけではない。
 いらぬ騒動を巻き起こしたと、「業」も同社への締め付けを続けており、告
発から半年以上経った今も、食肉業者の肉を預かることは一切ない。

 倉庫業界ではお歳暮シーズンの準備が既に始まっており、チルドルームを持
つ西宮冷蔵には、一度は大手ハムメーカーの商品が貯蔵されることになった。

 しかし、それがメーカー上層部の耳に入った段階で「お断りしたい」という
連絡が入っている。

 食肉やハム・ソーセージといった“稼ぎ頭”を奪われた西宮冷蔵は、鮮魚を
中心とした扱いを増やしてはいるが、売上の減少が続いている。

 「官」と「業」は、事件発覚の度にマスコミの前で偽装や監督不行き届きを
詫び、頭を深々と下げてはいるが、実はなんの反省もしていないどころか、自
分たちの“村社会”を今後も守り、西宮冷蔵のような“異物”を排除しようと
している。

 日本ハムの疑惑発覚は、農水省への内部告発によって始まり、それを農水官
僚が丹念に調べて日本ハムを追い込んだがごとき報道がなされているが、実は、
日本ハムの“自白”は内部資料を入手した『讀賣新聞』の「明日、報道します」
という最後通告によってなされたもので、その資料を持ち込んだのは、農水省
に告発しても一向に調べを進めない農水官僚に苛立った日本ハムの内部告発者
だった。

 「丹念な調べ」とは、「事態をどううまく収めるか」という農水官僚と日本
ハムとの事前の話し合いではなかったのか。

 監督官庁がそんな姿勢だから、業界団体の役員に官僚OBを受け入れている
業界が変わるわけがない。

 むしろ、生産量の10倍はあるという「松阪牛」といったニセ表示や、輸入
肉の国産肉への偽装は、利益を確保するためには今後も続けなければならない。
今は一時の辛抱で、「人の噂も75日」と、国民をなめ切っている。

 だから「官」と「業」が総がかりで、“謀反”がこれ以上起きては困ると、
西宮冷蔵を追い詰めるのである。

 これが、取り敢えずは終息に向かう「偽装事件」の裏で起きていることだと
すれば、ウミを徹底的に出し切るために、検察の手で制度の裏で蠢いた政治家、
官僚、業界団体幹部を徹底捜査すべきだろう。

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週刊メールジャーナル 2002年9月25日 第152号(水曜日発行)
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