■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2006/2/1 No.319 週刊メールジャーナル 読者数11242人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●総裁候補・安倍晋三官房長官の地元で盛り上がる談合疑惑 (会員制経済情報誌『現代産業情報』1月1・15日号より転載) 検察の談合摘発が続いている。 国土交通省と日本道路公団の2ルートで橋梁談合を摘発した東京地検特捜部 は、昨年末から重電設備談合に着手、まず成田空港ルートを手がけ、近く防衛 施設庁ルートに伸ばす方針。 1月4日から強制調査権を与えられて意気あがる公正取引委員会とともに、 「談合社会撲滅」を目指す勢いだ。 (指摘の通り、1月30日東京地検特捜部は同庁技術審議官・河野孝義容疑 者ら3人の関係者を逮捕した=編集部注) 天下りの受け入れと引き換えに入札情報を漏洩、それをもとに業者が談合で 高値落札を図り、緩衝材や仲介役として政治家秘書が加担するという公共工事 における談合の構図は、今度こそ壊されそうだ。 強制捜査権とともに導入された、公取委に内部告発すれば罪を減じるという 「密告制度」は、談合を支える「村社会の論理」を間違いなく揺さぶるし、な により課徴金の引き上げにより談合メリットは失われつつある。 それを見越して、談合の筆頭業種であるゼネコンは、「業務屋」と呼ばれる 談合担当者の配置換えを行なっている。 「総合力で勝るスーパーゼネコンが、法改正を機に『勝ち逃げ』を図ろうと している」という、中堅以下の不満はあるものの、「小泉改革」のもと、全企 業が苛烈な競争社会に叩き込まれ、企業が物として売り買いされる「市場中心 主義」が“認知”されていく中で、話し合いで利益を少しでも多く確保しよう という手前勝手な論理と手法が長続きするはずもない。 独禁法の改正、検察の連続摘発、業界の自主的な組織解体は、時宜を得たも のといえよう。 この流れに沿って、とどめのような公取委調査が続けられ、2月にも検察へ の告発が予想されているのが、汚泥・し尿処理施設の談合である。 年間1000億円未満の小さな市場。ただ、橋梁談合と同じように、三菱重 工、日立造船、クボタ、三井造船、住友重機械工業などの大手がズラリと並ぶ。 橋梁談合、重電談合などで摘発済みのところも多く、ゼネコンと同じように、 談合組織を解体、もしくは自ら離脱しなければ、課徴金や指名停止の長期化と いった実利はもちろんのこと、これだけ確信犯的犯罪を重ねていれば、コンプ ライアンス以前の問題ゆえ、企業としての存立意義が問われよう。 それは同時に、官製談合を主導する「官」の側の問題でもあり、政治システ ムの改革にもつながっていく。 例えば、汚泥・し尿処理談合を公取委が検察に告発すれば、具体的な「犯罪 の場」としてヤリ玉にあがりそうなのが、山口県下関市のし尿処理施設談合で ある。 昨年7月末に入札は実施され、クボタを代表とする地元企業三社との共同企 業体が26億8000万円で落札した。 入札前から談合情報が伝えられ、入札除外されたプラントメーカーが内部告 発、混乱に嫌気のさした担当の環境部長が辞職するという混乱の中、予定通り に入札は実施され、談合情報通りの落札だった。 この談合疑惑が捜査対象となれば、間違いなく安倍晋三官房長官の道義的責 任が問われよう。 下関市が安倍氏の地元というにとどまらない。江島潔市長も市長の知人で公 共工事に影響力を行使するというH氏も、JVに参加する建設会社も、入札に 関与した地元コンサルタント会社も、すべて安倍事務所と深い関係を結んでい るからだ。 「実力者だから市政を含めすべてに関係するのは仕方ない」という言い訳は 通らない。 このし尿処理施設に限らず、下関市の入札では、市長周辺のH氏が暗躍する ことが少なくなく、その構図は安倍氏を中心とする権力構造によって支えられ ている。 中央で小泉側近として改革を支え、その後継者になろうという意欲を燃やす 安倍氏は、地元で確立されたこの旧態依然としたシステムを、自分の手で打ち 壊すぐらいの気概を持たねばならない。 検察と公取委は調査・捜査の面からこれに挑み、業者が悔い改めようとして いる時、三世議員らしく「よきにはからえ」と、地元の魑魅魍魎たちに利権の 分配をまかせているようでは、この人に宰相の資格はない。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は本誌がお 取次ぎいたします。お申し出あれば無料で見本誌をお送りします。 【あとがき】 民主党は、この通常国会で「耐震偽装事件」「ライブドア事件」「米国産牛 肉輸入事件」を3点セットで政府を追及しようとしているが、単に誰かの首を 取ったぐらいでは、政権に近づくことはできない。 「耐震偽装」も「ライブドア」も、本質は企業のあり方、経営の社会的責任 を問う問題であり、「米産牛肉」も、本質は行政のあり方、行政の社会的責任 を問うている点で、いずれも、そのあり方を明確に示さなければ、国民は、3 点セットといわれる事件追及の価値を認めないからだ。 この3事件は、いずれも、この国の過去の構造に深くかかわる事件であり、 小泉流の改革がひき起こした単純な表層的な現象ではない。 本来、根底から変えなければならない企業と監督行政の関係を、中途半端な 法令違反摘発で終わらせれば、せっかく緒についた談合構造の破壊はもとより、 規制緩和などの改革を元に戻そうとする守旧派を利するだけだ。 官製談合の根源は、天下りを前提とする、公務員制度を維持しようとすると ころに本質がある。 したがって、定員制や総人件費予算制などの官庁の既得権を根本的に見直さ なければ、「早期退職を余儀なくするキャリア制度」は改まるはずがない。 民主党の中には、実は、公務員制度を根本から構造改革することに反対して いる政治家が多数巣食っていることを、国民はよく知っている。 同党代表選挙やその後の前原代表包囲網づくりなどを通じて、民主党の政策 不協和音を、多くの国民は耳にしているからだ。 下がり始めたとはいえ、小泉政権の支持率はまだ高い範疇にある。他のリー ダーによる政権では、ここまでの改革はできないのではないかと、国民が見て いる証左だ。 民主党がホンキで政権獲りにいこうというのなら、今年の夏以降、自民党内 で間違いなく始まるであろう、「小泉流自民党潰し」の見直し論に対抗する、 もっと、強力で徹底的な官・業関係の改革論を展開しなければ、政権交代の意 義を見出すことができないからだ。 したがってこの国会では、声高に責任論を語り、勘違い答弁書(米産牛肉事 件)を作成した官僚のあぶりだしをしたり、仮に大臣の首を取ったところで国 民は評価しない。 耐震偽装事件も同様だ。被害者住民の支援が厚いとか薄いとかは本質論では ない。行政指導・監督行政はどこまで責任を取らなければならないのか、そこ を明確にしなければならないのだ。 「官から民へ」を曲解し、官で取るべき責任を民に委ね、あまつさえ天下り 先確保に変質させた、国土交通省の体質をどう変えるのか、本質論を明確にし なければならないのだ。 _____________________________________ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発 行しています。( http://www.mag2.com/ ) 配信を希望または中止されたい方はこちらでどうぞ。 http://www.mail-journal.com/touroku.htm ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2006年2月1日 第319号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |