■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
  2006/2/15 No.321   週刊メールジャーナル  読者数11245人(前回)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
●粉飾とマネーロンダリングの舞台となった海外ファンドの怪しさ
(会員制経済情報誌『現代産業情報』2月1日号より転載)

 ライブドア事件は、突然、始まったわけではない。橋本龍太郎内閣が掲げた
「金融ビックバン」は、証取法、会社法、外為法などを改正、資本市場を活性
化させたが、その反面、法の隙間をかいくぐる金融テクニックを駆使した無法
集団の跋扈を許した。

 捜査当局はこれまで手を拱いていたわけではなく、志村化工、メディアリン
クス、南野建設、ソキア、丸石自転車、大盛工業など、それなりに摘発してき
た。

 しかし、いかにも小粒で一罰百戒にはほど遠く、目に余る「モラル無視」の
犯罪性を、時代の寵児となったホリエモン逮捕で周知徹底させようとしたので
ある。

 今回の事件のキーワードはファンド。基金と訳すより「カネの塊」といった
方がしっくりくる。

 利回りを求める欲望の塊は、成功報酬を得たいファンドマネージャーによっ
て自己増殖する。そこに建前や理屈はなく、「稼ぐが勝ち」である。

 「どこかに手ごろなハコなないか」

 証券ブローカーやファンドマネージャーの間で、こんな会話が交わされるよ
うになったのは、7〜8年前からである。「ハコ」とは、業績悪化で証券市場
に沈められるような上場企業のこと。

 「ハコ」はわずか数十億円でファンドが購入、優秀なファンドマネージャー
の手にかかると、あっという間にピカピカになって証券市場で再生する。

 もちろん、実業で復活するわけではない。M&Aによる再生がアピールされ、
高学歴で見栄えの良い役員が招請され、新規事業がIRされる。

 つまり会社自体の粉飾だが、株価操作のベテランでもあるファンドマネージ
ャーは、下方修正条項付きのMSCBなどでファンド資金を確保、出資者を株
価で満足させたうえ、企業に一瞬の光芒をもたらす。

 化粧はすぐに剥がれ、前よりも醜くなった「ハコ」は、また証券市場に打ち
捨てられ、ファンドは次なる獲物を求めて市場を徘徊する。

 この焼畑農業を繰り返す集団は、「私募CB軍団」と呼ばれ、批判され、冒
頭のように摘発もされたのだが、一度覚えた会社転がしの味は忘れられないよ
うだ。今もそんな連中によっておもちゃにされている上場企業は少なくない。

 「悪貨」は「良貨」を駆逐する。業績不振企業で用いられたMSCB、海外
ファンド利用、いい加減なIR、そして決算の粉飾といったメニューのすべて
を駆使して株式時価総額を膨らませたのがライブドアだった。

 ライブドアが、ファンド利用の自社株利益の創出に踏み切ったのは03年だ
が、その時には怪しい金融テクニックは確立されていた。

 ファンドには上述の「粉飾」のほかに、出資者にとって二つのメリットがあ
る。

 第一に正体を隠せること。出資者は自分の存在を知られることがないので、
村上ファンドのような総会屋的ファンドに出資したところで恥じることはない。

 会社や市場をおもちゃにするようなファンドは批判されるが、責めはファン
ドマネージャーが負うのであって、知らん顔を決め込むことができる。しかも
怪しい攻撃的ファンドほど利回りがいい。

 第二にマネーロンダリングや資産逃避が可能であること。ライブドアの利用
した「M&Aチャレンジャー1号投資組合」が香港籍であったように、ファン
ドは海外のタックス・ヘブンを本拠地としているのが一般的。

 ライブドアのようにファンドを隠れ蓑にして、収益を海外の別のファンドに
飛ばしたらロンダリングは完璧で、その資金をホリエモンのように個人のスイ
ス系プライベートバンクに入れておけば、資産逃避にもなる。

 ライブドア事件をきっかけに、ファンドへの規制強化が叫ばれるようになっ
た。実態と正体の定かでないファンドが、企業買収の主体となり、あげく粉飾、
脱税、マネーロンダリングの温床となっているのでは、そうした動きも当然だ
ろう。

 もちろん、カネを清きところにとどめていては市場は活性化せず、いたずら
な規制強化はリスクマネーを海外に逃避させる。

 といって資産家や企業家の豊富な資金を自由にファンドの形で飛ばしていて
は、一般国民の不公平感は募るばかりだ。

 ライブドア事件で成すべきことは、いたずらにファンドを規制して自由な資
金の流れを断絶しない一方、ホリエモンが行なったファンド利用の手口と隠蔽
工作を解明のうえ、ルール違反がいかに割の合わない行為であるかを、万人に
アピールすることなのである。

◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は本誌がお
取次ぎします。お申し出あれば見本誌を無料でお送りいたします。
_____________________________________
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発
行しています。( http://www.mag2.com/ ) 
配信を希望または中止されたい方はこちらでどうぞ。 
http://www.mail-journal.com/touroku.htm
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 週刊メールジャーナル 2006年2月15日 第321号(水曜日発行)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
        〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201
ホームhttp://www.mail-journal.com/ 
メールadmin@mail-journal.com
転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■