■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2006/3/29 No.327 週刊メールジャーナル 読者数11982人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 予算が成立したから次は自民党総裁選だと バカなことをいうマスメディアがあるが… 本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明 民主党執行部と永田寿康衆院議員の大失態によって生じた“空洞国会”の影 響で、「07年度予算」は考えられないほど無事に成立してしまった。 結果、マスメディアの目は、9月の自民党総裁選に向きはじめた。だが、果 たしてそれでいいのだろうか。 耐震偽装建築、米産牛肉検査の虚偽体制、ホリエモン決算偽装、防衛施設局 の官製談合など、つぎつぎ発生した「国民騙し事件」は、なにひとつ原因解明 も問題解決の糸口もつかめていないではないか。 このことに注意する必要がある。これらの事件は、いずれもこの国の旧構造 のなかで蔓延したり、あるいはそれを変革しようとするさなか、明らかになっ た事件であり、経済や社会の仕組み変化に、旧構造が適応できないことを意味 しているのだ。 この国の経済・社会構造を抜本改革する必要性は、すでに橋本龍太郎政権当 時明らかになっていた。しかし、景気低迷、不景気を口実に、改革を先送りし ようとする守旧派勢力の権謀により、小渕、森政権時代に「失はれた10年」 が無為に過ぎてしまってことを国民は良く知っている。 だからこそ国民は、小泉政権の誕生を支持し、構造改革に期待した。そして マスメディアは、そのような国民のインテリジェンスと期待の大きさを完全に 見損なっていたのだった。 だが、その小泉政権も、官僚と族議員、それにぶらさがる利権事業者の群れ の抵抗によって、構造改革は必ずしもうまく進んではいない。 現に、耐震偽装は、旧建設省時代の建築確認制度の不合理に蓋をしたまま民 営化したことによる矛盾が吹き出した事件である。 米産牛肉の問題は、農産物自由化の流れのなかで、コメ、果物、野菜などの 自由化を遅らせてきたことが、牛肉輸入の再開を求める米国側の強気の背後に あり、とくに輸入枠については、すでに数年前から密約の存在すら噂になって いる。 官製談合は、公務員制度改革の不徹底による、官と民との雇用制度矛盾がも たらした旧弊であることは、国民みなが知っている。 財政改革の道筋では、明らかにマンモス化しすぎたゼネコン業界の宿痾(し ゅくあ=長く直らない病・持病)が談合システムであり、今緊急に切除手術を しなければ業界の「死に至る病」になりうるのだ。 ホリエモン事件を、小泉改革の結果だと言い張る連中がいるが、これは、金 融経済制度のグローバル化についていけない守旧派の寝言と区別しなければい けない。 いずれにせよ、ポスト小泉問題は、小泉首相がいうように「構造改革の継承 者」を選ぶのか、それとも、「アジア外交改善の糸口を掴む」ことを最優先す るのか、「米産牛肉に象徴される日米安保の課題処理を優先する」のか、はっ きりさせることが先決課題なのだ。 つまり、民主党が当初いっていた「4点セット」というのは、ポスト小泉の 選択肢と密接、不可分の問題であったのだ。 これらの問題を、この国会で徹底的に追求すれば、おのずとポスト小泉の適 任者は明らかになる。 あわせて、政権交代の必要性が、緊急なのかどうかも、明らかにすることが できるといっていい。 だからこそ、前半国会を空洞化させてしまった民主党の責任はきわめて重い ことはいうまでもないが、マスメディアが、早くもカネ・タイコで、ポスト小 泉をはやし立てるのは、バカとしかいいようがない。 マスメディアが行なった世論調査では、国民の支持は、安倍晋三官房長官が 頭ひとつ抜け出しているといわれるが、そのことは、ほとんど、これまでにマ スメディアが、垂れ流してきた情報によって形成された、空虚な人気といって もいい。 一方すでに、日本経団連を始めとする財界と関連団体は、圧倒的に福田康夫 元官房長官支持に固まっているといわれる。 このような、世論の階層的分裂状況は、少なくとも小泉政権登場当時には見 られなかった現象である。 当時のマスメディアは、小泉政権の登場をまったく予期していなかったし、 そしてまた、この政権が、このように長期政権を維持することも“想定外”の できごとだった。 それゆえマスメディアは、近時、国民世論の重要性に、改めて気が付いたの は結構なことだが、「世論調査」とは一体なんなのか、いまいちど明確にする べきだ。 そのなかで、自らが無責任に振りまく情報の重み、「世論工作」の可能性も 自覚する必要がある。 安倍にするか、福田にするかは、この国会で、少なくともこの「4点セット」 の原因分析と今後の課題を明確にしたうえで決めるべきことだ。 その解決者として相応しいポスト小泉は、国民主導で選択しなければならな いことはいうまでもない。 後半国会には、行政改革推進法案、医療制度改革関連法案など、ポスト小泉 を狙う人々には、“踏絵”となる重要法案が議論される。 国民投票法案もやるというのなら、憲法改正だけを視野に入れないで、内閣 不信任も可能にする制度として検討してはどうだ。 教育基本法改正案もやるというのなら、なお結構。このような重要法案審議 の中でポスト小泉を選択することができるからだ。 5年前のあのとき国民は、漠然とした期待を小泉首相にかけた。先行きハッ キリしない閉塞感のなかで「何かを変えてくれるかもしれない人」として小泉 政権に期待をしたが、今度はもっと、「やるべきこと」「やってもらいたいこ と」を明確にして、選びたいのだ。 いまマスメディアは、この国の行方を、ミスリードするようなことを、絶対 にしてはならない。 【あとがき】 本誌はこれまで、多発する企業事故や不祥事の原因と対策について、いく度 も提言をしてきた。 それは、筆者が長年、日本経団連(旧日経連)で、社内広報担当者へのアド バイスを手がけてきた経験があるからだ。 この3月で、急遽その仕事から退くことになった。あわせて、経団連社内広 報センター「専任アドバイザー」という肩書きも返上することになった。 この肩書きを記載した名刺を差し上げた関係者は、すでに1,000名を軽く 超える。このようなメルマガで告知をしても、ほとんど不徹底かもしれないが、 お世話になった方がたに、ここで厚くお礼を申しあげたい。 ただし、社内コミュニケ―ションの不全が、大企業の経営破綻に繋がった実 例を体験している筆者としては、これからも、社内コミュニケーションのマネ ジメント改革へ、アドバイスを続けていくことにしたいと思う。 たとえ金融テクニックといわれようと、こらからもM&AやLBOなどは、 一層盛んにおこなわれるだろう。経営統合や事業提携は増加するだろう。 だが、異文化の統合を視野に入れた社内コミュニケーションを活性化しない かぎり、事業効率の向上という成果はおぼつかない。 筆者の経験をいかしたアドバイス業務を、さらに一層精力的に展開していく 所存である。 _____________________________________ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発 行しています。( http://www.mag2.com/ ) 配信を希望または中止されたい方はこちらでどうぞ。 http://www.mail-journal.com/touroku.htm ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2006年3月27日 第327号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |