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  2006/5/3  No.332   週刊メールジャーナル  読者数11901人(前回)
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千葉7区補選、勝敗の決め手は「マスメディアの不作為」と
本誌が指摘した理由
            本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明

 前号で書けなかったために、やや古いニュースになってしまったが、衆議院
千葉7区補欠選挙の結果分析を、後日検索のために書き残しておきたい。

 4月23日投開票された千葉7区補選の投票率は49.63%。昨年の衆院
選での投票率が64.75%だったから、約15%も低くなった。

 全国的に補選の投票率は低くなる傾向が強い。そのこと自体に問題はあるの
だが、それでも今回の投票率は、昨年4月の衆院統一補選での宮城2区(36.
75%)、福岡2区(45.99%)よりは高い。

 首都圏の衆院補選と比較しても、04年の埼玉8区(35.22%)、03
年の東京6区(40.63%)などよりも高かった。

 これは、今回の補選への有権者の関心が比較的高かったからではあるが、こ
の補選の結果が、永田町に及ぼす影響の大きさを啓蒙報道すれば、もっと高い
投票率が実現するはずだった。

 だがマスメディアは、この選挙が前回の総選挙で初当選し、のち、自派の選
挙違反のからみで辞職した自民党松本和巳氏の補選でありながら、偽メール事
件で辞職した民主党永田寿康氏(千葉2区)の影響とを比較し、自民党圧勝と
いう当初予測を立てた。

 ところが、民主党新代表の小沢一郎氏が選挙区入りし、その独特の選挙戦を
展開するにつれ、勝敗の行方は急速に混沌としてきた。

 この補選の本質は「政権交代の是非」にあることを、選挙区入りして口々に
訴える民主党幹部の応援に対し、自民党幹部の応援が“ジャンケンポン”では、
民主党逆転の可能性は高まっていたのだが、マスメディアはこれを過小評価し
ていた。

 マスメディアは、その影響力をもって投票率を高めるため、独自の啓蒙報道
を展開すべしと、本誌は、4月5日号で注文をつけておいたのだが、「郵政民
営化の是非」を問う前回総選挙よりも、15%も低い結果としてしまった。

 僅かとはいえ50%を割る投票率で、しかも、当選した民主党新人・太田和
美候補と自民党新人・斉藤健候補の得票差は、556票の僅差。

 これでは、本質的に「どちらが勝った負けた」の分析や評論はできないはず、
というべきであろう。無効選挙といいたいほどだ。

 にもかかわらず、「昨年の総選挙で惨敗し、送金メール事件で窮地に追い込
まれた民主党が、この選挙で反転攻勢の足がかりを得た」とか、

 「9月に退任する意向の小泉首相は最後の国政選挙で敗北。自民党総裁選で
は首相の改革路線の見直しや、小沢氏に対抗する選挙戦略が大きな焦点になり
そう」などというマスメディアの論評は、いささか言い過ぎであろう。

 1993(平成5)年の総選挙で誕生した細川内閣のもとではじまった一連
の政治改革のなかで、翌年施行された「衆議院小選挙区比例代表並立制」は、
昨年の総選挙で、その特質が改めて浮き彫りにされたばかり。

 この選挙制度の制定を結果として主導したのが、他ならぬ小沢新代表であっ
た。であればこそ、「たとえ1票差でも勝ちは勝ち」というこの選挙制度の特
質を、都市型選挙民の多いこの小選挙区では、政党も行政(選挙管理委員会)
もマスメディアも、もっと啓蒙すべきであった。

 想定されたこととはいえ、あまりの僅差の勝敗にビックリしたのは、候補者
だけではなく、むしろマスメディア自身だった。

 現に、この選挙区に選挙権をもつ複数の本誌関係者が、投票所締め切り後、
かなり多くの有権者と面談の結果、この補選の意味合いについて、真面目に検
討し、棄権も含めて、はっきりと意思決定をした人が、あまりにも少ないこと
に驚いたという。

 そしてその結果は、マスメディアが実施した出口調査と突合せて、きわめて
符合する点が多かったことから、本誌は、注目すべき分析結論を得た。

 昨年、「小泉劇場」とも評された「郵政選挙」で、自民党を圧勝させた原動
力は、主に、都市部の「無党派層」と「女性」「若年層」票だったことが明ら
かになっている。

 ところが今回は、この無党派層は民主党支持に移り、これが民主党太田候補
勝利の源泉になっていたことが分かった。

 一方女性層と若年層(20〜30代)は、自民党斉藤候補を支持している。
そしてその支持率は、選挙違反で辞職した自民党松本氏に対する支持率をも上
回っているのである。

 今回、民主党の女性候補で26歳という若さを売り物した太田候補に対して
は、女性層と若年層が反発を示し、しかもなぜ隣県のエリート官僚である自民
党の落下傘候補である斉藤候補を支持したのか、今後の参考までにぜひ取材し
てみたいと思う。

 他方、太田候補には50〜60代以上の男性有権者が、斉藤候補を大きく上
回る支持率を示しているのである。

 この年代層は、過去の社会経験や政治認識から、今後のあらゆる選挙におけ
るキャスティング・ボートを握る世代でもある。

 このような年代別、男女別の投票行動のねじれ現象は、これまでは、争点が
明らかになっていない選挙における、特徴的な現象といわれてきた。

 なぜ今回、このような現象が起きたかといえば、選挙後にマスメディアが大
騒ぎをしているほどには、この補選の政治的な意味合いや価値観が、有権者に
認識されていなかった、ということに他ならない。

 したがって、この小選挙区では、他の年代層に比較し、相対的に投票率が低
かった若年層がもし投票に参加していたならば、自民党斉藤候補が勝利してい
た可能性がきわめて高かったといえるのだ。

 つまり「マスメディアの不作為」が、この選挙の勝敗を決めたと言ってもい
いと、本誌が前号で書いた理由はその点にある。
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 週刊メールジャーナル 2006年5月3日 第332号(水曜日発行)
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