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  2006/5/24  No.335   週刊メールジャーナル  読者数11827人(前回)
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●防衛施設庁談合事件で最後に残る「政界ルート」の行方
(会員制経済情報誌『現代産業情報』5月15日号より転載)

 年初から始まった防衛施設庁談合事件の捜査が続いている。手がけているの
は、東京地検特捜部直告一班。

 同時並行での着手となったライブドア事件の華々しさに比べれば地味な印象
だが、検察と公正取引委員会が総力をあげる「談合潰し」の最終章に相応しい
事件であり、ここで暴かれている「現役とOBが一体となった談合の構図」は、
同じ構造を未だに抱える他省庁への警告となっている。

 ただ、防衛施設庁の全ての工事で行なわれていた談合の摘発ながら、「政界
の関与」が立件されてない。

 談合が「政官業」のもたれ合いのなかで発生するのは、業界だけでなく国民
の常識。

 防衛施設庁の前に摘発された橋梁談合、成田国際空港談合でも政界にはさわ
っておらず、意識ある国民は大いに不満だ。

 一連の談合事件のみならず、最近、検察は政治資金規正法違反でしか政治家
を立件できていない。

 捜査能力の弱体化と政界への弱腰が原因であり、「空気の読める検察」は、
それに対する不満がマスコミや国民に渦巻いているのを承知、だから防衛施設
庁事件で“勝負”をかけている。

 3月中旬に広島防衛施設局発注の在日米軍岩国基地滑走路工事、福岡防衛施
設局発注の在日米軍佐世保基地護岸工事などで、元防衛審議官らを起訴した後
も捜査を継続しているのは、最後に残る「政界ルート」に切り込むためである。

 ターゲットは二人。

 「一人は防衛庁長官経験者で、現在も自民党で要職に就いている大物。もう
一人は防衛政務官を務めたことのある中堅代議士。ともに九州選出で、業界の
依頼は“気軽”に引き受けて『口利き』するタイプだ。もちろん狙いは贈収賄
だから『口利き』と『献金』の因果関係を解明しなければならず、そこがネッ
クだが、ゴールデンウィーク前から検事を九州・沖縄に派遣、総力をあげた捜
査を続けている」(検察関係者)

 大物政治家の方は、防衛施設庁事件のきっかけである空調談合の時から名前
が挙がっていた。

 元郵政大臣秘書官で、現在はコンサルタント会社を経営するブローカーのN
が、特捜部の事情聴取の過程で、この大物政治家の公設第一秘書との親密な関
係を明かしていたためで、当初は空調談合での「政界ルート」が指摘されてい
た。

 しかし、金銭授受が立証できず、Nの供述があいまいで業者から受け取った
「裏ガネ」を“中抜き”していた可能性もあり、本格捜査には至らなかった。

 そこで元防衛庁長官という大物ルートは終焉かと思われたが、沖縄米軍基地
での別の公設秘書による「口利き疑惑」が浮上、沖縄米軍基地移転問題なども
絡んで困難になってはきているものの、細い糸を手繰り寄せるような捜査が続
いている。

 中堅政治家の方は、政治献金もしている地元有力企業が防衛施設庁工事の初
受注を狙って「口利き」を依頼、一昨年、福岡防衛施設局発注工事で望を叶え
ていることから、摘発が有力視されている。

 防衛政務官というポストにあった時で職務権限があり、「口利き」の事実と
受注の有無を献金に絡めて実証できるかどうかだ。

 自民党大物建設族と談合のドンが、大型工事をめぐって話し合いながら割り
振りをするといった時代は確かに終焉している。

 「関西談合のドン」といわれた平島栄氏は既に鬼籍に入り、かつて同氏と張
り合った「中国談合のドン」である峰久一市・大林組顧問は82歳でかつての
ような影響力はない。事件化した岩国基地工事では二人が争ったものの、10
年も前の話である。

 金丸信・元自民党副総裁、竹下登・元首相といったオールマイティの力を持
つ政治家もいない。

 しかし「官」が主導する「官製談合」の時代になっても、談合がもめた時の
仲介役として、あるいは新規参入をもくろむ業者の「口利き役」として、政治
家の果たす役割は変わらず、そこには表裏の献金が動く。

 その構造を暴くことがなければ、談合事件を仕上げたことにならず、勇退が
迫る松尾邦弘検事総長は、ホリエモンに代表される経済事件にのみ旗を振るの
ではなく、「バッジを狙え」の検察の意気込みを、最後は見せるだろう。

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 週刊メールジャーナル 2006年5月24日 第335号(水曜日発行)
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