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  2006/7/5  No.341   週刊メールジャーナル  読者数11798人(前回)
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●「小泉劇場」を演出したメディアが総裁選で繰り返す愚かな報道
(会員制経済情報誌『現代産業情報』7月1日号より転載)

 9月に迫った自民党総裁選を前に、「麻垣康三」の行方を占う報道が過熱、
麻生太郎外相、谷垣禎一財務相、福田康夫元官房長官、安倍晋三官房長官の四
氏の言動が、連日、細かく伝えられている。

 小泉純一郎首相が後継を指名するのかしないのか、福田康夫氏は森派を割っ
て出馬するか否か、劣勢が伝えられる麻生、谷垣両氏の次の一手……。

 3カ月以上も前からこの騒ぎ。しかも大手マスコミはタレントの人気投票よ
ろしく支持率まで弾き、後継を予想する。

 政治への関心が高まったからではない。とくにテレビがそうだが、総裁選を
ヤマ場に「ポスト小泉」で視聴率を稼ぎたいという思惑がある。

 証拠に、「候補者」とされる人物たちの見識や政策が、じっくりと検証され
ることはない。その動静をタレント報道のように垂れ流すだけ。だからテレビ
受けする安倍晋三氏の人気が高い。

 「テレビ視聴時間の長い“ヒマ人”ほど安倍を支持」という調査結果が、総
裁選報道の虚しさを伝える。

 「小泉劇場」が、政治を面白くしたのは事実である。敵と味方を瞬時に分け、
小泉首相にとっての敵は「抵抗勢力」となって、その絶叫とともに退けられた。

 小泉演出劇のピークであった昨年の衆議院選。ホリエモンを担いで「抵抗勢
力」の象徴である亀井静香元自民党政調会長にぶつけ、元祖マドンナの野田聖
子元郵政相には「不倫女王」の佐藤ゆかり氏を送り込む。刺客の「くの一」に
小泉チルドレン。小泉首相はメディアの喜ぶ選挙を演出した。

 テレビは視聴率を稼ぎ、新聞・雑誌は売上を伸ばすことができたかも知れな
いが、そこで進行したのはポピュリズムである。

 国民生活にさして影響のない郵政民営化で「白黒をハッキリつけろ」と、小
泉首相は政治家と国民に迫った。

 賛成なら小泉政策を支持する改革派で、反対なら小泉不支持の利権擁護派の
守旧派――こんな乱暴な論議はなく、この種の二者択一は国民を自分の意のま
まに操ろうとするファシストがよく用いた危険な手法なのだが、視聴率稼ぎに
狂奔するメディアは無批判に「小泉劇場」を受け入れ、マドンナと刺客とホリ
エモンを追った。

 郵政民営化を政治信条とすることは、小泉首相の勝手である。その民営化法
案が参議院で否決されたからといって、衆議院を解散するのは前代未聞だが、
首相に解散権が与えられている以上、それを行使するのもまた小泉首相の勝手
である。同様に対立候補に刺客を送り込むのも好きにするがいい。

 しかし、それを無批判に受け入れるのはメディアの罪である。「ワンフレー
ズ」で政治を語るのは政治家としての怠慢でしかなく、参議院での表決を無視
したのは民主主義への冒涜。また、すべてを郵政民営化で一元化するのは政治
の多様性を封じるファッショだ。

 それをまず、国民に知らしめるのがメディアの役割である。「小泉劇場」は
確かに刺激的で、下手なドラマより面白い。が、その裏に小泉純一郎という政
治家の放つ狂気と危険があることを伝えなければならなかった。

 それがないから自民党は圧勝、テレビは視聴率を稼いだものの、国民の政治
や政策への関心が高まったわけではなかった。

 政治のショー化に味をしめたメディアは、麻薬中毒のようにショーアップを
求めている。小泉首相ほどの演出家はいないが、安倍晋三というスターはいる。

 それを、どう「麻垣康」の三人と競わせるかが腕の見せ所、とばかりに趣向
を凝らした報道を続けているが、“地味”な各人の政策については関心がなく、
人格識見に論及もしない。

 ただ後追いして面白そうな部分を編集して報道するだけ――こんな不毛な政
治ショーが、国民をますます衆愚に導くことは疑いなく、狂奔するメディアの
罪は、ショー化の幕を開けた小泉首相より重い。

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【あとがき】

 今朝、北朝鮮がミサイルを6発発射した。
 「早ければ今週中にもやりそうだ―」との情報で安全保障関連省庁、閣僚ら
が緊張したのは1週間前。

 その後、「発射をしないよう」日米などが外交的圧力をかけ、「緊急に発射
されるという認識はない」として緊張感を緩めた矢先のことだった。

 「もしやれば…」、中・ソなど友好的諸国も含めて、国際的な孤立化が明確
なこの時期に、なぜ発射に踏み切ったのか不可解だが、この際、この国のマス
メディアの力量もみてみたい。

 外交的には「伝家の宝刀」かもしれないと見られていた「経済制裁」の発動
が決まったが、これは当然。

 しかし、これ単独では外交的圧力効果は限定的とみられる。国連安保理事会
をどう動かすか、ここに、この国の外交力量が試される。

 小泉・ブッシュ会談で、日米同盟関係を国際的に見せつけたのはつい先日の
こと。これが“茶番”だったかどうか、それも試されよう。

 98年のテポドン(1号)発射のときは、直後に、軍部を掌握した金正日体
制の強化が判明した。

 今回の派出な軍事的パフォーマンスは何を意味するのか。
 金主席が、軍部強硬派の突出を抑えられなくなったとしたならば、これは、
北の政権崩壊への一里塚になりうるのだが。はて…

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 週刊メールジャーナル 2006年7月5日 第341号(水曜日発行)
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