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  2006/7/26  No.344   週刊メールジャーナル  読者数11743人(前回)
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●竹中総務相という「ピエロ」にみる盛者必衰の現実
(会員制経済情報誌『現代産業情報』7月15日号より転載)

 小泉政権が事実上「終結」に入っている現在、永田町の人間模様が興味深い。
小泉首相から距離を置かれた竹中平蔵・郵政民営化担当兼総務相は、かつての
「小泉改革のエンジン」とは思えぬほどの冷遇を託っている。

 党と官僚から疎外され、「小泉以降」の「側近」の処遇すらままならない情
勢なのだという。

 改革のエンジンでありながら、「竹中チーム」と呼べるのは、竹中氏本人プ
ラス二人の所帯だった。

 「官僚嫌い」を公言していた竹中氏を支えたチームの側近二人は、経済産業
省出身の岸博幸政務秘書官と、財務相出身の高橋洋一総務省官房参事官である。

 関係者が語る。「岸秘書官は政府のIT戦略会議の事務局長に在籍中に、高
橋参事官は郵政民営化準備室の参事官に就任して竹中氏に出会いました。岸、
高橋両氏とも、それぞれ出身官庁の中では異端児の扱いで浮いていましたが、
竹中氏とはなぜかウマが合ったのです」

 岸氏は経済財政担当補佐官を経て、竹中氏が参院議員に就任するや政務秘書
官に昇格。通信・放送融合問題を主に竹中氏の意向を取りまとめている。

 一方の高橋氏は竹中氏が総務相に就任すると総務相に移動、地方改革や経済
問題を担当。

 「総務相秘書官室で高橋さんは我が物顔。旧自治、郵政、総務の事務秘書官
を隅に追いやる勢いでした」(関係者)

 しかし、竹中氏の孤立とともに、岸、高橋両氏への風圧も加速。「経済、産
業両省は『竹中一派』と認定、二人を本籍復帰させるつもりはないようです」
(関係者)という中、竹中氏は最近になって両氏の「再就職先」を探したらし
い。

 「腹心の再就職先も決められないとなると、いよいよ竹中氏の影響力の実態
が分かってしまう。竹中氏は岸氏の処遇をトヨタの奥田硯会長に頼んだらしい
が、トヨタが難色を示したようです。竹中氏は相当ショックだったようです」

 結局、再就職先が決まらないまま岸氏は退官。もともと持っていた慶応大学
助教授ポストに専念すると見られている。高橋氏はまだ官僚のままだが、こち
らの再就職先も未定のままだ。

 「このまま財務相に戻ったら“謀反人”の扱い。おめおめと戻れないでしょ
う」(財務省筋)

 竹中氏は、もう一つ「時流」を痛感させられる出来事と遭遇している。永田
町の事情通がこう証言する。

 「最初の政務秘書官だった真柄昭宏氏について、竹中氏は自民党職員にさせ、
政調会長の中川秀直氏の『特別秘書』のような補佐役をやらせていた。

 それが一時期の中川ー竹中ラインの親密振りを示すバロメーターだったのだ
が、ここへきて党側から『真柄氏は臨時職員に過ぎない』と、継続雇用を拒否
されたというのです。

 かつての隆盛振りからは考えられない仕打ちですよ。そこまで竹中氏は党か
ら嫌われていたのかと、噂話で持ち切りです。

 竹中氏は真柄氏の身柄について、『正式な秘書として採用して欲しい』と中
川氏サイドに要請したというけれど、うまくいかなかったという話だ」

 そもそも「小泉政権が終わればただのヒラ参院議員」(自民党議員)と揶揄
されていた竹中氏だが、現実に側近の去就さえ面倒を見られない局面に遭遇す
るのを目の当たりにすると、水物のような権力の移ろいの儚さを感じざるを得
ない。

 竹中氏は遠からず学者に戻るというのが永田町の一般的な見方だが、竹中氏
という「ピエロ」の盛者必衰の図を突き付けられると、小泉改革とは一体何だ
ったのかという、忸怩たる思いに迫られる。

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【あとがき】

 多くのマスメディアの世論調査で、「次期首相の靖国神社への参拝に反対」
の意見が、すべての年代層で60%程度になったことがわかった。小泉内閣支
持層、自民党支持層でも50%近いという調査結果になった。

 ポスト小泉の自民党総裁選に影響することは間違いないが、いまの状況では
安倍晋三官房長官の独走は不変であろう。

 だが安倍氏は、いまのところ自分が(総裁候補としては)、靖国参拝につい
てどのように対処するかを明確にしていない。

 しかし過去、“国会議員として”は靖国参拝を続けてきたのだから、このよ
うな世論調査が出た以上、こうした世論をどう受け止めるのか、正式に立候補
表明するしないにかかわらず、急ぎ明確にすべきだろう。

 もっとも一方でいま、「昭和天皇のお心」を証明したという資料の真贋性が
議論になっている。偽物論に与する人々はまだ少ないが、そもそもは、ネット
の書き込みで偽物論が広がったということは、ただいまのこの国の情報ネット
システムのアンバランスな姿を示している。

 特定ナショナリスト(確信右翼)のブログや有名掲示板に、「プチナショナ
リスト」といわれる“真性平和ボケ症”の(戦争を知らない)若者たちが、
大挙乗ってしまった現象と見られるからだ。

 だが、真贋論議は、世論にはもはや大きな影響は与えないだろう。

 「この世論は、いまのマスメディアによる不作為のミスリードだ」といい募
る“変なマスコミOB”がかなりいるようだが、仮に偽物(その場合は徳川元
侍従長の発言だという)であったとしても、昭和天皇が、「合祀以後の(個人
的な)参拝」を取り止められた事実、国民の誰よりも「戦争責任」を痛感して
おられ、誰よりも「平和主義者」であられた事実は変えようがないからだ。

 むしろ、これらOBが現役であった毎年の「8月15日」、どうしてこの問
題を、もっともっとクローズアップし、国民の前に問題提起をしなかったのあ
ろうか。

 毎年毎年、誰が参拝したしない、時間をずらした他の日に参拝した、などと、
国会議員の“色分け”に使い、参拝是非の本質論から、国民の目を他所にそら
せたのは、あなた方自身ではなかったのか。

 いままたマスメディアの内部矛盾が吹き出ている格好だが、いずれにせよ、
真贋論争は純粋にジャーナリズムの問題であり、政界の裏側に引き摺られて議
論をしてはいけない。

 もう一つ、「プチナショナリスト」の存在は、早くから言われてきたことだ
が、無視はできない。

 あの「2・26」は、当時の社会経済の状況、とくに権力上層部の国民指導
の矛盾を感じ取っていた、「プチナショナリスト」が下支えしていたことを想
起すべきではないだろうか。

 あの時代、やはりマスメディアを中心とした、国全体の情報ネットワークは
きわめてアンバランスだったことを思い出して欲しい。

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 週刊メールジャーナル 2006年7月26日 第344号(水曜日発行)
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