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  2006/8/2  No.345   週刊メールジャーナル  読者数11752人(前回)
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●安倍氏は論戦に勝ち、ポスト狙いの実力者に立ち向かえるか?
(会員制経済情報誌『現代産業情報』8月1日号より転載)

 9月20日の投票に向け、自民党総裁選が実質的にスタートした。
 谷垣禎一財務相は出馬を正式に表明し、安倍晋三官房長官は実質上の全国遊
説を開始した。

 麻生太郎外務相は、下旬に出馬表明する予定だが、早まる可能性がある。
 額賀福志郎防衛庁長官の出馬も、福田元官房長官の不出馬で検討されている
ようだ。

 何れにせよ、日本をどうするかの議論をいかに盛り上げ、誰が日本の指導者
たり得るかを選ぶ選挙になる。

 加えて、二大政党が政権を争う時代になって、政策を国民に訴える党首とし
ての力が極めて大切になった。

 ここは候補者が実のある論戦を深め、国民に向けても党員に向けても大胆に
政策論争をし、その結果で総裁を選ぶという形にしなければならない。

 テレビや新聞などで繰り返し流される限定的な世論に流されずに、政治家と
しての見識と実行力が問われなければならない。

 ただし、主要な候補者たちが小泉政権のもとで枢要なポストに就いたままの
選挙戦では、おのずと立場に縛られるとみられるが、新しい総理・総裁を目指
すのであれば、脱小泉とみられる政策でもしっかりと発言しなければならない。

 谷垣氏の政権構想には、1)消費税の引き上げ 2)アジア外交の建て直し
3)地方の自立・活性化などが盛り込まれた。

 当然に靖国参拝も主要な争点になる。事実上のトップランナーとして内外で
評価の高い安倍官房長官が、これらの政策論争で十分戦い抜けるか否かが注目
されている。

 安倍政権を目指す自民党の多数では、既に次期政権でのポスト狙いが積極化
している。

 中堅・若手の間では、世代交代を機にいかに自らのポジションを確保し、選
挙での地盤強化を目指すかに大わらわである。

 軽はずみとも指摘されている中堅・若手の動きが、上滑りにも見えているが、
ここにきて党内実力者のポスト争いも激化してきた。

 かつて自民党内の政策通といわれた橋本元首相、加藤元幹事長、与謝野経済
・金融担当相に代わり、新たな実力者として、中川政調会長、久間総務会長、
二階経済産業相の存在感が増している。

 これに前記与謝野氏が絡み、新政権での影響力確保の戦いが指摘されている。
一部には、麻生外務相が副総裁格での留任を目指しているという声もある。

 これら実力者の動きに絡み、小泉首相と森善朗元首相がどこまで力を残せる
かも焦点になる。

 大方の見るところでは、派閥に戻らないと公言している小泉首相が、後継安
倍と実質的に指名すれば、大きな影響力を残すものとみられている。

 党内では、小泉首相と一体となって政権維持に力を注いだ飯島秘書官が、安
倍内閣でも何らかの形で残るのではないかという見方まである。官邸の枢要ポ
ストさえあり得るというのだ。

 何れにしろ、国民的人気を背景に実力者たちのカゴに乗せられただけでは、
安倍氏は国際的に通用する宰相にはなれない。

 総裁選では、得意ではない分野での政策論争を含め、十分にその実力をみせ、
圧倒的な勝利を収めることが絶対条件であろう。

 そのためにも、ポスト狙いだけで蠢く中堅・若手グループだけでなく、実力
政治家との距離を置き、まっとうな戦いをすべきである。

 政治家だけでなく、一部官僚や永田町周辺居住者まで、安倍政権での自らの
ポストや利権獲得に動いている兆候がある。

 安倍氏は自らの政権づくりのためには、王道を行くべきで、周辺に群がる有
象無象を排除し、本格政権を目指すべきではなかろうか。

●「電撃訪中」情報への反発が示す小泉首相の「本質」
(前項と同誌・同号より転載)

 何を勘違いしているのか、小泉首相の「軽さ」が日本人としてたまらなく恥
ずかしい。

 6月訪米では、故エルビス・プレスリー邸で調子に乗ってプレスリーのポー
ズを真似て米マスコミから「首相らしからぬ行動」と馬鹿にされ、サンクトぺ
テルブルグ・サミットでは、オペラ観劇の際のはしゃぎぶりに、ブッシュ米大
統領から「少しおとなしくした方がいい」と刺され、各国首脳の失笑を買う始
末。見ている国民の方が逃げ出したくなるような「日本の恥」である。

 その首相をめぐり、永田町では俄かに信じ難い情報が駆け巡っている。
 
 「官邸が訪中を打診している」というのだ。

 事情通が明かす。
 
 「訪中という『煙』の元になっている『火』は、8月7日から予定されてい
る首相のモンゴル訪問です。3月に来日したモンゴルのエルフボルド首相から
招聘された首相は、10日間の日程でモンゴル訪問を調整中です。首相は厚相
時代の97年、日本の厚相としては初めてモンゴルを訪問しており、首相自身
も『思い入れのある国の一つ』と公言するほど。チンギスハンの建国から80
0年になるモンゴルは、7月から8月にかけて、さまざまな記念行事を開催し
ており、日本の首相招聘もその一環です」

 だが、いかに「思い入れのある国」とはいえ、退任直前の訪問先としてはモ
ンゴルはいかにも弱い。

 「そこに浮上したのが、胡錦濤国家主席との電撃会談に臨むという構想」
(事情通)

 「外務省幹部は『官邸からの指示で、靖国参拝を中止したら訪中を受け入れ
るかどうかを中国に打診しているが、まだ返事が来ない』と話していた」と、
衝撃的な情報を明かした。

 小泉首相は最近も、「何回でも、いつでも参拝する」と、靖国参拝の意思に
変わりがないことを強調している。

 退任を目前にした今年は、「5年越しの公約」を実現しようと、8月15日
の参拝に踏み切るのではないかという観測も根強い。

 しかし「モンゴル―訪中」となれば、終戦記念日の靖国参拝を見送る意向が
官邸にあることを示し、永田町でも首相の真意をいぶかる向きがあふれている
のだ。

 官邸に近い関係者は、「靖国参拝とともに、首相には『在任中に日中関係を
正常化させたい』という思惑がある」と明かす。

 「中国首脳との会談が実現するのであれば、小泉首相は退任まで靖国参拝し
ないと宣言することくらい平気ですよ」

 自民党幹部の多くは反発する。ある閣僚経験者は、「今さらどういうつもり
なんだ」と、憤りを露にする。

 「これまで何度も対中関係を好転させる機会があったのに、『信念』だとい
って参拝を続けたは誰なのだ。その結果、どれだけの国益が損なわれたか、認
識があるのか。最後の最後になって、明らかに退任後の影響力保持を目的とし
た『パフォーマンス』は許されない」

 過去にないほど対中関係を悪化させた小泉首相の対中工作が、日の目を見る
かどうかは未知数だ。また、訪中工作の情報そのものが、永田町特有の噂先行
の可能性もある。

 だが、「あの小泉首相ならやりかねない」と、周囲が受け止める現実こそが、
「首相訪中情報」のもつ「意味」を語っているといえよう。

 国会で公約破りを指摘されても、「これぐらいは仕方がない。どうというこ
とはない」と開き直り、イスラエルのオルメルト首相に、中東和平を訴えた直
後にレバノン侵攻がなされたというのに、ラクダに乗って笑顔を振りまいてい
た小泉首相の「本質」。

 靖国参拝という「信念」を世論に植えつける一方で、退任後の影響力保持の
ため対中工作を行なう「矛盾」は、もはや政治の範疇を越えている。

 「訪中情報」に対する党の反発は、口とパフォーマンスで政治を骨抜きにし
たポピュリスト首相への嫌悪感そのものといえよう。

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 週刊メールジャーナル 2006年8月2日 第345号(水曜日発行)
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