■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
  2006/9/13  No.351   週刊メールジャーナル  読者数11630人(前回)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【お断り】
 8月9日付本誌N0.346に続き、「ナナ総合コミュニケーション研究所」
が運営するウェブサイト『COMMU−SUPPO』(コミ・サポ)連載のコ
ラム「社内広報を考える」を転載します。
 『COMMU−SUPPO』は、社内広報担当役員・担当者のための専門的
なコンテンツで構成されていますが、経営者向けの広報アドバイスとしても、
他のメディアの追随を許さない内容が満載です。
 ご関心の向きは下段の【お知らせ】に記載した『COMMU−SUPPO』
のURLにアアクセスしてください。
 本号では、【あとがき】をとくにお読みいただき、日本株ストラテジストを
始めとする専門家の方々のご意見をいただきたいと思います。

■内部統制システムと社内広報 その4
 「経営戦略の転換には まず企業内コミュニケーションの革新を」

 今年5月、「改正会社法」が施行され、一定規模の企業には情報管理や会計
管理を強化する「内部統制システム」の制定が義務付けられた。

 そして、このシステムを機能させるバックボーンが「コンプライアンスの徹
底」であることを、このコーナーで2回にわたって説明してきた。

 ところで、近ごろの社内誌などを見ると、多くの会社で、「内部統制」や
「危機管理」を推進するため、専管部門や委員会を設けるなど、経営組織を整
備するマネジメントが進められていることが見て取れる。

 ところが、マスコミで取り上げられる事例だけでも、企業の不祥事は一向に
減らないどころか、むしろ増大する勢いのように見える。

 なぜだろうか。企業法の研究者に聞くと、「とはいえ、いままでのような不
祥事が増えているわけではない」という。

 企業と社会のパラダイムが変化し、「企業の社会的責任(CSR)」が強く
求められるようになり、「製造物責任法(PL法)」や「個人情報保護法」な
ど企業行動の法規制が強化された結果、これまでとくに問題視されなかったよ
うな企業内の価値観や倫理観が、近ごろのコンプライアンスの概念に抵触する
ようになってきたのではないかという。その代表例が談合である。

 では、企業は法令や企業倫理の違反防止を徹底するために、コンプライアン
ス体制をどのように強化すればいいのだろうか。

 先頃の、三次元測定器メーカー・ミツトヨや自動操縦ヘリコプターメーカー・
ヤマハ発動機による外国貿易法(輸出許可)違反容疑の事例などを見ると、
「法令違反はコンプライアンスの問題」だと、単純に言い切ることが難しいよ
うにも思われるのである。

 グローバルな政治経済情勢の変化に伴って、経営戦略をどのように転換して
いくかという問題と、CSRとをどのように連動させていくかという問題は、
きわめて高度なマネジメントであると同時に、役員・社員の価値観・倫理観を
大転換させなければならない大きな問題だからである。

 おそらく、伝統的な企業文化には、通知や通達で周知をはかったり、会議で
徹底したり、あるいは研修会で教育したりしても、それでもなお、簡単に入れ
替えることのできない価値観や倫理観というものがあるのではなかろうか。

 それでも、企業が社会的存在である以上、従業員の安心と幸福を保障しなが
ら、商品やサービスの提供を通じて社会の進歩と発展に役立とうとする経営目
的を追求していくのであれば、そのためには、価値観や倫理観をドラスティッ
クに変えなければならないときもある。

 そのためのマネジメントが、ICM(インターナル・コミュニケーション・
マネジメント)であることを、これまで私は強調してきた。

 通知・通達、会議・研修、業務上のオンオフを問わない上下左右のヒューマ
ンコミュニケーション、印刷・電子・映像などの各ステークホルダーに向けた
コミュニケーションメディア、それらすべてのアイテムが経営目的のミッショ
ンにベクトルをあわせ、それぞれのコミュニケーションの役割を果たしたとき
にこそ、経営理念とCSRとが、コンプライアンスと一体化するのではないだ
ろうか。

 私は、私自身の過去の体験と重ね合わせて見たとき、時代の流れにあわせて
経営戦略の転換をはかろうとする企業は、まず、企業内コミュニケーションの
革新をはかる必要があるのではないかと思うのである。

 今なお、社内広報のマネジメントは、多くの企業では、社内誌やIR誌など
のメディア発行責任者の職務範疇とされているようだ。

 しかし、新会社法の立法精神では、内部統制システムの制定と運用は、経営
の責任であることを明確にしている。

 である以上、そのバックボーンであるコンプライアンス体制は、当然、トッ
プマネジメントによって定着すべき経営課題なのである。

 社内誌や社内報は、通知・通達、会議・研修、オンオフを問わない上下左右
のヒューマンコミュニケーションなど、企業内のあらゆるコミュニケーション
システムと、意図的に、明確に連動したメディアコンセプトによって編集発行
されてこそ、ICMの相乗効果を上げることが可能になると、確信するのであ
る。(以下次号)

【お知らせ】

◆『社内広報サロン』 好評開催中◆

「ナナ総合コミュニケーション研究所」
http://www.nana-cc.com/commu-suppo/comuncation.html 
では、社内広報・社内報担当者による、社内広報・社内報担当者のための、
定期的な会合【社内広報サロン】を開催しています。

社内報編集者のみならず社内広報を担当される皆様に、自由に参加して頂き、
自由な雰囲気の中でリレーション、知識、ノウハウを深めていく場です。
過去4回開催し、大変好評を頂いております。

次回開催は 10/19木曜日 18時30分です。詳細については、下記で
ご確認ください。
http://www.commu-suppo.net/salon/061019salon.pdf 
皆さまのご参加をお待ちしております。
--------------------------------
【ナナ総合コミュニケーション研究所・「Commu-Suppo」コミサポ】
http://www.commu-suppo.net/ 

 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 社内広報事業部   豊田 健一
 Tel :  03-5312-7471
 Fax :  03-5312-7475
 E-mail : toyoda@nana-cc.comURL
 URL  : http://www.nana-cc.com 
--------------------------------

【あとがき】

 王子製紙による北越製紙に対する敵対的買収は、王子製紙側の失敗におわっ
た。

 製紙業界の経営環境から、当初は、野村證券が邦人アドバイザリーパートナ
ーとして初めて取り組んだ大型M&Aは、成功するものと多くの日本株ストラ
テジストやマスメディアは読んでいたようだ。

 だが、北越側のステークホルダーのほとんどが買収反対に回ったため、期間
内のTOBは成立しなかった。

 今回の会社法の改正や金融商品取引法の制定は、経済原則のグローバルスタ
ンダードとしての、米欧型のTOBやM&Aの基準に、邦人企業の体制を適合
させようとする意図がある。

 これらの法整備によって、来年5月1日からは、外国企業が、株式を使って
日本企業を買収できる三角合併制度も始まる。

 多くのストラテジストや経済評論家は、邦人企業の多くが、外国企業に買収
される可能性が高くなると警告を鳴らしている。

 しかし、今回の王子と北越のTOBの教訓として、邦人企業の場合は、最強
のステークホルダーは従業員であることが、改めて証明されたといっていい。

 かつての日本型雇用システムは過渡期にあるといってもいいが、従業員の企
業に対する忠誠心は、米欧のそれとは比較にならないほど、まだ強い。

 米欧企業の主たるステークホルダーは株主であるが、邦人企業は違う。それ
ゆえ、合併であろうと買収であろうと、新体制における人事システムを明確に
し、有能で誠実に努力する従業員が公平公正に報われるプランを打ち出さない
限り、いかなるTOBもM&Aも成功し難いといえる。

 日ごろからのICM(インターナル・コミュニケーション・マネジメント)
が大きくものをいうのである。

 私は、仕事柄、企業内の従業員のホンネを知る機会が多い。北越と王子のそ
れからして、北越は、労組も含めて従業員の結束が王子よりも強く、TOBの
結果を左右すると見ていたが、その通りになった。

 邦人企業の場合、米欧型のCEOがまだ少ない。従業員出身のトップが圧倒
的に多く、創業経営者やMBO(マネジメント・バイ・アウト)を経た企業を
除き、自社株を十分に保有しているトップは少ない。従業員持ち株会も、これ
からは物言うパートナーとして、一層力を発揮することになろう。

 もちろん、いかなる企業も、ますます国際競争力が求められることになる。
来年から強まることが予想される、外資による三角合併も、生き残りマネジメ
ントの有力な選択肢になることは間違いない。

 外資によるM&A対象企業といわれる薬品、食品、流通などの業界でも、こ
れからのICMによっては、邦人企業が主導権を握るケースも十分に考えられ
る。

 かつての邦人企業では、さほど重要視されてこなかったICMではあるが、
これからは、CEOの権限を一体となって支えるCCO(コーポレート・コミ
ュニケーション・オフィサー)の存在が、超重要になってくると思われるので
ある。【ジャーナリスト・広報アドバイザー 川崎 明】

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 週刊メールジャーナル 2006年9月13日 第351号(水曜日発行)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
        〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201
ホームhttp://www.mail-journal.com/ 
メールadmin@mail-journal.com
転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■