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  2006/10/25 No.357   週刊メールジャーナル  読者数11659人(前回)
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●経営危機に直面するJALが会社更生法を申請する日
(会員制経済情報誌『現代産業情報』10月15日号より転載)

 北朝鮮の核実験に日本が揺れた日、米系証券マンなどが、「これで日本航空
(JAL)の解体ビジネスに、我々が関与する割合が高まった」と、本気とも
冗談ともつかぬ話をしていたという。

 北朝鮮との緊張が高まれば、日本の米国への依存度が否応なく高くなる。海
上封鎖などを実力行使する米国に、相変わらず後方支援しかできない日本――
なんらかの形で“お礼”をしなければならず、ゆえに経営危機に直面している
JALが、米系企業に「プレゼント」されるというわけだ。

 腐った獲物を国家ぐるみで狙おうとする「ハゲタカ」の面目躍如だが、実際
にそんな話が進行しているわけではない。ただ、「ハゲタカ」が狙うほど、J
ALが弱っているのは事実なのである。

 既にJALの経営危機は、幾つものマスコミが報じている。国土交通省が対
策チームを編成、社債の格付けは落とされ、りそな銀行は金融庁の指導で融資
評価を「破綻懸念先」に格下げ、お家芸の経営陣の内紛も、九つある組合問題
も相変わらずで、赤字体質は恒常化、「再生の見込みはない」というのが一般
的評価となっている。

 決定的なのは、JALが経営破綻寸前であること。『週刊現代』(10月1
4日号)の町田徹氏のレポートによれば、JALは債務超過に陥っているとい
う。

 決算書欄外に二つの簿外債務が存在、第一は所有権移転外ファイナンス・リ
ース、これが3993億円、第二は退職金や年金の積み立て不足であり、これ
が2731億円。二つ合わせた簿外債務から簿外資産の3992億円を引き、
さらに帳簿上の自己資本の1480億円を除けばJALは実質的な債務超過に
なる――。

 驚いたことに、経常赤字(06年3月期で416億円の損失)の実質的な債
務超過企業が、6月末、発行済み株式の35%に当たる7億株もの時価発行増
資に踏み切った。

 この問題は既に何度も報じられ、徹底的に批判されたものだが、既存株主の
ことなどまったく無視したこの増資に、JALの底なしの経営危機が証明され
ている。

 格付けは投機的で社債の発行は適わず、金融機関もおいそれとは融資に応じ
ない。「禁じ手」を使って調達するしかなかったが、外資の徹底的な「売り」
にさらされて株価は暴落、2000億円の調達予定は1386億円にとどまり、
来年3月に予定される1000億円の社債償還で大半が消えてしまう。

 そんな八方塞でも、経営陣は相変わらずの権力争いに明け暮れ、6月に社長
に就任したばかりの西松遥氏の後継を模索する動きすらある。

 「最後は国が何とかしてくれる」という甘え。「ナショナルフラッグ・キャ
リア意識」だけは健在だが、運輸族の政治家もまるで人ごと。

 「国交省がなんとかするんじゃないの」(自民党中堅議員)と、火中の栗を
拾おうとするような政治家は見当たらない。

 こうなると考えられるのは、会社更生法の適用申請か、臨時措置法を制定し
たうえでの公的資金投入だが、民営化の流れの中で、民間企業に国が資金投資
する理由がない。JALはかつての「国の翼」ではない。

 そこで金融界では、「JALが会社更生法を申請するのはいつか」と、既に
倒産が規定路線のように語られ、「どこの弁護士事務所が申請業務を引き受け
るか」に、早くも注目が集まっている。

 冒頭の「ハゲタカ」の「JAL買収・解体待望論」は、決して笑い話ではな
く現実だ。そして、JALのような従業員から経営陣に至るまで、わがままで
危機感がなく、しがらみだらけの企業は、「ハゲタカ」か「ファンド」の手で、
一度、スッキリさせるしかないのも、情けないことながら事実なのである。

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【あとがき】

 22日に投開票された衆院神奈川16区、大阪9区の補欠選挙では、「2勝
が至上命題」というハードルを突きつけられた安倍首相ではあったが、なんと
か完勝で乗り切った。

 だが、激戦が予想された大阪では、例によって独り善がりの独自選挙をやっ
た共産党の得票を民主党に合わせれば大接戦。「必ずしも勝ったとはいい難い」
という声が自民党本部の中にある。

 また、かつての「小泉劇場」では断然無党派層を引きつけたのに比べ、安倍
氏は両選挙区とも無党派層の得票率では民主党に大きく水をあけられた。

 加えて、両選挙区とも前回選挙から投票率が大幅に低下。そこで、公明党の
組織票が大きな力を発揮した。

 とくに神奈川では無党派層が大量棄権をしたことから、民主党もまた、この
層を投票所に向かわせることができなかった反省が必要だ。

 もし、20代、30代の投票率が格段に低かったとするれば、この選挙の意
味とは別の、社会的な問題も浮上する。

 安倍首相の中・韓歴訪が評価され、その上北朝鮮の核実験が追い風になった
という論評もあるが、マスメディアの出口調査では、「北朝鮮」が必ずしも安
倍自民党の追い風になってはいなかったこともわかった。

 もともと自民党の議席であった補欠選挙であったことを考えれば、この補選
は、マスメディアがいうほど、勝負はついていなかったのではないか。

 安倍氏の人気は、小泉氏の人気とは質が違うことを示した選挙であり、来年
の参院選は、相変わらず「霧の中」といってもよいだろう。

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 週刊メールジャーナル 2006年10月25日 第357号(水曜日発行)
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