■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2007/1/24 No.367 週刊メールジャーナル 読者数11429人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●マスコミが報じない 日興不正会計処理事件の本質(上) (会員制情報誌『現代産業情報』1月1・15日号より転載) 日興コーディアルグループの不正経理事件で、調査する証券取引等監査委員 会や山本有二金融担当相が怒り、証券関係者やマスコミの取材記者が呆れたの は、社員一人の責任にして、自分たちは逃げ切りを図ろうとした金子昌資会長、 有村純一社長ら経営陣の無責任体質だった。 誤解されることを承知でいえば、日興コーディアルが行なった不正な会計処 理は、それほど大きな問題ではない。 日興の孫会社であるNPIホールディングス(NPIH)を連結決算対象とすべき であったか否か――ファンドの売却益を利益に取り込んで決算を粉飾したライ ブドア事件との連想から、「不正処理」の印象が濃いことは確かだが、この操 作を他社株転換債(EB 債)発行にによるリスクヘッジと考えれば、当時の会 計基準に則ってもいるわけで、「刑事事件に相当するような悪質な操作」とは いえない。 もちろん日興コーディアルとしても法的側面を、弁護士や公認会計士を入れ て慎重に検討したわけで、たとえ証取委が特捜部を巻き込んで「一罰百戒」を 狙ったとしても、立件は難しかっただろう。 この事件の本質は、証券スキャンダルで「棚ボタ社長」となった金子氏が、 旧日興証券を外資に売り渡し、米流経営という名の無責任体質を、日興コーデ ィアルグループにはびこらせてしまったことにある。 生き馬の目を抜く米シティーグループは、投資銀行部門の日興シティーグル ープ証券に集中、採算性の低い日興コーディアル証券から手を引いた。 その結果、日興コーディアルグループはどうなったか。同社元経営幹部がこ う嘆く。 「金子―有村体制のやったことは、三菱グループとの縁を切って外資に身売 り、リストラに励んで社員のやる気を削ぎ、組織をバラバラにして『オール日 興』としての連帯感を失わせたことです。 その結果、顧客とともに繁栄するという気概、社員の会社への忠誠心、証券 市場のメインプレーヤーとしての誇りが失われ、損得勘定ばかりが達者となり、 判断基準は法令に違反しているか否かという、わびしい会社になった」 そうし指適されれば、今回の対応も理解できる。証取委が、昨年12月18 日、5億円の課徴金支払を命じるよう金融庁に勧告、それを受けて記者会見し た日興コーディアルグループは、子会社の日興プリンシパル・インスツルメン ツの担当社員が、「不適切な手続きをしたうえに事実を隠していたため」であ り、さらにその決算操作は、「社員がミスを隠す為に書類を偽造したもので、 意図的な利益の水増しではなく、組織ぐるみでもない」と、説明した。 問題はそれが事実かどうかではない。こんな説明が通ると考えられる、経営 陣の認識に救いがたい病巣がある。 おそらく金子会長、有村社長にあったのは、「違法な決算処理に自分たちが 関わっていたわけではない」という意識だろう。 「ルール(法)」さえ遵守していれば、「モラル」を犯しても構わないとい うのは、堀江貴文被告や村上世彰被告と同じであり、大手三社の一角として、 「証券市場の守護者」でなくてはならないという使命感のなさに驚かされる。 これが金子―有村体制のいう手前勝手な米流経営であり、「いいとこ取り」 をする二人は業績連動報酬を採用、豊富なストックオプションも含め、「富を 経営陣が山分けする」という経営形態に変えていた。 経済マスコミの多くは、こうした日興コーディアルの変化に疑問を呈するど ころか、個別報酬の開示は透明性を高めるとともに、業績連動は経営陣のやる 気を鼓舞するとして、前向きに評価していた。 だが、結果として日興コーディアルにもたらされたのは、社員に責任を押し 付けて恥じない経営陣のモラル低下と、その経営陣が報酬を先取りする子ずる い体質である。 さすがに監督官庁からマスコミまでの批判に耐えかねて、金子ー有村体制は 崩壊したが、事件はこれにとどまらない。 この体質が事件を誘引したとするならば、「高い報酬を維持しようと利益の 上乗せを指示した」という可能性だったのである。それは、両経営者の特別背 任にもつながりかねない。 実際、カネの亡者と化したような金子会長、有村社長が、利益を個人的に取 り込もうとしている形跡は随所に見られる。 それが今回の事件の背景にあるだけに、次号ではその怪しさを徹底的に解明 したい。 (『現代産業情報』次号は2月1日号であり、本誌への転載は2月7日号の予 定です=編集部注) ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は、本誌が お取次ぎします。お申し出いただけば見本誌を無料でお送りいたします。 【あとがき】 前号の「不二家事件解説」でも、日興コーディアルの不正会計処理を、経営 姿勢の問題として例示したが、その経営姿勢が端的に現れるのが「部下や従業 員への責任転嫁」である。 好業績は自らの功績とし、事故や不祥事の責任は部下に押し付ける、こうし た“上目遣い”の幹部が経営者に認められ、やがて経営者になると、会社全体 に連鎖反応が起きる。 成果反映型の給与体系が行き過ぎても、同じような連鎖反応が起きるが、こ うした会社が、事故隠し、不祥事のもみ消し、見せ掛けの利益計上、粉飾決算 などを起こしやすい。その意味では、昨今の企業不祥事は「氷山の一角」とい える。 どんなに優れた技術力やブランド価値を持っていても、一旦これらが発覚す れば、その企業は存続すら危うくなる。それが現在の経営環境である。 たとえ発覚しなくとも、そうした企業内には上下や同僚間の摩擦、軋轢が起 き、ストレスが溜まりやすい。近ごろの「内部告発」の多発は、こうした背景 があるといってよい。 実際、本誌へも内部告発は増えている。裏づけが取れなかったり、個人攻撃 的な内容は取り上げないが、警告的な記事は書いていきたい。 しかし、その前に、告発者にはアドバイスをすることにしている。こうした 会社にほぼ共通するのは、社内コミュニケーションが壊れていることであり、 まずはこれを回復する手立てを考えることが必要だ。 「秘密なこと」が横行する、姑息な隠蔽体質を変え、風通しの良い社内の空 気を醸成するには時間がかかるが、「良い会社」を創るためには絶対に避けて 通れないプロセスだ。 CEO(コーポレーション・エグゼクティブ・オフィサー)を補佐し、社内コ ミュニケーションを統括するCCO(コーポレーション・コミュニケーション・ オフィサー)の権限を強化することが目標だが、それまでの過程では、「社内 広報」を所管する部門への経営資源の集中と強化が必要である。 本誌の関係者には、社内広報担当のオーソリティーが多いが、経営者の認識、 自覚が欠如している会社が多いことを憂慮する声が強い。「これでは企業不祥 事は減らない」と―― 【お知らせ】 ◆◆ 第六回 全国社内誌企画コンペティション 募集開始 ◆◆ Challenge! あなたの企画を見せてください いよいよ、恒例の社内誌企画コンペティションが始まります 社内誌の専門家による客観的な審査が受けられ、 今後の社内誌制作を変える大きなきっかけとなります 詳しくは ⇒ http://www.commu-suppo.net/competition.html ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃第七回社内広報サロン 2月22日開催!! ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 社内報編集者のみならず社内広報を担当される皆様に、自由に参加して頂 き、自由な雰囲気の中でリレーション、知識、ノウハウを深めていく場。 今回は、「社内報なんでも相談会」と「社内広報とブランド」をテーマと した、2つのグループディスカッションのコースがあります。 次回開催は 2/22木曜日 18時30分です 開催・詳細については、下記でご確認ください http://www.commu-suppo.net/salon/20070222salon.pdf 皆さまのご参加をお待ちしております。 ------------------------------------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 社内広報事業部 豊田 健一 Tel 03-5312-7471 Fax 03-5312-7475 E-mail ;toyoda@nana-cc.com URL ;http://www.nana-cc.com ------------------------------------------------------------------- ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2007年1月24日 第367号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |