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  2007/2/14 No.369   週刊メールジャーナル  読者数11257人(前回)
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【お断り】
本誌1月10日号に続いて、「社内コミュニケーションと社内広報・その5」
を掲載します。これは、「ナナ総合コミュニケーション研究所」が運営する、
「コミサポ・ネット」 http://www.commu-suppo.net/
の社内広報コラムに、2月10日にアップした記事です。社内広報にご関心の
ある方はこちらもあわせてご覧ください。

◆社内コミュニケーションと社内広報 その5◆
「リスクマネジメントの基本は社内広報」

 年明けから、不二家、関西テレビ、東京電力と、立て続けに著名企業の不祥
事が明らかになり、マスメディアでセンセーショナルに報道されている。

 しかし、メディアで報道されない不祥事も多々あるに違いない。

 現に私のところには、「できたら書いてほしい」と、私の発行するメルマガ
での暴露を求める社内不祥事を告発する情報がいくつも寄せられている。

 また、大手日刊紙には製品不良による回収、迷惑などの「お詫び」広告が、
またかというほど掲載されている。

 情報が外に漏れずに社内で密かに処理された不祥事も無数にあるに違いない。

 事故もある。火災、爆発、公害、交通事故などでも、組織管理上、業務上な
どの過失があり、被害が第三者に及べばそれも企業不祥事の範疇に入る。

 不祥事でも事故でも、経営に大きな打撃を与えるようなできごとは間違いな
くセンセーショナルに報道される。

 不二家と関西テレビは、発覚当初、経営トップのメディア対応が適切ではな
かった。そのため、センセーショナルな報道に発展したと思われる部分がある。

 東京電力の不祥事も、原因調査や社会的なアカウンタビリティー(説明責任)
いかんで、経営に大きな打撃を与える可能性がある。

 およそ企業経営に不祥事、事故はつきものである。他にも、金利、為替、資
源、気候など、経営に大きな損失をもたらす危険の要因(リスク因子)は多々
ある。それらを総合的に管理する経営手法が、「危機管理」(リスクマネジメ
ント)である。

 経営上予想されるすべてのリスク因子を特定し、その発生頻度や損害程度を
予測する「リスク分析」によって、財務基盤への影響度を測定する作業が「危
機評価」(リスクアセスメント)である。

 経営トップが、みずからリスクマネジメントを統治できないとき、不二家や
関西テレビのような事態に立ち至る確立が高くなる。

 東京電力の不祥事は、リスクマネジメントがどのように機能するかによって、
経営に与える影響が左右されると言い換えてもよい。

 リスクマネジメントの中で、もっともリスク分析の困難なリスク因子が、経
営陣や幹部社員による人為的な不祥事・事故である。

 しかもこれらは、リスクアセスメントにおいて、しばしば最大の影響をもた
らすリスク因子とみなされている。

 企業がおろそかにしてはならないリスクマネジメントについて、ここまで、
まことに大雑把な説明をしてきた。

 社内広報担当者には、リスクマネジメントの基本ぐらいは、しっかり学習し
てほしいと願うからだ。

 なぜなら、あなたがたの会社も、いつ、このようなヘビーリスクに巻き込ま
れるか、分からないからだ。

 お分かりの通り、社内で発生するリスク因子の中で、もっとも発生予測が困
難で、なおかつ発生した場合、損害の評価が難しい因子が、人為的な不祥事と
事故なのである。

 にもかかわらず、その発生を最小限にコントロールすることは、社内広報の
基本業務のひとつ、といわれているのである。

 ところが、社内誌やWEB社内報など、社内メディア編集者や発行部門に、そ
うした自覚がない企業が多い。

 ひとつには、メディアの編集・発行にのみ力がそそがれ、広い意味の社内広
報業務の視野がもてないでいる可能性が大きい。

 もっと悪いケースは、経営トップに、リスクマネジメントの意味、必要性の
認識が欠如している場合である。

 ややもすると、いまどきのリスクマネジメント論では、不祥事や事故発生以
後の対応を重視する傾向があるが、それは大間違いである。

 発生可能性をコントロールすることが、リスクマネジメントを効率化する最
善の手段であり、それがもっとも望ましい企業統治であることは疑いない。

 しかし、社内広報の業務分掌をそこまで明確に規定しているマネジメントは、
大企業でも数少ない。

 それは、大方の企業が、縦割り組織でのリスクマネジメントを指向している
からに他ならない。

 財務会計のリスクは財務・経理部門が、顧客とのトラブルリスクは営業部門
が、品質リスクは製造部門が…といった具合である。

 企業全体のリスクマネジメントを統括する組織が必要なことは言うまでもな
いが、問題は、企業全体、組織の隅々にまで、どのようにリスク因子をコント
ロールする意識を徹底するかにある。(つづく)

【あとがき】

 「社内コミュニケーション」や「社内広報」というテーマは、永田町や霞ケ
関のコンフィデンシャルからすれば、まことに「面白くない」テーマかもしれ
ないが、昨今の官・民をとわず多発する不祥事の根本原因のひとつには、社内
広報の機能低下があるようで、その分野のアドバイスを業とする筆者としては
看過できない。

 9日、経済産業省が“急遽”公表したリンナイ製ガス湯沸かし器による事故
は、本来、リンナイにおける危機管理(リスクマネジメント)が正常に機能し
ていれば、今回(7日)の死亡事故は発生していなかった可能性がある。

 また、官の行政機能の本質は国民生活の危機管理なのだが、そこに、産業育
成や保護といった本来二義的な役割に視点が傾斜すると、経営側に甘い行政指
導になる。

 今回は、行政がパロマの学習によって、珍しく早期公表に踏み切ったようだ
が、00年1月以降のリンナイからの報告に対する行政指導には、甘さがあっ
たと言わざるをえない。

 企業経営でも行政でも、組織の隅々まで、細かに分担されている職務の担当
者一人ひとりの意識と行動を、経営の目的に合理的にコントロールするために
は、社内(内部)の良好なコミュニケーション(意思の疎通)が必要である。

 通常、企業経営では、経営トップの考え方は、社内通知や通達、会議や打ち
合わせ、教育や研修によって組織内に伝達され、その執行状況は、組織を通じ
てトップに報告されると同時に、組織内に周知され、マネジメントサイクルが
回っていく。これが、基本的な社内コミュニケーションである。

 加えて、組織相互、社員相互のコミュニケーションは、それが必要かどうか
の判断と、その役割を担う社内メディア(媒体)を発行するかどうかは、本来、
トップマネジメントとして行なわれるべきことである。

 さらに、企業の製品やサービスが、使用者の安全や健康にかかわる場合は、
危機管理の意識と行動のコントロールを、基本的なコミュニケーションと、追
加的な相互コミュニケーションとによって、おこなってゆく必要がある。

 つまり、社内コミュニケーションがうまく機能しているかどうかが、危機管
理と密接なかかわりがあるのだ。

 パロマや不二家では、それがほとんど機能していなかったと言わざるをえな
いし、リンナイでもその可能性が高い。

 社内コミュニケーションが経営の目的に合理的に機能しているかどうかは、
定期的なチェックが必要である。これが、コミュニケーション・オーディット
(広報監査)である。

 ここまできちんとできている企業はまだ少ないが、近頃の不祥事や事故によ
る経営への影響をみれば、その必要性は自明である。

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 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 社内広報事業部  豊田 健一
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 週刊メールジャーナル 2007年2月14日 第369号(水曜日発行)
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