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  2007/2/21 No.370   週刊メールジャーナル  読者数11271人(前回)
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●石原知事が仕掛ける「ゼネコンのための五輪」は要らない!
(会員制経済情報誌『現代産業情報』2月15日号より転載)

 猛々しさを気取る人は守りに弱い。
 普段は、差別的発言を繰り返し、マスコミの批判をものともせず、威圧的な
物言いをする石原慎太郎都知事が、共産党の粘っこい追及と、それに乗じたマ
スコミのバッシングを受け、生気を失ってしおらしくしているのを見ると、そ
う思わざるを得ない。

 そのギャップは、これまでの言動が傲慢であった分、みじめで、昨年末、自
民党都議の資金パーティーで「私はいま共産党に、あることないこと言われて
いじめられていますが、決して自殺はしません」と語るなど、涙が出るほど情
けない。

 あることないこと、でない。共産党の追及はすべて情報公開請求した公文書
によるもの。

 自分が知事で長男・伸晃が自民党の都連会長、三男・宏高が東京都選出代議
士、四男・延啓が都の顧問的芸術家、さらに今夏の参院選に次男・良純まで政
治家にしようとしていたという、石原知事の「王朝作り」に呆れた国民が、
「反石原キャンペーン」に喝采を贈っている。

 弱気になった石原知事は、この逆境を持ち前のポピュリスト精神で乗り切ろ
うとしている。

 青梅マラソンの会場ではスターターを務め、花粉症対策のポスターは選挙用
と見紛うばかりで、5月に公開される特攻隊映画では、製作総指揮者として登
場するつもりだ。

 もちろん、この類は政治家なら誰でもやることで、目くじらを立てることも
ないが、2016年に立候補を表明した五輪誘致を、名実ともに利用している
のは目に余る行為と言わざるを得ない。

 2008年が北京、12年がロンドンなら、16年はアジアや欧州ではない
のが常識。事実、南アフリカのヨハネスブルグが有力視されている。

 なのに石原知事は、「東京五輪」をぶち上げると同時に、「私が言い出した
以上は」と、三選出馬を表明、「余人を持って代えがたい」という浜渦武生前
副知事を参与に戻した。

 誰が考えても明らかだろう。狙いは五輪プロジェクトの“仕切り”である。

 主要施設は、メーンスタジアム、選手村、メディアセンターの三つで、建築
費だけで5000億円といわれているが、国際オリンピック委員会の決定(0
9年10月)で仮に誘致に成功すれば、主要三施設は現段階で湾岸部に集中し
ているため、交通アクセスのための道路や地下鉄が必要。さらにはホテルなど
の宿泊施設で、莫大な土木・建設需要が期待できる。

 ゼネコン垂涎の的ではあるが、前述のように東京五輪は「画餅」に終わる可
能性がある。だが、五輪招致を名目にした事業で、新しい需要が期待できるも
のがある。

 例えば築地。23ヘクタールの築地市場は2012年に豊洲に移転すること
になっているが、この「都内最後の大型再開発」を巡って、ゼネコン各社は早
くも蠢き始めている。

 移転後のとりあえずの青写真は、五輪三施設の中のメディアセンター。高層
の2棟を国際会議場などの共有スペースでつなぐという青写真はできているが、
具体的にはこれから。

 なにより誘致失敗の可能性が高いからと、それを見据えたうえで、23ヘク
タールの広大な敷地利用に、各社とも頭をひねっている。

 この五輪施設の、事実上の窓口が浜渦参与。福知事時代から再開発事業には
関与、大手町再開発、秋葉原再開発で腕を振るった。

 豊洲移転を推進したのも浜渦副知事で、移転の決まっていた芝浦工大と土地
所有者の東京ガスを強引に説得、市場関係者に根回し、「豊洲移転」に決めた
のだった。

 こうした経緯から、ゼネコンが浜渦参与の調整を求めることは必至で、既に
その工作は始まっているという。

 つまり五輪は、ゼネコンのためのものである。
 そんなものは要らないし、「五輪を遂行するための三選」というに及んでは
ナンセンス。誰も頼んでいないし、次の知事が担えばいい。

 むしろ浜渦参与の動きを見るまでもなく、五輪が欲しいのは石原知事ではな
いのか。

 しかも、都知事選の前に電撃訪中、中国オリンピック委員会の劉鵬会長らと
会談、16年東京招致の支援を訴える方針だという。五輪工作であると同時に
選挙工作でもある。

 都知事就任以来、石原知事はこの種の「人気取り行政」に走ることが多いが、
どれもことごとく失敗している。

 都銀の外形標準課税は裁判に破れ、最初から大量の焦げ付きが予想された新
銀行東京は、ビジネスモデルの失敗が誰の目にも明らかだ。そのうえにゼネコ
ンを喜ばせ、「石原王朝」に望みをつなぐ東京オリンピック誘致。

 この老醜ながら、したたかな知事に、普通の候補では通用しない。朝日新聞
が推す菅民主党代表代行や浅野前宮城県知事ではなく、いっそのこと行政経験
を積んで「情報戦」に強い田中康夫前長野県知事を立候補させれば、面白い戦
いになるのではないか、という声が出始めている。

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 週刊メールジャーナル 2007年2月21日 第370号(水曜日発行)
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