■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
  2007/3/28 No.375   週刊メールジャーナル  読者数11076人(前回)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
会社不祥事や事故を減らすには会社文化を
変えなければだめ
            本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明

 先週、ある地方の経営者協会が主催する「社内報研究会」に久しぶりで出講
してきた。

 「久しぶり」の意味は、「昨年3月、経団連社内広報センター関連の仕事か
ら身を引いてから」という意味だ。

 各都道府県には経営者協会(地方経協)がある。永年旧日経連の関連団体と
して、経営側の労務対策と地元労働組合との窓口の役目をはたしてきたが、経
団連と合併してからは、地元経営者のニーズによる総合相談窓口として機能し
ようとしているが、その前身の性格から、労使関係の調整業務の比率がいまだ
に高い。

 いまやほとんどの会社に存在する「社内報」だが、かつては、労組側のプロ
パガンダに対抗するため、経営側の広報誌としての使命を果たしていたことか
ら、地方経協では「社内報研究会」を組織しているところが多い。

 しかし、定期的に研究会を開催し社内報のレベルアップを目指している研究
会はすっかり少数派になってしまった。

 本来、新しい地方経協としては、古い形の研究会を引きずるのではなく、会
社と社会とのかかわり方の変化にあわせて、地元の経営が、自発的に研究会を
立ち上げ、その助成、支援を行なうべきではないかと、かねがね考えていたの
だが、そのことをいう機会がなくなってしまっていた。

 今回出講の機会を得て、新しい時代には、地方の会社も社会の要請にあわせ
た会社づくりをしていかなければならない。

 そのためには、社風や社内文化を見直し、従業員の価値観を変えなければ、
消費者や社会の支持を得られない。

 そしてそのためには、新しい視点や着想で社内広報を展開することが喫緊の
課題になっている、ということを話そうと考えて出かけた。

 結果、案の定だが、社内報の編集発行担当者レベルでは、そうしたことは理
解できても、経営者の判断で、社内のあらゆるコミュニケーションを、総合的
に変革する中で、社内報の役割をイノベーションしていかなければ、会社の文
化、社風を変えることは困難だという意見が出された。

 ではどうすれば、会社を変え、不祥事や事故を減らすことができるか、とい
えば、第一義的には経営者の自覚と地方経協など経営者団体がリードして、
「社内コミュニケーション(IC)はトップマネジメントのガバナンスの課題
である」ということを啓蒙しなければ、なにごとも始まらないだろう。

 しかし、ICの専門家である社内広報担当者が、トップに対して、積極的な
提言をしなければ、トップみずからが、ICの改革に乗り出してくるとは考え
にくいと、説明をした。

 このところ、全国的なマーケティングでブランディングしている地方の有力
会社の不祥事が増加している。

 一面では、会社経営はグローバル化した市場原理で競争力の強化を求められ
ているのだが、他面、従業員の多くは、ローカルなさまざまなしがらみの中で
生活しており、そこに新しい価値観を入れ込むことはかなり難しい。

 会社法の改正によって「内部統制システム」ができたからといって、従業員
が自発的に考え方を変えることはないだろう。

 日本版SOX法といわれる金融商品取引法が成立したからといって、経理会
計や決算は俺たちに何の関係もないと考える方が順当だ。

 会社を取り巻く経営環境が大きく変わるからといっても、従業員の価値観を
変える直接的なインパクトは何もない。

 だが、現実問題として、会社がCSR(会社の社会的責任)を経営のミッシ
ョンに据えたり、社会的なコンプライアンスを高めようとすれば、その直接的
な担い手は従業員である。

 しかし従業員側には、非正社員が増えたり、正社員といえども終身雇用が不
透明になったり、賃金体系が変わったりすれば、これまでのように忠誠心を持
ち続けることができなくなるかもしれないという事情がある。

 よほど真剣にICに取り組まない限り、会社と社会のパラダイム変換に対応
した会社文化や社風は創造できない。

 こんな状態が続くより、三角合併でも何でも、経営権が外資に取って代わっ
た方が、手っ取り早く、いい物づくりやサービスの提供ができるようになるか
もしれないと思う消費者国民が増えてきて、少しもおかしくない。

 どしどしと会社経営に新しい波が押し寄せる、これは恐らく「ポスト産業資
本主義」(岩井克人著『会社はだれのものか』平凡社)における、当然のシナ
リオであろうが、ICを抜本的に再構築することなしには、この事態には対処
できない。

 ICとは、そもそも会社の経営目的(社会的存在意義)を、従業員にしっか
り植え付けるための経営手段である。

 つまりICは、コーポレートガバナンス(会社統治)として、経営トップの
マネジメントがやらなければならないことは自明の理、なのである。

 いつしか、ICを担当者任せにしてしまったのには、理由がある。

 これまで、政官業の堅固な枠組みの中で、箸の上げ下ろしまで指導する一律
的な行政による業界協調体制、さらには終身雇用、年功序列の労使関係など
「産業資本主義」(前出著書)時代のこの国の社会主義的な経営政策のもとで
は、経営トップは自立的なマネジメントをしなくても済むようになっていった
からである。

 会社には表からは見えない文化がある、これを社風や伝統ともいう。これは、
ICによって時間をかけて構築される無形の資産である。

 望むと望むまいと、トップの哲学や人生観、社会観が反映するものであり、
担当者やトップの取り巻きたちがコントールできるものではない。

 経団連には、社内広報センターという組織があり、社内報制作にかかわる編
集・発行担当者の相互啓発を支援してきたが、ICの本質がトップマネジメン
トのガバナンスであるとすれば、できることにはおのずと限界がある。

 いま、CSRやコンプライアンスで、会社を変えなければならないとする経
営は、まず、ICを変えなければならない。

 ICを変えるためには、経営トップが自らICをマネジメントしなければな
らないのだ。

 さもなければ、不祥事や事故を減らすことはできないことを、コミュニケー
ション担当者はもちろん、経営者自身が気付いてほしい。

 地方経協は社内報研究会の手前、動きにくいというのであれば、経済同友会、
商工会議所、青年会議所などが「声掛け」をして、地方の「IC研究会」を立
ち上げてほしいものである。

 ITやサービス分野では、過去にとらわれない、価値観の多様な従業員を取
り込む「ICM」(社内コミュニケーションマネジメント)を模索する動きが
活発になってきている。

 このような動きが、会社法でいう大企業を巻き込み、会社のもつ社会性とは
何か、を次第に明確にしていくであろうことを期待したい。

【お知らせ】

◆◆第8回社内広報サロンのご案内◆◆

 ■今回のテーマ■

 予算がない、人手がない、時間がない、
       その時、社内報はどうすればいいの?
 
 1人で広報室の仕事を担当していて、今は社内報がないため、社内報
 またはイントラネットなどを使った社内の情報共有をやりたいのだが、
 「人がいない、お金がない」状況でどうすれば良いのか・・・
 を参加者皆さんで考えるグループディスカッションです。

 ◇日 時  2007年4月19日 木曜日 18時30分〜21時
 ◇場 所  ナナ・コーポレート・コミュニケーション
       新宿区新宿1-26-6 加藤ビルディング5階 
 ◇18:20     開場
 ◇18:30     挨拶
 ◇18:35〜20:00 グループディスカッション
 ◇20:00〜21:00 ミニ交流会&マジックショー (軽食を取りながら)

 ■詳細とお申し込みは■

http://www.commu-suppo.net/salon/20070419salon.pdf

◆◆第6回 全国社内誌企画コンペティション 募集開始◆◆

   Challenge! あなたの企画を見せてください

    いよいよ、恒例の社内誌企画コンペティションが始まります
   社内誌の専門家による客観的な審査が受けられ、
   今後の社内誌制作を変える大きなきっかけとなります

  詳しくは ⇒http://www.commu-suppo.net/competition.html

-------------------------------------------------------------------
 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 社内広報事業部  豊田 健一
 Tel      03-5312-7471
 Fax      03-5312-7475
 E-mail ;toyoda@nana-cc.com
 URL    ;http://www.nana-cc.com                                           
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 週刊メールジャーナル 2007年3月28日 第375号(水曜日発行)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
        〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201
ホームhttp://www.mail-journal.com/ 
メールadmin@mail-journal.com
転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■