■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2007/4/25 No.379 週刊メールジャーナル 読者数10972人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●田原総一朗氏と山内昌之教授の「テレビと政治論争」の勝者 (会員制経済情報誌『現代産業情報』4月15日号より転載) 『朝日新聞』で、テレビ界を代表するニュースキャスターの田原総一朗氏と、 気鋭の政治学者である山内昌之東大教授が、「テレビと政治」をテーマとする 論争を行なった。 山内教授の論文に、田原氏が一方的に噛みついている構図なので、互いに意 見をぶつけ合う「論争」ではないが、テレビ番組が政治の流れを左右する現実 を、どう捉えるべきかという根源的問題に迫っているだけに、読み応えがある。 山内教授が、3月1日付の「思潮21」というコーナーで、「テレビ番組と 『社交仲間』」と題して指摘したのは、政治をバラエティー番組で娯楽として 取り上げることで発生する問題点である。 これに対して田原氏は、4月2日付の「私の視点」で、「バラエティーはす べて悪か」と題して、「山内論文」に反対した。 本来なら、「後出しジャンケン」をした田原氏に有利に展開するはずだが、 山内教授が「社交仲間」として批判した中に石原慎太郎都知事が含まれており、 「都知事選大勝」を受けた今となっては、山内論文が一層光る。 それは、逆に田原氏に跳ね返る。 田原氏は、「報道のバラエティー化」を批判されると、テレビ界きっての 「視聴率男」として今回に限らず、常に反論する。それが第一人者としての自 覚なのだろうが、山内論文の反論にはなっていない。 山内氏の最大の危惧は、政治と娯楽の垣根が低くなることで、「政治家や芸 能人やキャスターを、一種のコミュニティーや仲間として『有名人』ともいう べき集団的個性に仕立て上げることになった」という点である。 そこでは、風貌や頭の回転、緩急自在の会話術、物分りの良さ、といったテ レビ向きの個性がもてはやされるわけで、政治家としての資質や政策、実行力 などが評価されるわけではない。 それを前提として、山内氏は政治家が芸能人やキャスターの「社交仲間」に なることによる問題点をこう指摘する。 「冗漫なキャスターが、『疑惑』の政治家の追及どころか、持ち上げる光景 をテレビで見せつけられては、コミュニティーの親密さを内包しながら作られ る番組の中立性も疑わしくなるというものだ」 この「社交仲間」として山内氏が取り上げたのが、石原都知事である。山内 氏は、出産問題に関する柳沢厚労相の不適切発言を取り上げたうえで、石原都 知事の「ババア発言」との反響の違いに論及する。 「柳沢発言が女性差別として厳しく批判されるなら、『文明がもたらしたも っとも悪しき有害なものはババア』と、他者の論を不正確に援用した2001 年の石原東京都知事の発言も問題になるはずだった。しかし、各種テレビ番組 がほとんど真面目に批判しなかった理由は、コミュニティーや『社交仲間』の 性格と無関係ではなかろう」 山内氏は、テレビの娯楽性を否定しているわけではない。その娯楽に、政治 家を不用意に引き込んだキャスターが、政治家を「社交仲間」とすることから 生じる、追及の甘さを批判しているのである。 おそらく田原氏は、この論文を自分への批判と受け止めた。なのに、論点を ずらし、山内論文を「政治と娯楽の混在の否定」と解釈したうえで、反論する。 「どうやら、政治家が芸能人と一緒に番組に出ることを『政治の非政治化』 だと、怒っているようなのである」 もちろん山内氏には、政治をバラエティー化することへの危惧も不安もある。 ただ、問題としているのは「社交仲間」となった政治家を、視聴率稼ぎに使い、 批判が甘くなってしまうことへの危険性であり、だから山内氏は例として石原 都知事をあげた。 山内氏は、キャスターを特定はしていないが、数々の都政私物化批判があり ながら、それをまったく追求しないどころか、石原氏に「反論の場」を与えて やった田原氏を、ここで想定していることは想像に難くない。 だから田原氏は反発した。だが、視聴率のために「社交仲間」を優遇する自 分のスタイルは変えることができない。 そこで、山内氏を高尚な論を展開する“庶民”とは違うレベルの学者に祭り 上げ、政治をわかりやすくしたキャスターとして自分を持ち上げた。 だが、庶民からかけ離れてしまっているのは田原氏である。石原都知事に限 らず、「社交仲間」を出演させた時には配慮、そうでない政治家の場合は遠慮 なく突っ込む、田原氏のあざとい手法に、鼻白む思いをしている視聴者は少な くない。 田原氏が、政治を身近なものにしたことは事実である。だが、その存在が大 きくなり過ぎ、在野精神が失われ、「社交仲間」を増やし続けた今は、石原都 知事との関係ひとつとっても分かるように、「功績」よりも「害悪」の方が大 きい。 それを指摘されると反発するのだが、「庶民の視点」「分かりやすさ」とい ったごまかしで論を組み立てているから説得力がない。 老兵は立ち去るのみ――田原氏にも、とうにその時期がきている。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は、本誌が お取次ぎいたします。お申しであれば見本誌を無料でお送りいたします。 ■JR西日本は「社内コミュニケーション」を改革すべきだ■ 本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明 今日25日、107名が死亡し、562人が負傷した兵庫県尼崎市のJR宝塚 線(福知山線)脱線事故から2年目を迎えた。 この日、マスメディアは、この事故が“風化”しないよう、さまざまな企画 を立てているようだが、この事故の本質を見据え、ジャーナリスティックに掘 り下げた企画は見当たらない。 本誌は、2年前からいく度も指摘してきたところだが、JR西日本の「社内コ ミュニケーション」(IC=インターナル・コミュニケーション)が活発ではな く、そのことが、大きな事故を呼び込む可能性を高めてきたといえよう。 およそ会社経営には、経営の目的である社会的なミッション(使命)がある。 鉄道に限らず乗客を運ぶ運輸業には、「より安全に、より安く、人(命)を効 率的に目的地に運ぶ」というミッションがあるはずだ。 ミッションを達成するためのガバナンス(会社統治)が「IC」である。 経営トップは、経営環境の変化によって、節目節目に、経営の課題を説明し、 みずからの考えを組織の隅々にまで浸透させなければ、効率的にミッションを 達成することはできない。 JRは分割民営化によって、経営規模は幾分小さくはなったが、旧国鉄出身の 経営者が十分なICを実行するにはまだ会社規模は大き過ぎ、ことに、西日本、 東日本、東海などは、それぞれの会社の新しい文化、風土はまだ確立していな いとみてよいだろう。 国鉄時代の教育や研修がいまだに幅をきかせ、従業員による「小さなミス」 を経営に生かすことができていないからではないか。 2年前の事故を起こした運転士は、懲罰から何とか逃れようとして、ミスを 隠蔽しようとしたことが指摘されている。 専務車掌は、自己判断により現場で精一杯の救助活動をするよりも、一刻も 早く帰社報告をする道を選んだ。それらは、国鉄時代の“上目遣い”の従業員 気風が色濃く残っていることの証左でもある。 近ごろ、業績が大きく回復してきている民間会社の経営では、「小さなミス」 を大切にする風土ができはじめている。 大事故は、小さなミスが複合して発生することを学習してきたからであり、 そのためには、小さなミスを包み隠さずに報告し、どうすれば、ミスをなくす ことができるか、職場の中で議論できるようになってきたからだ。 東京電力は、次々明らかになった「ミスの隠蔽」から学び、どんなことでも 「言える仕組み」を作ることを明らかにしている。 日本航空では、整備や操縦のミスをみずから申告すれば、懲罰を免除するこ とも打ち出している。 JR西日本について、マスメディアは、経営の効率化を進めるために本体の社 員数の削減を急ぎ、保線業務などを関連会社などに外注化したことで、現場の 技術力が低下していると指摘している。 あるいは、合理化の結果、30代後半から40代前半の社員が極端に少ない 「ひょうたん型」の年齢構成になったために、「親方」と呼ばれる運転士の指 導役と、見習い運転士との年齢の隔たりが、お互いのコミュニケーションを少 なくしているとも報じている。 だからといって、事細かなマニュアルを整備すればよいというものではない ことは、不二家のケースも教えているのだが、マスメディアの論調は表面的だ。 むしろ、JR西日本は、「小さなミス」から経営の課題を見つける仕組みづく りを、急ぐべきなのである。 ついでながら、マスメディアには、全社的なICを大切にするマネジメントが 欠落している。 だから、会社経営のミッションを達成するためには、いかにICが大切かとい うことが分からないのかもしれない。 【お知らせ】 まだ、間に合います! 是非、ご応募ください! ■■ 第6回全国社内誌企画コンペティション ■■ 2006年に発行された社内誌、Web社内報、周年誌・記念誌・社外広報誌 ・PR誌の企画をご応募いただき、優秀な作品を表彰。一つの企画を3人の 専門家が審査し、審査講評を結果とともにお送りします。 社内誌を担当されるみなさまの成果を発表する場として、 また社内誌のレベルアップにご活用ください。 応募要領については、下記でご確認ください http://www.commu-suppo.net/competition.html 皆さまのご参加をお待ちしております。 注、4/1、事務所移転しました --------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 取締役 社内広報事業 ナナ総合コミュニケーション研究所 所長 豊田 健一 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F Tel : 03-5312-7471 Fax : 03-5312-7475 E-mail : toyoda@nana-cc.com URL : http://www.nana-cc.com URL : http://www.commu-suppo.net --------------------------------------- ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2007年4月25日 第379号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |