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  2007/6/6  No.385   週刊メールジャーナル  読者数10924人(前回)
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●松岡農水相を「死」に追い詰めた検察捜査と地元の離反
(会員制経済情報誌『現代産業情報』6月1日号より転載)

 「強く見えるのは、そう見せているだけ。実は気の小さい人なんですよ。秘
書から、『ここしばらく元気がない』と聞いていたので、『大丈夫かな』と心
配していたんです」

 こう語るのは、自殺した松岡利勝農水相を初当選の頃から応援していたとい
う、地元・熊本の建設業者である。

 ふてぶてしい顔と歯に衣着せぬ発言で、「傲岸不遜」の印象を持たれがちな
松岡農水相だが、人の気持ちがよく読め、その分、傷つきやすいデリケートな
人柄なのだという。

 当選6回で念願の農水相ポストを手に入れたのに、安倍政権発足以来、「政
治とカネ」の問題を引きずる旧来型政治家のレッテルをはられ、摘発されたマ
ルチ業者からの献金問題や事務所費問題を抱え、さらに緑資源機構の官製談合
メンバーとの密接な関係を指摘されるなどスキャンダル続出で、相当に追い詰
められていたことは疑いない。

 それに加えて、猛々しさの裏に弱さを隠し持っていたいたというのだから、
突っ張り続けた神経が、プッツリと切れてしまったのだろう。

 いずれにしても、中川一郎、新井将敬など自殺した政治家の「死の理由」が、
最終的には「謎」でしかないように、松岡農水相の「死」も解明されることは
なかろう。

 確実なのは、松岡農水相が迫りくる検察捜査に脅えていたことである。

 緑資源機構の官製談合を捜査する東京地検特捜部が、その先に自分を描いて
いることは、過去に鈴木宗男代議士とともに「国策捜査」の対象とされたとい
う経験から理解していたはずだ。

 ただ、「林道談合事件」の摘発が、入札価格が数百万円単位の測量・設計・
コンサルタント業務で始まっただけに、最初の段階では「事件は遠い」と思っ
ていた。政治家が「口利き」するレベルの談合ではない。事実、「俺は関係な
い」と、松岡農水相は周辺に語っていた。

 測量・設計・コンサルの各法人(公益法人や民間企業)は、林野庁出身の松
岡農水相の有力スポンサーではあるが、6年前に献金実態を『朝日新聞』に暴
露され、「現役とOBとOB政治家」のトライアングルが、税金を食い物にし
ていると批判されて以降、松岡農水相はそうした法人との関係を、献金を含め
て表向き絶っていた。

 ところが、特捜部は新たに「特定中山間保全整備事業」に切り込んできた。
全国でも、この事業に着手しているのは熊本県と島根県のみ、

 しかも、島根県が2007年度からスタートしたばかりなのに、熊本県は0
3年に事業着手、これまでに何十工区もの林道工事が発注されている。

 事業が実施されているのは、阿蘇山の北側に位置する小国町と南小国町。工
事を受注した業者と松岡農水相との関係は、松岡農水相が代表を務める「自民
党熊本県第三選挙区支部」と、農水相の政治資金管理団体である「松岡利勝新
世紀政経懇話会」の政治資金収支報告書に明らかで、04年と05年、以下の
ような業者が献金していた。

 ◎杉本建設(阿蘇市)344万円、◎森工業(阿蘇市)172万円、◎熊阿
建設(阿蘇市)100万円、◎佐藤企業(熊本市)90万円――。

 杉本建設は、松岡農水相の初当選(90年)以来の有力後援者で、阿蘇市を
拠点としていることから、「特定中山間保全事業」の業者サイドの仕切り役と
見なされていた。

 特捜部が緑資源機構の「林道測量談合」の次のターゲットを「熊本・阿蘇」
に定めたことが明らかになった時点で、松岡農水相は検察の「強い意志」を改
めて感じたに違いない。

 5月25日、特捜部が小国町の「緑資源機構阿蘇小国郷建設事務所」などを
家宅捜索して以来、「先生は、急速に元気をなくしていった」(地元支援者)
というのである。

 加えて松岡農水相にとってショックだったのは、大臣就任後も人気が高まら
ないどころか、「反松岡派」の力が強くなっていったことである。

 今年の統一地方選挙で、松岡農水相が推した阿蘇市長候補が落選、「国家老」
といわれた元秘書の栗原秀樹氏が県議選で敗れたことに、それは代表されてい
る。

 反松岡派の熊本県政界関係者が語る。

 「死んだ人にムチ打つつもりはない。ただ、公共工事における松岡さんの横
槍は、あまりに無茶が多過ぎた。過度の『要求』も含めて、地元業者の我々が、
辟易としていたのは事実で、大臣になっても人気はなかった。今回の首長選や
県議・市議選で、松岡さんに応援を要請した候補者は皆無に近い。意外に繊細
な人だから傷ついていたと思う」

 念願の大臣ポストを射止めた瞬間から始まった「松岡バッシング」と、地元
のためになると信じた「利益誘導型政治」の不人気――その積み重ねが、松岡
農水相を徐々に追い詰めていったことは間違いあるまい。

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◆マスメディアが報道しない「宙に浮いた年金」問題の本質◆

            本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明

 せっかく浮上しかけた安倍内閣の支持率が再び急落。原因は、松岡事件で、
またもや国民の前にさらけだした「政治とカネ」の問題、これに、「宙に浮い
た年金」問題に対する強引な政府の対応、にあることは間違いない。

 ほんとはそれだけはない。この6月から家計を直撃している住民税の“だま
し討ち”も、また、安倍首相の体質がようやく判然としてきた、方向性のはっ
きりしないナショナリズム志向に対する不安感なども、総合的に支持率を引き
下げる要因になっている。

 そのなかでも、今回の年金問題は、被害者の声に耳を傾け、こつこつと実例
を収集し積み上げ、とうとう社会保険庁から具体的な数字を引き出した、民主
党の議員プロジェクトのお手柄なのだが、この問題に対する安倍内閣の“不用
意さ加減”が、国民の不信感を増幅しているのだ。

 ただしその割に、民主党の支持率は伸びていない。これは、「年金」もさる
ことながら、「カネ」の問題でも、明確な違いを政策に打ち出せないでいる党
内の混乱が、われわれの眼に透けて見えるからだ。

 現に年金問題では、いくら野党が現政権の責任を追及したところで、いまの
社保庁を解体しても、歴代長官の責任を追及しても、「消えてしまった」個人
の年金保険料支払い履歴が、完全に元に戻ることはありえないことを、国民は
よく知っているからだ。

 もともと、高齢化社会対応の最大テーマが、公的年金制度の抜本改革にある
ことは、すでに10年以上も前から、だれの目にも明らかだった。

 その対応をネグレクトしたきたのは、野党を含めた永田町政治と霞が関官僚
にすべての責任があることは明白だ。

 例えば、「政治とカネ」では、「利権と談合は不可分」であることを承知し
ながら、「利権とカネを差配しなければ選挙にならない」ことから、「背に腹
変えられない」政治家たちは、小出しの政治改革しか、してこなかった。

 同様に、年金制度は、旧厚生官僚の有力な天下り先として、ドラスティック
な改革を絶対に認めることができない、制度だった。

 だからこそ、数十年もかけて、いくどもいくども、彌縫的な「制度改革」を
施し、結果として複雑なこの国の年金制度を構築してきたのである。

 筆者が現役のころ、生命保険会社の営業職員が、厚生年金加入資格の「取得」
と「喪失」を繰り返し、本来その都度、国民年金への「脱退」と「加入」の手
続きが必要なのにもかかわらず、それが、きちんとフォローされていない現実
を目の当たりにしてきた。

 これは、法の名の下に、「届出」や「請求」は個人の責任とされ、国(厚生
省)も企業もフォローする義務がないという、制度の不備に起因する「必然の
処分」の結果であった。(いまなお社保庁は「請求主義」を前提にしているが、
これまた、松岡前農水相の国会答弁と本質的に同じである)

 それが、多くの人々の、異なる年金制度間の「重複加入」や「空白期間」を
生み出し、それはやがて受給開始期にいたり、大きな社会問題に発展すること
は、予見できたのである。

 これは、年金行政の当事者はもちろんだが、大企業の年金業務担当や中小企
業の社会保険業務を代行する社労士らにも、自明の理であった。

 ところが生保に限らず、この国の企業の中には、正規・非正規の雇用区分を
明示せず、本来、従業員本人に対して、資格異動の都度、年金制度への加入・
不加入の事実を明確に説明・指導しなければならないにもかかわらず、これを
いい加減にしてきた企業が無慮多数あったのである。そして、それはいまなお
続いている。

 ひとつの原因は、「年金」の持つ意味、経済的価値が、その昔、いまよりも
きわめて軽かったからある。

 それゆえであろう、厚生年金加入義務のある企業が、経営の都合で勝手にま
るごと中途脱退しても、社保庁は、名目徴収率をあげるために、再加入を強く
指導してこなかったのである。

 その理由は、この国の各種年金制度は、それぞれ生い立ちが異なり、これを
統合しようというなどという、とんでもない“発想”は、その昔、年金行政に
は、さらさらなかったからである。

 こうした原因や理由によって、膨大な「宙に浮いた年金」が発生したことは
容易に察しがつくだろう。

 「保険のおばさん」は、本来、第3号被保険者でありながら、職業的トライ
アルとして厚生年金加入資格を再々取得、ところが、短期間で資格喪失。この
ケースが猛烈に多い。(これを業界では「ターンオーバー」という)

 一時期景気の良かった事業会社では、調子に乗って雇用を拡大したが、ある
とき、社会保険料の会社負担に耐え切れず会社ごと中途脱退。このケースも生
保以上に多い。

 こうした事情による「期間取得者」は、「年金手帳」を交付(個人番号を付
与)され、異なる制度間の重複加入者になっている。

 つまり、この国の年金制度は、抜本改革から逃れるための彌縫的な制度変更
を繰り返したことによる矛盾が拡大し、いつの間にか、膨大な「重複加入」や
「空白期間」を発生させたのである。

 本誌の単純推計だが、こうした重複加入は述べ3000万件を超えていると
思われる。

 したがって、仮に「名寄せ」による「突合」(とつごう)をしたところで、
この「重複期間」の保険料は依然として宙に浮いたままであり、「空白」を埋
めることにはならず、多数の加入者の年金救済(増額)につながるとはとうて
い思えない。

 本来であれば、かつて、「国民皆年金」が政治課題に標榜されたとき、国民
年金と厚生年金(できれば共済年金も)の統合を睨んだ対応を手当しておけば、
このような「重複」や「空白」をもっと減らすことはできた。

 しかし、基礎年金の全額税金化や制度間統合をすすめれば、年金官僚の天下
り先は極端に減る。そのことから、ドラスティックな年金改革を押しとどめる
ことこそが、官僚による政治家説得の目的になっていたことは間違いない。

 与党も野党も、古くは「恩給制度」を始めとして、この国の年金制度発足時
からの「官僚の意図」を見抜くことができなかった。これが、今日の年金大混
乱のもとになっていることを、あらためて勉強し直してほしい。


【お知らせ】

■第9回社内広報サロンのご案内■

★今回のテーマ 「社内報。企画の立て方、見つけ方」★

  社内報担当者の「悩み」である、企画立案。『社内誌白書2007』
 でも、「良い企画が思い浮かばない」が「悩み」の第一位でした。
 今回、ご参加の皆さんが、普段工夫している企画立案のさまざま
 の手法を共有したり、その中でヒントを見つけたり、今後の社内
 報編集にお役立てください。

 ◇日 時  2007年6月22日 木曜日 18時30分〜21時
 ◇場 所  ナナ・コーポレート・コミュニケーション
       新宿区新宿1-26-6 加藤ビルディング5階
    http://www.nana-cc.com/kaisya_gaiyou/access.html
 ◇18:20     開場
 ◇18:30     挨拶
 ◇18:35〜20:00 グループディスカッション
 ◇20:00〜21:00 ミニ交流会 (軽食を取りながら)

★詳細とお申し込みは★
    http://www.commu-suppo.net/salon/20070622salon.pdf
 
注、4/1、事務所移転しました
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 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 取締役 社内広報事業
 ナナ総合コミュニケーション研究所  所長
 豊田 健一

 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6
 新宿加藤ビルディング5F
 Tel :  03-5312-7471
 Fax :  03-5312-7475
 E-mail : toyoda@nana-cc.com
 URL : http://www.nana-cc.com
 URL : http://www.commu-suppo.net
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 週刊メールジャーナル 2007年6月6日 第385号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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