■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2007/9/5 No.398 週刊メールジャーナル 読者数10883人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【お断り】 今号は、勝手ながら都合により発行日を9月6日といたしました。お詫び申 し上げます。 ◆「守」のマネジメント (株式会社保険研究所『インシュアランス』9月6日号より転載) 8月22日、夏の高校野球が終わった。優勝した佐賀北高と、広陵高(広島) との決勝戦はドラマチックな展開の好試合だった。高校野球ファンならずとも、 手に汗握って観戦した人も多かろう。 今年の甲子園は、組み合わせ抽選方式が変わり、一回戦から隣県同士の対戦 も発生したが、これは、近年地域別の実力格差が縮小したことからも妥当な改 定といえる。 対戦結果もそれを証明している。出場回数の多い有名校や、関東、近畿の代 表校が初戦敗退するなど、戦前のマスコミ予想を裏切る結果が多かった。昔か らいわれるように、基本を鍛えた「走」「攻」「守」バランスの取れたチーム が上位に進出した。 今年はとくに、四死球や失策が失点に結びつき、ベスト8には、しっかりし た投手陣が野手のファインプレーに支えられ、加えて好走塁などで得点をあげ た、チームワークのよい、「守」に強いチームが勝ち残っていったことが特筆 される。まさに高校野球の原点を見た思いがする。 近年、わが国経済の構造改革は、会社経営には、行政主導のドメスティック な規制を緩和し、グローバルな競争力を付与することを眼目にしている。 いままさに、「走・攻・守バランスのとれた」「チームワークのよい」会社 経営が求められているといってよい。 保険業界でも、つい10年ほど前までは、行政主導の規制による業界秩序の 維持が幅を利かせていたのだが、すでに行政も様変わり、そこで必要になって きたのが、まさに「走・攻・守バランス」と「良好なチームワーク」の会社経 営である。 右肩上がりの経済成長過程では、営業第一線の増強、いわば「走」と「攻」 の強化が何ものにも変えがたい優先的な経営戦略ではあったが、すでに“社名 の消えた会社”の往時の経営を省みればわかるように、おろそかにされがちだ った「守」のマネジメントが、いかに重要であったか、いまや教訓になる。 今次、明確にみてとれる共通の経営課題は「CSR」(社会的責任)の具現 化であり、そのために不可欠なマネジメントが「内部統制システム」の強化で ある。 この仕組みが機能するインフラ(基礎的条件)がコンプライアンス(法令・ 社規・社則の遵守)であり、イレギュラーな反則や違反があれば、それを自律 的に是正する仕組みであり社内コミュニケーションである。 そのためには、経営のレピュテーション(信頼度)にナイーブなマネジメン トが必要である。 いつ発生するかもしれない緊急事態に備えた、日ごろのリスクマネジメント を含めて、「守」のマネジメントをおろそかにする経営は、自由競争の場では、 勝ち残っていけないことを自覚しなければならない。 【あとがき】 本誌編集発行人は客員論説委員として、時折、この保険業界紙の「主張」欄 を埋めさせてもらっている。 「守」のマネジメントとは何か、ということについて少し、蛇足を加えさせ ていただきたい。 保険業界では、いまだに「保険金・給付金不払いの実態調査」が完了してい ない。 何時になったら目途が立つのか、いまだに判然としない大手会社さえ、存在 する実態がある。 技術的な問題としては、保険金・給付金受取人の所在が掴めなかったり、個 人情報保護法がバリアになっている側面も否めないが、 本質的な問題としては、「請求主義」という“神話”があまりにも長い間信じ られていたことによる、 「請求のご案内」という、至極、社会常識的な、「顧客の立場」立ったマネジ メントが「否定」され続けてきたことから、 お客様の死亡、病気、手術、入院、通院などといった保険事故の発生にたいし て、ことさら「意識的鈍感」にさせられていたことが、根っ子にあったのであ る。 ご加入いただいたお客様を大切にし、「何か」が発生したら直ちにフォロー アップさせていただく、少なくとも、そうできる体制を整備するよう、経営努 力をする。 これが「守」のマネジメントである。しかし、長い間、そうした必要性は、 まったく省みられなかったのである。 いまなら、保険業を営む会社にとって、いと当たり前のマネジメントであり、 マーケティングのはずであるが、いまだにこの「請求主義」にこだわっている 会社があるというのであるから、実に、おかしなはなしである。 そういう会社が、社内外に向かって「コンプライアンス!」と叫んでも違和 感がある。 当たり前のことができないで、法令や社規・社則の遵守なんて、まったくナ ンセンスだ。 ところが、この「請求主義」という“神話”には、根深い根拠があるのであ る。 保険会社の「約款」は、基本的に「請求主義」によって成り立っている。 その理由は、保険金・給付金支払い手続きの実体論もないではないが、根本 的には、「官による民の統治」(ナショナルガバナンス)を、下敷きにしてい るからだ。 「官のサービス」は、この国では、基本的に「申請」しなければ受けられな い。私たちの「公」の日常生活は、ほとんどが「申請書」よって成り立ってい ることがわかるだろう。 いま、その呆れたビジネス感覚から、全ての国民の「信」を失った社会保険 庁のガバナンスも、実はこの「請求主義」が源泉になっているのである。 この「請求主義」をどう変えていくか、まずは、民間経営の顧客サービスか らこの「請求主義」を、払拭しなければならないだろう。 ところで、「守のマネジメント」というのは、それだけではない。「四死球」 や「失策」といった「守備の綻び」を発生させないためにはどうするか、 会社経営の要点はいろいろあるが、重要なポイントが「リスクマネジメント」 である。 潜在的なリスクを洗い上げ、経営へのダメージの大きさを予測し「評価」し なければならない。 このことについては、すでに何回も、本誌(「社内コミュニケーションと社 内広報」シリーズ)で書いてきたが、いまだ保険業界も含めて、多くの会社経 営で手が付けられていない。潜在リスクの認識が甘いからである。 潜在リスクを洗い上げるには、過去の会社不祥事から学習することも大切だ が、すべてのステークホルダーとの関係をつねに見直し、現状を正確に把握す る必要がある。 従業員や株主との現状把握も重要だが、調達先や販売先、協力会社や提携先、 売り掛け債権の内容など、取引先の現状把握などが基本であろう。 取締役の選任や更迭に際しては、取引先との公的、私的な関係なども調査、 把握する必要がある。(近ごろ、閣僚任命に際しての「身体検査」が話題にな っているが) 筆者は過去、広報アドバイザーとして、調査会社の紹介を依頼され、こうし たリスクの回避に協力したことがあったが、いまさらながら、このようなリス クマネジメントの重要性を認識させられた。 「築城3年落城3日」の古言はいまも現実的である。 【お知らせ】 ■第11回社内広報サロン 10/26 金曜日 開催■ 「メディアミックスを考える」 『社内誌白書2007』の調査で、約3割の企業が「WEB社内報がある」と 回答。WEB社内報と印刷社内誌それぞれの役割への認識、WEB社内報 の特性への理解、技術面での熟達が進んできたことが、その要因であると 思われます。今回は「紙メディア」と「WEBメディア」のメディアミッ クスについて、皆さんとお話ししたいと思います。 詳細とお申込は http://www.nana-cc.com/what/20070831/news.pdf 注、4/1、事務所移転しました -------------------------------------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 取締役 社内広報事業 ナナ総合コミュニケーション研究所 所長 豊田 健一 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F Tel : 03-5312-7471 Fax : 03-5312-7475 E-mail : toyoda@nana-cc.com URL : http://www.nana-cc.com URL : http://www.commu-suppo.net -------------------------------------------------------------------- ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2007年9月5日 第398号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |