■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
  2007/9/26  No.401   週刊メールジャーナル  読者数10935人(前回)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

●グッドウィル・折口に1500億円を貸し込む、みずほ銀行の危機
(会員制経済情報誌『現代産業情報』9月15日号より転載)

 人材派遣再大手のクリスタルグループを買収したことで、1兆円グループを
視野にしていたグッドウィル・グループが、「ビッグカンパニー」の仲間入り
どころか、経済危機に見舞われている。

 危機要因は二つである。

 一つは、警視庁がコムスンの介護保険不正請求を詐欺罪で立件しようとして
いること。

 もう一つは、介護事業の売却、日雇い派遣業の不振で2007年6月期決算
が407億円もの赤字に陥ったこと。

 この赤字は、今期、さらに膨らむ恐れがあり、今年後半、業績不振に事件化
が加われば、もともと脆弱な経営基盤だけに、経営破たんは免れまい。

 そうなると、メーンバンクのみずほ銀行が揺らぐことになる。

 クリスタル買収の際、グッドウィルがファンドを二つ使い、怪しげな資金操
作を行なったことを弊誌はNo.580で詳述した。

 グッドウィルは883億円を出資して「人材サービスファンド」をまず設立、
他の出資者の303億円と合わせた1186億円の「コリンシアファンド」で、
クリスタルを買収、グッドウィルはクリスタル株の67%を握る筆頭株主とな
った。

 このややこしい資金操作の理由については未だに謎である。

 303億円分の出資者は、「在日」の有力者だといわれており、広域暴力団
の陰もちらついているのだが、「出資者リスト」でもなければ、謎は解明でき
ない。

 警視庁とは別に証券取引等監視委員会が、「二つのファンドの謎」をインサ
イダー取引(実際の買収は昨年10月末なのに発表は11月18日だった)に
絡めて調査しており、そちらで解き明かされる可能性もある。

 ともあれ、もう一つの疑問は、この不可解な買収資金の883億円を、みず
ほ銀行が用意していることである。

 『週刊東洋経済』(2007年1月13日号)のインタビューで、折口雅博
会長は「買収過程」をこう語っている。

 「私が今でもオーナーに会ったことがないぐらい、誰もタッチできない会社。
そういう意味ではこの買収はものすごくやりにくい。

 接触できない、内容も分からない。では、なぜ私が買収したか。信頼できる
ものが二つあった。

 一つは連結納税書です。(中略)もう一つ。私の経営理念でもあるが、優秀
な経営をしていないと、こんなに大きくはならないと思う」

 つまり折口氏は、デューデリジェンス(資産査定)をせずに、883億円も
の買い物をしてしまった。

 その理由は「連結納税書とカン」なのである。

 折口氏が身銭を切った勝負をするのならまだしも、「(883億円の)資金
は銀行借り入れによるものです」(10月31日付の適時開示)というのだか
ら、リスクを取ったのは、みずほ銀行。

 どうしてこんな融資が通るのか。こちらも不可解である。

 こうした積み重ねで、みずほ銀行のグッドウィルへの融資残高は1300億
円を超えたという。

 窓口となるのは同行六本木支店。883億円融資の時点での支店長はMだが、
Mは今年4月の人事異動でみずほファイナンシャルグループの経営企画部長に
栄転、旧富士系のエースといわれる存在。同氏主導で、みずほ銀行がバックア
ップした買収劇だった。

 さらに、みずほ銀行は、折口氏個人にも融資している。

 2005年9月16日、グッドウィルは大和証券SMBCにMSCB(転換
価格修正条項付新株予約権付社債)を割り当てた。

 この社債の権利を持つ大和証券SMBCと折口氏の資産管理会社である折口
総研とは、247億円のデリバティブ契約を結ぶ。

 そのスキームの詳細は略すが、目的は折口総研の持ち株比率を高めるためだ
った。

 事実、社債転換の権利を持った折口総研は、06年2月7日、社債を株式に
転換、折口氏個人を含めた持ち株比率は、18.3%から32.14に高まっ
た。

 この時の資金271億円を折口総研に融資したのも、みずほ銀行である。

 折口氏と一蓮托生の道を歩み始めたみずほ銀行――収益のためにリスクを冒
す欧米型金融機関への脱皮とも受け取れるが、「見ず転融資」と合わせてどう
にも危うい。

 「我々の感覚では考えられない融資だ」。みずほ銀行のOBは、こう口を揃
える。

 ABCマートの三木正浩前会長に、TBS株の買収資金265億円を融資し
た一件といい、みずほ銀行のタガが外れてしまった印象を持つのは弊誌だけで
はない。


【あとがき】


 福田康夫内閣が成立した。
 
 福田首相自らが「冗談半分に言った」という「背水の陣内閣」という呼び名
は、マスメディアや評論家らが、TVワイドショーなどで面白おかしく命名し
た、どの呼び名よりもこの内閣の実態を言い表している。

 一つ間違えば、次の総選挙では、確実に政権交代に直結しかねないからだ。

 「居抜き内閣」という命名もあるが、安倍内閣とはまったく違った意味の
「官邸主導」、首相のリーダーシップが発揮される可能性がある。

 その代表的な人事が町村信孝官房長官の起用である。安倍首相が他派閥の塩
崎恭久氏を起用したことからはじまった与党とのきしみから得た学習効果か。

 「先祖返り」という批判もあるが、これまでの多くの政権がとった慣例に従
ったことで、官邸と与党の協調路線が復活した。

 党税調と政府税調、経済財政諮問会議と財務省など、安倍政権下で起きた、
それぞれの主導権争いの芽を摘んでおこうということだろう。

 これで、他の閣僚を変えなくとも、国会対策はがらりと変わる。恐らくアウ
トサイダー的に安倍氏の政権運営を静観していた、年功の福田氏らしい発想で
ある。

 もう一つ、「福田官邸」の特徴が挙げられる。中央省庁を束ねる事務担当の
官房副長官に二橋正弘氏を復帰させたことだ。

 二橋氏は、自治事務次官を経て小泉政権下で副長官に就いた。しかし、安倍
氏は政権発足時に二橋氏を更迭、個人的に親しい元大蔵官僚の的場順三氏を起
用した。

 総務、厚労など旧内務省系の官僚が副長官に就く慣例を破る人事で、霞が関
には驚きと反発が広がった。

 安倍政権下では、的場副長官の省庁間調整に対する不満がいつもくすぶり続
け、そのことが「身体検査」の不徹底にも繋がったと指摘する官僚もいる。

 福田氏は、自民党総裁に選出された23日夜、いち早く二橋氏と会談し、副
長官就任を要請。

 一度退いた副長官を復帰させる異例の人事に踏み切ることで、霞が関の人事
秩序を取り戻した。

 福田氏は、官房長官時代約7カ月間部下として使ったことのある二橋氏の実
力を知っており、これで官僚機構を押さえることができると踏んだはず。

 いずれにせよ、閣僚、官房副長官、首相補佐官など、そのほとんどを再任、
留任しても、自分なりのリーダーシップは発揮できるし、自民党内の「挙党一
致」の名分は保てると踏んだに違いない。

 問題は、山積している政治課題の解決には、いずれも民意の反映が求められ
ているということ。

 小澤民主党は確実にそこを突いてくるはずだ。少しでもベターな政治環境で
解散総選挙を迎えたい与党は、そのタイミングを計りながら、国会運営を進め
ることになる。


【お知らせ】

■第11回社内広報サロン 10/26 金曜日 開催■
  「メディアミックスを考える」

 『社内誌白書2007』の調査で、約3割の企業が「WEB社内報がある」と
 回答。WEB社内報と印刷社内誌それぞれの役割への認識、WEB社内報
 の特性への理解、技術面での熟達が進んできたことが、その要因であると
 思われます。今回は「紙メディア」と「WEBメディア」のメディアミッ
 クスについて、皆さんとお話ししたいと思います。
 詳細とお申込は
 http://www.nana-cc.com/what/20070831/news.pdf
 
 注、4/1、事務所移転しました
--------------------------------------------------------------------
 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 取締役 社内広報事業
 ナナ総合コミュニケーション研究所  所長
 豊田 健一

 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6
 新宿加藤ビルディング5F
 Tel :  03-5312-7471
 Fax :  03-5312-7475
 E-mail : toyoda@nana-cc.com
 URL : http://www.nana-cc.com
 URL : http://www.commu-suppo.net
--------------------------------------------------------------------
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 週刊メールジャーナル 2007年9月26日 第401号(水曜日発行)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
        〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201
ホームhttp://www.mail-journal.com/
メールadmin@mail-journal.com
転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■