■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2007/10/3 No.402 週刊メールジャーナル 読者数10951人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【お断り】 今回は『 Japan On the Globe・ 国際派日本人養成講座』(編集長・伊勢雅臣 氏)の承諾を得、同誌9月30日付No.516を転載します) http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogindex.htm ■■ Japan On the Globe(516)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■ Media Watch: 心温まるニュース 暗いニュースばかり伝える日本の新聞は、 もっと明るいニュースも流すべき。 ■1.暗いニュースばかり伝える日本の新聞■ 日本の新聞は、どうしてこうも犯罪やら事故などの暗いニュ ースばかり伝えるのだろう。たとえば、9月28日の讀賣新聞 の社会面で見出しの大きい順に記事を並べてみると: ・「間違いであって・・・」ミャンマーで長井さん死亡 知人ら言葉少な 紛争地巡り傷跡伝える ・力士急死 「親方なら止めるはず」父親「真実知りたい」 父親が涙の会見 真相究明訴え ・中3が刺し高3重傷 千葉「盗みに入り追跡され」 ・鉄くず代6億所得隠し 名古屋国税局 解体会社を告発 こうした気が滅入るようなニュースが中心なのは、他紙も同 様だ。これでは日本全国、事故や犯罪ばかりのように思えてし まう。現実にはそんな事はありえないのだから、これも一種の 「偏向報道」ではないか。 そういう問題意識を持つ人が新聞人の間にもいたようだ。日 本新聞協会は平成16年から、「HAPPY NEWS キャ ンペーン」を始めた。読んでハッピーな気持ちになった記事と その感想を募集したところ、8千件もの応募があり、その中か ら80余件が選ばれて『心がぽかぽかするニュース』[1]とし て出版された。 ハッピー・ニュースと言っても、「三つまたのナスができた」 とか、「太陽系で10番目の惑星が発見された」など、珍談・ 奇談もあるが、とりわけ心を打つのは、世のため人のための善 行である。本号では、そのいくつかを紹介しよう。 ■2.心を暖める座布団■ しなの鉄道の大屋駅。明治29(1896)年に開業した際の旧国 鉄時代の木造駅舎がそのまま使われている。その待合室の3つ のベンチに久留米絣(かすり)の座布団12枚が敷いてある。 座布団は25年前に始めて置かれた。駅員もだれが置いていっ てくれたか、知らなかった。翌年の夏、ある女性が座布団を洗 濯のために回収に来て、初めて真相が判明した。駅前で写真館 を営んでいる女性で、冬の夜、冷たい風の吹き込む駅舎に「せ めて座布団を」と置いたのが始まりだった。 大家族だった家には当時、使わなくなった布団がたくさんあっ た。仕事の合間を使って、その布団の綿を、これまた着なくなっ た久留米絣の着物の布地に入れて、座布団を作った。 大屋の駅や町、空気が好き。古くて素朴な大屋駅には、 絣がよく似合うと思いました。 女性は70歳になった今も、年一回の座布団の洗濯と補修を 続けている。今年も座布団を持って行くと、観光客の男性が 「こんな所に住みたいな」とつぶやいた。嬉しかった。 そこに気持ちを置かせてもらっているだけ。どうってこ とない。大屋に来て心が休まればいい。 高校一年の男子生徒は「毎日使うけど、知らなかった。感謝 しないといけませんね」 駅員の山辺真一さん(56)も「木 のいすじゃ冷たくて座れない。今ではあって当たり前になった けど、ありがたいことです」[1,p96] この女性は、新聞記事でも名を明かしていない。 ■3.心を癒すランプ■ 100個以上の手作りランプの温かい灯りが民家を浮かび上 がらせる。東京都江戸川区の静かな住宅街にある草木新生さん (81)の家だ。一目見ようと訪れる人が増えている。 10年以上前から、空き瓶や陶器を拾い集めては、ランプを 作り、自宅を照らしてきた。電気工事などの仕事で身につけた 技術が役立った。 「泣いてしまいそうな夜はここに来ます。クリスマスイブは夜 中もつけてください」という匿名の手紙を貰ったこともある。 その依頼通り、イブには翌朝まで光を絶やさない。 3年ほど前、心臓病が悪化して、もう続けられないと、すべ てのランプを捨てたが、通りを行く人々の「寂しい」「またつ けて」の声で再開した。その秋、ランプ作りをしていると初老 の女性が声をかけた。「平安な気持ちになります。今年も見る ことができて良かった」 また元気が湧いてきた。 ランプを見つめる人の心までのぞくことはできない。た だ、ほっとすると言われれば、うれしい。[1,p116] ■4.「まあちん」の日課■ 石川県志賀町の中学一年生・奥下雅士君は、月曜と火曜の週 2回、午前6時半に起き、家を飛び出す。緩やかな100メー トルほどの坂を、ダッシュして登る。 そこに一軒の駄菓子屋さんがあり、足の不自由な川口菊子さ ん(76)が住んでいる。奥下君は、川口さんのために、週2 回、ゴミ出しをしてあげているのだ。 きっかけは、ある雨の朝に見た光景だった。川口さんが右手 に傘、左手にごみ袋を持ち、足を引きずりながらごみを出す姿 を見て、決心した。最初は、両親も気づかずに「朝早くからど こへ行くのかな」と思っていた。 ラムネやガムなど10円、20円の駄菓子が並ぶ川口さんの 店は近所の子供のたまり場になっている。奥下君も小さい時か らこの店に通っていた一人だ。 川口さんは言う。 まあちんに小遣いをあげようといっても「ぼく、それが欲 しくて、しとるんじゃないげん」と言う。そんなまあちん が好きで。いつも心の中で手を合わせています。 川口さんはゴミを軽くするために生ゴミを減らそうとするが、 奥下君は「大丈夫、大丈夫。重くても平気だから」 「年も年だし、もう2年で店おこう(やめよう)かと思ってい る。いつかまあちんのお嫁さん見られたらいいな」と川口さん が言うと、まあちんは照れたように笑うばかりだった。[1,p5] ■5.思いやりのランドセル■ 山陽新幹線・徳山駅近くの周南市。市内中心部の商店街にあ る野村カバン店の経営者・野村利夫さん(57)は、今年も8 個のランドセルを持って、市社会福祉協議会を訪れた。「子供 たちに、お願いします」とランドセルを手渡す。ランドセルは 市内の生活保護世帯の8人の入学前の子供たちに届けられる。 利夫さんの父親・章さんが、ランドセルの寄付を始めたのが 昭和27(1952)年。その前年の春、ランドセルの品定めしてい た母子が値段を見て立ち去ったのが、きっかけだった。 最初の年に、約50個のランドセルを贈った。「本当にうれ しそうでした」と妻の幸子さん(現在87歳)。章さんが昭和 48(1973)年に亡くなると、幸子さんと利夫さんがランドセル 寄贈を引き継いだ。章さん以来、もう55年。最近は少子化で 個数は減ったが、通算では約2千100個になる。 ランドセルを贈られた子供が社会人となって、店を訪ねて来 て、感謝する事もある。感謝の手紙が届くと、章さんの仏前に 置く。 「もう半世紀を過ぎるんですよね」と幸子さん。「必要な子供 がいる限り、続けます」と利夫さん。[1,p102] こんな思いやりのこもったランドセルを背負う子供たちは、 感謝の心を知る立派な大人になるだろう。 ■6.思い出のランドセル■ ランドセルにちなむ佳話をもう一つ。埼玉県鳩山町の増田利 政さん(60)は役目を終えたランドセルをミニランドセルに 作り替える仕事をしている。 増田さんがミニランドセルを作り始めたのは、平成2年の春。 近所のおばあちゃんが「捨てるに捨てられない。これで何か作っ て欲しい」と孫のランドセルを持ち込んだのが、きっかけだっ た。 眼鏡ケース、財布、新聞入れ、、、いろいろ考えた末に「こ れならずっと手元に置いておけるだろう」と思いついたのが、 ミニランドセルだった。評判は瞬く間に広がり、次から次へと 使い終えたランドセルが持ち込まれるようになった。 ミニランドセルの標準サイズは高さ11センチ、幅9センチ、 厚さ6センチ。小さな背当て、肩かけベルト、名札ポケットま でついている。 素材のランドセルにカッターの刃を入れる時、革の表面の傷 を残すかどうか迷うという。懐かしい思い出の傷かもしれない し、逆に嫌な出来事を思い出させる傷かもしれない。そんな時 は、持ち主によく聞くようにしている。「良い思い出と一緒に、 いつまでも大切にしてもらいたいですからね」 こうしてミニランドセルを作り続けて15年。1万2200 個余りとなった。途中、無理がたたったのか、突然、右腕が動 かなくなり、箸も持てなくなった。医者から、ランドセル作り をやめなければ治らない、と言われた。だが、楽しみに待って いる人たちがいる。左手と両足、それに歯を使って、作り続け た。半年ほどして、ようやく右腕は動くようになったが、まだ 時々しびれるため、一日1個作るのがやっとだ。 それでも工房では今日もミシンの音が響く。[1,p54] ■7.山道を5時間歩いても郵便物を運ぶ局員■ 増田さんのように、自らの職業の中で人々に感動、感銘を与 える人も少なくない。 平成17年9月、宮崎県の山間部に位置する椎葉村は、台風 14号で村外に通じる道路が寸断され、電気、水道、電話も止 まって孤立した。 日本郵政公社九州支店(熊本市)は職員約40名を宮崎県に 派遣。職員たちは、東隣の南郷村から約2時間半の山道を歩い て、3日分溜まっていた郵便物を同村南部を担当する尾崎郵便 局に届けた。 尾崎郵便局は配達を再開。さらに約20キロ先の大河内簡易 郵便局へ、約5時間歩いて峠を越えて、郵便物を運び、そこか ら6人の配達員が約150世帯に徒歩で配達した。 郵便物を受け取った村民の一人は「郵便受けを見てびっくり。 近所の人と『ヘリで運んだのかな』と話していた。郵便が届い て外とつながった気がしてほっとしました」と喜んでいた。 [1,p134] 何時間も山道を歩いて郵便物を届けた局員たちの使命感には 頭が下がる思いがする。 ■8.海を越えたまごころ■ 郵便局員に続いて、今度は警察官の話である。平成17 (2005)年5月末、京都御所のすぐ西側にある中立売(なかだち うり)警察署に一通のエアメールが届いた。オーストラリア・ シドニーのジョン・マクニーベンさんという男性からの手紙で、 「4月に家族で京都を訪れた際、娘のキティがショルダーバッ グをタクシーに忘れた。発見に力添え下さい」との依頼であっ た。 さっそく拾得物を調べてみたところ、七条署にそれらしきショ ルダーバックが届けられていた。英語の得意な安藤栄二警部補 (42)が、エアーメールに記載されていた電子メールアドレ ス宛に、バッグが見つかったことを知らせるメールを送信。以 後、返す手順などを含めて8回ほどメールのやりとりをした。 バックは6月初旬に航空便で送り返された。 7月4日、少女から感謝の気持ちを伝える手紙が安藤警部補 に届いた。「このカバンはお気に入りで、貴重なものが入って いました。大変感謝しています」 府警本部長にも父親からお礼の手紙が届けられた。「日本人 がいかに親切か。友人にバッグが返ってきたことを話すとみん な驚いた。府警の皆さんは称賛に値する」 安藤警部補は「丁寧な礼状で逆に恐縮しています。娘さんが 学校でこの体験を披露するというメールももらいました。これ を機会にもっと日本を好きになってほしい。」[1,p76] 遺失物を管理するのは警察の仕事である。しかし、そこに込 められたまごころが人を感動させる。それは国を問わない。 ■9.心温まるニュースを■ 新聞を授業で活用しようというNIE(Newspaper In Education)という教育活動がある。しかし犯罪や事故のニュー スばかりでは、多感な青少年に対して、かえって悪影響を及ぼ すのではないか。中学生がいじめで自殺した、とか、高校生が 親を殺したなどというニュースが報道されると、よく似たよう な事件が続くのは、そのようなニュースが青少年を触発してい るからだろう。 本号で紹介したような心温まるニュースなら、良い刺激を青 少年にも与えるはずだ。近所の足の不自由なおばあさんの為に、 ゴミ出しをしてやるなど、子どもたちにもすぐにでも出来るこ とである。 また、5時間も歩いて郵便物を届ける郵便局員や、オースト ラリアの少女のために忘れ物を見つけ出す警官の話などは、子 どもたちに、将来の職業への夢を与えてくれるだろう。日本の 子どもたちには、将来への明るい夢が少ない、という国際調査 がよく報道されるが、暗いニュースばかり流しているマスコミ にも責任の一端があるのではないか。 日本を美しい国とするためにも、ここに紹介したような美し い行い、美しい心をもっと丹念に集め、報道して欲しいもので ある。 (文責:伊勢雅臣) 【お知らせ】 ■第11回社内広報サロン 10/26 金曜日 開催■ 「メディアミックスを考える」 『社内誌白書2007』の調査で、約3割の企業が「WEB社内報がある」と 回答。WEB社内報と印刷社内誌それぞれの役割への認識、WEB社内報 の特性への理解、技術面での熟達が進んできたことが、その要因であると 思われます。今回は「紙メディア」と「WEBメディア」のメディアミッ クスについて、皆さんとお話ししたいと思います。 詳細とお申込は http://www.nana-cc.com/what/20070831/news.pdf 注、4/1、事務所移転しました -------------------------------------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 取締役 社内広報事業 ナナ総合コミュニケーション研究所 所長 豊田 健一 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F Tel : 03-5312-7471 Fax : 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