■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2007/10/10 No.403 週刊メールジャーナル 読者数10965人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●建設業界が悲鳴を上げる改正建築基準法の重大欠陥 (会員制経済情報誌『現代産業情報』10月1日号より転載) 今年6月20日、「改正建築基準法」が施行された。 原因は、いうまでもなく姉歯事件。 マンション住人を震え上がらせた耐震構造設計の偽装は、政治家を「性悪説」 に立たせ、建築基準法は徹底的に厳しくなった。 「建築士は設計を偽装するものだ」という前提で法案を作成したのだから、 それも当然だろう。厳しくなるのは構わない。これまでの建築確認が杜撰すぎ た。 行政にも建築士にも緊張感がなく、慣れ合いと惰性で建築確認は下りていた。 7月は新設住宅着工戸数が激減するなど、影響がはっきりと表れているが、経 過措置と考えればよかろう――。 誰もがこう思っていた。ところが、建築業界は今、とんでもない混乱状況に ある。中堅の構造設計士が率直に語る。 「姉歯事件があったわけですから、我々もあまり声を大にしては言えません。 『性悪説』に立たれても仕方のない面はある。 でもそれが、構造設計にまったく関係のないところで厳しくなり、そのため に業務が滞留するのは本末転倒でしょう。改正建築基準法には、そんな重大な 欠落があるのです」 偽装事件を機に、安全性を徹底的に議論したわけでも、そのために法律を厳 しくしたのでもなく、審査基準を厳しくすることで、行政に罪が及ばないよう にした。 その結果、耐震性には関係のない瑣末な書類の添付、建築関係者なら誰もが 不要と思っている書類の提出や審査を求められるようになったという。いかに も役人の考えそうなことだ。 さらに、申請中の変更や認可後の変更が認められないことなど、現実に即し ていない。 確かに、最初から計画通りに進めるのが理想だが、建築に限らず、すべての 製造現場では想定外のことが起きるし、それには臨機応変に対応するしかない。 ところが、改正建築基準法では変更を認めない。どうするのか。 「結局、軽微な変更でも最初から確認申請をやり直すしかないんです。この 手間は相当なもの。工期は延びるし、スケジュールが立てられない。 そんな実態を訴えたいのですが、姉歯事件がトラウマとなって、信じてもら えないんじゃないかと思ってしまいます」(前出の設計士) また、「完全無欠」を求めるために、行政は非人間的な対応になっていると いう。 従来、建築確認申請は、設計士と審査機関で見解の相違があれば、双方が協 議、設計図書を調整しながら認可に至るのが常だった。 ところが、6月20日以降はそれが許されない。設計図書の変更は認められ ず、最初から完全無欠な設計書を提出しなければならない。それは、いくらな んでも無理だろう。 建築現場で変更が認められないことは前述したが、そのためにこんな混乱が 起きているのだという。 「たとえば、杭打ちの際、地中に障害物があって設計図通りに施行できない 場合があります。 また、工事しなければわからない杭の長さの調整もある。改正法では全てそ れらは審査のやり直し。工事は数カ月もストップします。これほどの無駄はあ りません」(ゼネコン関係者) 建築業界関係者の困惑と混乱は理解できる。安全性のためにミスを認めない というのならわかるが、そうではない瑣末なところで規制を強化している印象 で、この工事の遅延は、建築業界だけでなく日本の景気にも深刻な影響を与え よう。 国土交通相は冬柴鉄三代議士が再任、公明党の閣僚ポストを守ったが、冬柴 大臣は、中小業者の多い建築業界、設計業界のこの悲鳴を、真摯に受け止める べきである。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は本誌が、 お取次ぎします。お申し出あれば、見本誌を無料でお送りいたします。 【あとがき】 この問題は、マンションのような大型建築物に限らず、3階建て木造戸建て 住宅のようなものにまで、大きな影響が出ているという。 この改正基準法は「確認行政の責任逃れ」を狙っただけの法律であり、それ が、経済成長にまで影響しているという事実は無視できない。 いかにも、視野の狭い役人が考えそうな法改正ではあったが、ゼネコンをは じめ、建設・建築業界が、「姉歯事件」の本質、根本原因を徹底的に洗い出さ なかったことが、このような立法を産んでしまった側面もある。 近ごろ、盛んにいわれるようになってきたのがCSR(会社経営の社会的責 任)だが、建設・建築業界のCSRは、いかにあるべきなのか、そのあたりの 整理と共通認識ができあがっていないことが、このような状況を生んでいる原 因といえる。 建設・建築業界が社会的存在であることを、社会的に認知されることを真に 願うのであれば、建築主・注文主にとってもっとも望ましい建築基準は、自ら の手で作り上げるべきなのである。 【お知らせ】 ■第11回社内広報サロン 10/26 金曜日 開催■ 「メディアミックスを考える」 『社内誌白書2007』の調査で、約3割の企業が「WEB社内報がある」と 回答。WEB社内報と印刷社内誌それぞれの役割への認識、WEB社内報 の特性への理解、技術面での熟達が進んできたことが、その要因であると 思われます。今回は「紙メディア」と「WEBメディア」のメディアミッ クスについて、皆さんとお話ししたいと思います。 詳細とお申込は http://www.nana-cc.com/what/20070831/news.pdf 注、4/1、事務所移転しました -------------------------------------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 取締役 社内広報事業 ナナ総合コミュニケーション研究所 所長 豊田 健一 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F Tel : 03-5312-7471 Fax : 03-5312-7475 E-mail : toyoda@nana-cc.com URL : http://www.nana-cc.com URL : http://www.commu-suppo.net -------------------------------------------------------------------- ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2007年10月10日 第403号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |