■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2008/1/23 No.416 週刊メールジャーナル 読者数11130人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●派閥の論理で潰された内閣改造 (会員制経済情報誌『現代産業情報』1月1・15日号より転載) いささか旧聞に属するが、年初の内閣改造が見送られた。 また、福田首相自らが4日の年頭記者会見で、内閣改造を見送った理由につ いてこう言及した。 「まあ、いろいろ考えた。通常国会も直ぐに開会するということで、その間 隔も非常に短い。そういう時に改造すべきかどうかということだ。改造した方 がいいという意見もたくさんあった。またなかには、現状でこうしたらいいの ではないかという意見もあった」 どう見ても、奥歯にものの挟まったようないい訳だ。というのも、福田首相 が一時は内閣改造に大きく舵を切った時期があったことは間違いない。 年末に訪中した際にも、記者団に「今、そのことについては白紙だ。まあ、 正月過ぎて、来年の日程などをよく考えたうえで、そのへんを考えたい」と語 った。これを受けて、マスコミは年初の改造ありと大々的に報じた。 さらに政治部記者が補足する。 「現在の内閣は、閣僚のほとんどを安倍前内閣から受け継いだ“居抜き”だ から、福田が自前の内閣をつくろうとするのは当然のことだ。 福田の後見人を自称する森元首相も、そろそろ福田カラーを出すべきだと改 造を後押しした。それに、改造で福田カラーを出して、急落した内閣支持率を 回復する狙いもあった」 もっと言えば、福田官邸には早くから内閣改造への空気が醸成されつつあっ たのだ。昨年の11月末、首相の秘書官と官邸詰め記者が都内の居酒屋で懇談 した際、こんなやり取りがあったという。 記者「次の内閣改造では、渡辺喜美(行革担当相)、太田弘子(経済財政相) は消えるのか」 秘書官「そりゃーいつかわからないけど、まあ渡辺さんや太田さんは代わる だろうな。太田さんなんて、総理の前で秘書官に怒鳴られたこともあった。大 臣が秘書官風情に怒鳴られてどうするの」 こうした水面下でのやり取りからもわかるように、内閣改造があれば渡辺行 革相が更迭第1号になることは間違いなかっただろう。 渡辺行革相が、独立行政法人の整理合理化計画で、官邸に冷たくあしらわれ たことは周知の事実だ。 特に首相の女房役であり、官僚出身の町村信孝官房長官から毛嫌いされた。 「あのチンピラが」とか、「あの野郎、いいかげんなことを言いやがって」と、 町村氏が渡辺氏を罵る文言が、番記者のオフレコメモに残されている。 渡辺氏は、最後には首相からも梯子を外されてしまった。 内閣改造が見送られた直後、町村氏は記者団に「改造は検討していたのかど うか」と聞かれて、「検討はしていたんでしょうね。その結果見送りになった。 どこかの報道にあったようにポストとか人選まで検討したことはない」とオフ レコで答えている。 しかし、実は内閣改造が不発に終わったのは、町村氏の処遇をめぐって、福 田首相と後見人である森元首相らの意見の調整がつかなかったためとも言われ ているのだ。 「官僚べったりで独法改革を骨抜きした町村の評価は低い。例の年金照合公 約破り弁明でも、“簡素化してしまった”と発言して国民の顰蹙を買った。 官僚出身だけに、エラソーでKYな町村こそ内閣改造の更迭第1号にすべき 人物だ」とベテラン政治部記者が前置きして続ける。 「町村には、“福田ごときが”という思いがあるのではないか。官房長官し か経験のない福田に比べて、主要閣僚の経験のある町村の方が、政治家として のキャリアは上だ。しかも、町村は福田が所属する派閥の会長だったわけだか ら、官邸では上下関係が逆転していることになる。だから福田にも遠慮がある のでは」 結局、大幅改造をやるのならば、官房長官も含めてと考える福田首相と、官 房長官は出身派閥からでと主張する森元首相、実質派閥を中川派にするという 強烈な意思をもつ中川元官房長官が、町村退任、派閥復帰を嫌った。 つまり、福田首相は改造を見送ったのではなく、町村官房長官がネックにな って、派閥内部の思惑が絡んで改造ができなかったというのだ。 もともと福田政権スタート時から、首相と町村氏の関係を危惧する声が強か ったのだが、それが現実となってしまった。 改造見送りは、福田政権のアキレス腱が露呈してしまったことにもなる。も っとも、ベテラン秘書はこう皮肉を飛ばす。 「居抜き内閣だからということでもないだろうが、福田政権がスタートして 現在に至るまで、国民に対して福田ビジョンだとか公約を示してこなかった。 首相は、ビジョンがあってこそ自らが任命権を持つ人材を閣僚として配置で きるわけだ。そのビジョンがないのだから、内閣改造以前の問題だ」 いずれにしても、今回の改造見送りは福田政権の基盤がいかに脆弱であるか を天下にしらしめたことになる。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は、本誌が お取次ぎします。お申し出あれば、無料で見本誌をお送りいたします。 【お知らせ】 本誌・川崎が執筆し「ナナ総合コミュニケーション研究所」が提供したコラ ムが、「NIKKEI−NET」(「経営BIZ」)に掲載されています。 「BIZ+PLUS」の「知財・総務」に、特集として5回、隔週で連載さ れる予定です。 「特集:CSR時代の社内コミュニケーション・マネジメント」の標題で、 第1回は「不祥事の多発は、社内コミュニケーション不在の裏返しでもある」 です。なにとぞご高覧ください。 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/rensai/kawasaki.cfm 【新刊本のご紹介】 ◆「新聞記者のミニ法話」◆(新風書房刊・1575円・税込) 「よくぞ、これだけ“坊さん”を追いかけたものだ。やさしく深く説かれた 法話だ」と、鎌倉・円覚寺、京都・清水寺の管長も絶賛! 元産経新聞の編集委員・藤井元秀氏が17年間かけて取材、高僧の話のエッ センスをまとめた。 人生の教訓がやさしく紹介されており、“座右の書”として活用できる。 登場する名刹には、円覚寺、清水寺のほか、東から成田山新勝寺、護国寺、 高幡不動尊、身延山久遠寺、永平寺、知恩院、比叡山延暦寺、高野山金剛峰 寺、東大寺、興福寺、薬師寺、法隆寺、四天王寺など、神社では、石清水八 幡宮、熊野那智大社などがある。 なお、同書所載の写真の多くは、本誌編集発行人・川崎明が撮影したもので す。あわせてご高覧いただければ幸いです。 ◆ お申し込みは本誌がお取次ぎいたします。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2008年1月23日 第416号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |