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  2008/7/30  No.444   週刊メールジャーナル  読者数11384(前回)
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●『毎日新聞』からスポンサーを撤退させたネットユーザーの『行動』
(会員制経済情報誌『現代産業情報』7月15日号より転載)

マスコミでは報じられていないが、インターネット上で異常事態が起きている。

先月、『2ちゃんねる』など複数のサイト上で、『毎日新聞』の英語版ニュー
スサイト『WaiWai』コラムで、編集長代理のライアン・コネル氏が約9
年間にわたって執筆してきた記事が、「あまりにも低俗で卑猥」であると指摘
された。

コネル氏は雑誌に掲載されていた卑猥記事を翻訳、それを断定的な調子で掲載。

ネットユーザーを中心に、「日本人すべてが性的倒錯であるかのような誤解を
生み、日本人の名誉を傷つけている」との非難が、『毎日』に殺到したのだ。

それがいかに卑猥で低俗かについては、引用するのが憚れる、と言うにとどめ
る。

コラムとはいえ、こんな記事が新聞社のサイトから垂れ流されていたとは、俄
かに信じがたい。

『毎日』は問題記事を削除した。が、「それ以上の責任を負うつもりはない」
と発表したため、非難は拡大。

『WaiWai』コラムを廃止し、「低俗で卑猥な記事の掲載は不適切であっ
た」という旨の謝罪文をネット上に掲載せざるを得なくなる。

その後、朝刊社会面にも謝罪文が掲載された。しかし、問題は拡大の一途をた
どるのだ。

関係者が語る。

「謝罪文で『毎日』は、記事を掲載したことが不適切であったことは認めたも
のの、謝罪の中身が曖昧で、木で鼻をくくったような文面であることがユーザ
ーを刺激した。しかも一部の記事が雑誌の引用でなく、コネル氏の創作だった
ことが発覚。『毎日』は謝罪文で『責任者を処罰する』としたが、責任部署で
あるデジタルメディア担当だった朝比奈豊氏が社長に昇進することが株主総会
で承認され、ユーザーから、『ふざけるな』という機運が爆発した」

「新聞社」対「ネットユーザー」。

かつてない対立の構図が生まれ、ネット上には『毎日』記者の実名が次々と掲
載され、特に女性記者に対しては、卑猥な中傷が書き込まれるようになった。

『毎日』はこれに対し、「法的措置をとる」と強硬姿勢をとったが、ネットで
は「日本人が卑猥であるということを世界に伝えているくせに、自社の記者が
卑猥だと言われたら告訴するのか」と、揶揄される始末。

ここまでは、ネットでたびたび見られる“中傷合戦”である。異様なのはここ
から先だ。

「ユーザーの中に、矛先をスポンサーに向ける者が出てきたのです。しかも抗
議ではなく、質問。『あのような記事を掲載するサイトに、なぜ広告を出して
いるのか、御社の見識を伺いたい』と。これらのユーザーは一斉にスポンサー
への穏やかな、しかし、理詰めの質問を始めたのです。これは企業にとっては
痛い。『毎日』のあの記事は、あまりにも酷いから、ユーザーたちの質問に答
えてゆくと、とどのつまりは自社の公益性に関わる問題になってくる。ついに
『毎日』のサイトである『毎日JP』からは、広告の撤退が始まり、バナー広
告は全て消えました」

サイトだけではない。『毎日』紙面からの撤退を始めた企業も現れた。ネット
ユーザーが『毎日』から広告という資金源を奪ったのである。

その規模は決して小さくはない。

「しかも、こうしたスポンサーへの質問攻勢を提案したユーザーの呼びかけで、
『毎日』本社前での抗議集会まで実施された。50人から200人規模のもの
まで、さまざまな集会が、竹橋の本社前で実施されています。この動員力は何
なのでしょうか」(関係者)

『毎日』を追い込むユーザーたちの「行動」の動機は何か。「社会正義」とい
う単純なものではあるまい。

「マスコミという“既成権力”への“喧嘩”を面白がっているのだ」という見
方もある。

いずれにせよ、彼らの行動理由がわからないだけに、事態が読みきれず、マス
コミにとって不気味なものになっている。

その証左に、ほとんどのマスコミが今回の騒動を報じないのは、ユーザーを刺
激して騒動が大きくなれば、『毎日』とセットになっているパック広告を失い
かねないからである。

ほんの数年前までは、予想もできなかった「新聞社」対「ネットユーザー」の
構図。これが一般性を持つのか、今回だけの特殊な事件なのか、その分析はも
っとメディアによって考察されていい。

いずれにしても、『毎日』の自業自得とはいえ、マスコミがネットに、より強
く不気味さを感じる時代に入ったということだろう。

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 週刊メールジャーナル 2008年7月30日 第444号(水曜日発行)
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