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  2008/9/3  No.448   週刊メールジャーナル  読者数11603(前回)
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●不動産・建設不況を加速させている大銀行と金融庁
(会員制経済情報誌『現代産業情報』9月1日号より転載)

大型倒産が続出している。

特に顕著な不動産業界では、直近のアーバンコーポレイションの負債総額25
58億円が今年最大だったが、その前には、レイコフインベストメント、六本
木開発、ケイアール不動産(旧興和不動産)、近藤産業、スルガコーポレーシ
ョン、ゼファー、マツヤハウジングなどが倒産している。

当然のことながら建設業界も同じ惨状で、7月以降に限っても、真柄建設、三
平建設、キョーエイ産業、セボン、創建ホームズと続いた。

既に、今年に入って倒産した不動産・建設各社の負債総額は1兆円を突破、さ
らに新興不動産業界では、株価が暴落しているジョイント・コーポレーション、
アルデプロ、アセット・マネジャーズ、ランド、ランドコムなどに経営不安説
が流れ、建設業界では、飛島建設、新井組、若築建設、大末建設などが要注意
銘柄だという。

その最大の原因は、金融機関の貸し渋り、貸し剥がしである。

日本経済とともにあった銀行は、バブル崩壊を経て、企業と「苦楽を共にする
存在」であることを止め、逆に経営の表裏を知る立場を利用、危なくなればメ
インバンクがまず、企業に「引導を渡す存在」となった。

「ラストリゾート」などと言われていたのも今は昔、企業はある日突然、メイ
ンバンクに蛇口を閉められて「資金繰り倒産」する。

「メインの責任」を取り、最後まで不動産・建設各社の面倒を見たおかげで、
ともに奈落の底に落ちたバブル期の恐怖感から、逃げ足は速くなった。

それに加えて、護送船団時代の横並びの連帯感は金融改革を経ても同じで、
「メインが出さないなら準メインも出さない」という、リスクを取らない日本
の金融機関の体質が、不動産・建設不況を加速させている。

このように「死体の山」を築く一方で、メガバンクは海外進出に熱心だ。

三菱UFJフィナンシャル・グループは、65%の株式を持つ連結子会社のユ
ニオンバンカル・コーポレーションを完全子会社化することを決めた。

同社は米サンフランシスコに拠点を置き、グループ中核のユニオン・バンカル・
オブ・カリフォルニアは、預金規模で全米20位。

三菱UFJフィナンシャル・グループは、残り35%に約35億ドル(約38
50億円)を投じることになった。

今年1月の提案で1株58ドルだったものが、63ドル、73.5ドルと跳ね
上がり、約35億ドルのTOB(株式の公開買い付け)となったが、同社に限
らず、メガバンクの海外戦略には不安がつきまとう。

今年に入り、みずほコーポレート銀行が米メリルリンチに優先株12億ドルを
出資、三井住友銀行は英バークレイズに約5億ポンド(約1000億円)を出
資しているが、欧米の金融不安が高まる中でのメガバンクの海外戦略は、「ヨ
ソがやるからウチも」といった、横並び意識以外の動機はうかがえず、戦略な
き投資というしかない。

一方、不動産・建設業界を不況にたたき込む銀行の貸し渋りを放置する、金融
庁の姿勢もおかしい。

「建設偽装」をきっかけにした建設基準法の改正が、認可その他の滞留を生ん
で「官製不況」となったことは周知の事実であり、資源価格の高騰が建築資材
などの価格に反映、計画の見直しを迫られるプロジェクトが続出している。

こうした不可抗力の事態は、行政の指導によって是正すべきだろう。

さすがに政界も座視できなくなった。

民主党には、国会に全銀協会長や金融庁長官などを呼び、事態がどうなってい
るかの説明をさせて、その姿勢を厳しく質そうという動きがある。

説明のつかない貸し渋りゆえ、金融界はそれが最も怖い。

なにしろ、企業をドン底にたたき込む「死刑執行人」の役回りを引き受けなが
ら、銀行経営者は決して悪びれない。

他人は殺しても、自分は公的資金で長らえて当然だと思っている。

そんな体質だから、みずほコーポレート銀行の斉藤宏頭取は、自らが監査役を
務めるテレビ東京の女性記者と不倫を重ねながら、責任を取らない。

ここは国会の場で、彼らをじっくりと攻め立てるしかあるまい。

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【あとがき】

本誌発行人の友人から面白い私的メールが届いた。無断転載させていただく。

<9月に入ってからの蒸し暑さのぶり返しには参ってしまいます。それにして
も、安倍、福田の二代続いたお坊ちゃま内閣の政権投げ出しにも困ったもので
す。

そう言えば、お坊ちゃま細川内閣も、戦時中のお坊ちゃま近衛内閣も、重大局
面を前にして敵前逃亡とばかりに、政権を投げ出してしまいました。「ぼくち
ゃん、もうイヤ!」となったら、放り出してしまうのでしょうか。

麻生幹事長も彼らに負けず劣らずのお坊ちゃまです。この国はどうなるのでし
ょうか。こちらがイヤになってしまいます。

残暑にくたびれた独り言でした。>

当然のことながら、本号のテーマ記事は福田首相の退陣表明前に書かれたもの
である。

しかし、臨時国会では、総合経済対策の関連事項として、民主党によるメガバ
ンクの責任追求が、厳しくなされるだろう。

ともあれ福田首相は、5月から退陣の機会をうかがっていたという報道は事実
のようだ。

しかし、臨時国会開会前のこの時期が最適だったかどうか。これからの歴史が
それを検証することになる。

自民党総裁選の告示、投・開票日が決まったが、このスケジュールだと、選挙
戦が行なわれようと行なわれまいと、麻生幹事長が総裁に選ばれることは間違
いない。

もちろん、「麻生総裁」には小泉元首相(および中川秀直元幹事長ら)、古賀
選挙対策委員長(実質的に野中元衆院議員)らが強い反対意向だから、さまざ
まな裏工作が展開されるだろう。

結果、党内の亀裂が深まれば、総選挙後の政界再編のマグマになる。

解散・総選挙は、遅くとも12月末になる。場合によっては公示日が新年にな
るかもしれない。

そこで、マスメディアが「その気」になって“国民投票”のムードづくりに成
功し、投票率が上がれば、野党政権が誕生する。

そうなれば、政界再編は間違いない。結果として、あの(福田小沢会談の)
「大連立」が実現することになる。

小沢民主党代表は、そこまでの「筋書き」を完全に読んでいるといわれる。


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