■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2008/11/5 No.457 週刊メールジャーナル 読者数11562(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●市場安定化策で国がやってはいけないこと! (会員制経済情報誌『現代産業情報』11月1日号より転載) 単なる株価の暴落ではない。不況のレベルをはるかに超えた恐慌である。 それも世界を巻き込む大恐慌。さらに厳しいのは、「底」が見えないこと。 この不安感が投資家にキャッシュポジションを取らせ、各国の通貨と株が暴落 を続けている。 金融システムが完全に壊れた。 10倍、20倍のレバレッジをかけて利益を膨らませるという、投資銀行主導 のマネーゲームが終焉。レバレッジ部分がすべて吹き飛んだ。 かつての日本がそうであったように、バブルは大きいほど傷が深くなる。 今回は、グリーンスパン前FRB議長のマジックで、“見せかけの繁栄”を続 けてきた基軸通貨国アメリカの崩壊から始まっているだけに、その衝撃は大き く、各国がなりふりかまわず混乱を収めようとしている。 世界の非常時である。 吹っ飛んだ信用は、国が補填するしかないのだから、紙幣の増刷も含めて「な んでもあり」の状態も認めてもよかろう。 しかし、譲ってはならない原則はある。 ところが日本は、10月27日、麻生太郎首相が中川昭一財務・金融担当相ら に作成を指示した「緊急市場安定化策」の中に、日本経済のために良くない 「策」を盛り込んでいた。 それは何か――。 弊誌は、第一に時価会計の見直し、第二に空売り規制、第三に経営陣の責任を 問わないことだと考える。 「失われた10年」の間、米国政府が繰り返し時価会計を日本政府に迫ったこ とは記憶に新しい。 含み益も含み損も認めず、経営の実態を“素直”に公開すること。 その透明性こそが、投資家の信頼を生み、能力のない経営者を排除、企業を再 生に導くという主張は正しかった。 それを米国は、自分の都合で破り、含み損を認めた。 債務不履行を保証する金融商品のCDSや、合成した債務担保証券のCDOな どは、まだまだ米国金融機関を蝕んでおり、ルール通りに開示すれば「破綻ド ミノ」は必至である。 だから恥を承知で時価会計を留保した。 米国に負けず劣らず痛んでいる欧州も追随、日本の“参加”を求めた。 周知のように、バブル崩壊の痛手があまりに大きかった日本の金融機関は、ハ イリスク・ハイリターンのデリバティブにはあまり手を出さず、証券化ビジネ スにもそれほど熱心ではなかった。 その“臆病”が幸いして傷は浅く、三菱UFJフィナンシャルグループのモル ガンス・タンレーへの出資のように、欧米金融機関への攻勢が目立つ。 強者が弱者の“弱み”につけ込むのは、金融資本主義の鉄則ではなかったか。 長銀、日債銀はそうして「外資」にやられた。 なにも「ハゲタカ」となって“復讐”する必要はないが、透明性を確保できる 利点を生かし、海外投資家からの信頼を集めて投資に向かわせ、「時価」を拒 否する「外資」に対しては、公開を強く求めてM&Aなどでの交渉を優位に進 めるチャンスである。 「時価会計の見直し」は、会計の原則を歪めるうえに、その利点を放棄するこ とでもある。 空売りについてもそうだ。「買い」があれば「売り」もあるのがマーケットだ ろう。 企業経営者にとってなにより怖いのは、売り込まれること。 その心理的圧迫が、投資家へのIR(投資家向け広報)を中心とした情報開示 姿勢につながる。 また、ネット証券の普及で、一般投資家も「売り」というリスクへっじを容易 に手に入れることができた。この環境を壊す必要はない。 結局、今回、米国の不況が世界を巻き込む大恐慌になったのは、情報を瞬時に 発信、受信もでき、クリックひとつで資金移動するという環境をつくったネッ トの影響が大きい。 グローバルに情報と資金が移動する。それに誰も制限を加えることはできない し、またすべきではない。 世界が非常事態宣言を発し、あらゆる手を尽くして恐慌を押さえ込む努力はし ていい。 「時価会計」「適時開示」「売りと買いの錯綜する市場」が続けば、退場を命 ぜられる生保や地銀が出てくるのは確かだろう。 だが、それを「隠すこと」「制限すること」で対応してはならない。公的資金 で、個別対応すればいい。 そのために10兆円を用意するのであれば、原則を歪めず、それによって内外 の投資家の評価を得、無原則な欧米諸国より高い評価を得られるマーケットに なる。 であれば、経営者責任は追及すべきである。 国民の税金を使った支援を行なう以上、そこにどんな失策があったかを問うの は、当然のことだろう。 超低金利は、国民から資産を奪う政策であるうえに、円キャリートレードを生 んで、昨今の円高を招いた。 それが銀行救済の日銀政策であり、そのうえにメガバンクの経営陣は、そろっ て公的資金を得て救済された身であるのに、報酬を恥ずかしげもなく1億円近 くに跳ね上げさせ、さらに退任した“先輩”に、凍結されていた退職金まで支 払っている。その“恥知らず”を許してはならない。 公的資金は、強制してでも注入、その際、経営責任を問う厳しさを失ってはな るまい。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は、本誌が お取次ぎします。お申し出あれば、無料で見本誌をお送りいたします。 【お知らせ】 ■□■「第4回全国社内誌実態調査」アンケートに ご協力ください! 社内誌の発行状況や編集組織の体制、編集担当者の意識や周辺の状況、新しい 動きなどを調査、分析した『 社内誌白書 』を、隔年で発行しています。 ■□■『 社内誌白書2009 』を進呈します! お答えいただきましたみなさまには、調査結果を分析し、2009年4月に発行を 予定しています『 社内誌白書2009 』を進呈いたします。 お忙しい中ですが、11月10日までに回答フォームよりご回答ください。 アンケートは ⇒https://www.commu-suppo.net/hakusyo/ ------------------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 取締役 社内広報事業 ナナ総合コミュニケーション研究所 所長 豊田 健一 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F Tel : 03-5312-7471 Fax : 03-5312-7475 E-mail :toyoda@nana-cc.com URL : http://www.nana-cc.com URL : http://www.commu-suppo.net ------------------------------------------------ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2008年11月5日 第457号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |