■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2008/12/17 No.463 週刊メールジャーナル 読者数11409(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●「緑のニューディール」を宣言するオバマで変わる排出権ビジネス (会員制経済情報誌『現代産業情報』12月1日号より転載) 米国のオバマ次期大統領は、経済恐慌脱出のために経済刺激策を大胆かつ迅速 に行なうことを決めている。 追加景気対策の規模は、最大7000億ドル(67兆円)とする方針で、実現 すれば大恐慌時のニューディール政策以来の大規模な財政支出となる。 ただし無原則ではない。ニューディール政策とは違って、橋やダムや道路はつ くらない。もちろん必要なインフラは整備するが、基本は「環境」に集中する。 自動車産業を支援するにしても、ただ救済するのではなく、家庭用のコンセン トから充電できるハイブリッドカーの開発に手厚い予算をつける。 食物によるバイオ燃料の開発、太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーの 拡大、環境にやさしい製品の製造、低排出の石炭産業への投資……。 こうしたエネルギー分野だけで10年間に1500億ドル(約15兆円)を投 資、クリーン内需で500万人の新規雇用を生むと宣言していることから「緑 のニューディール」と呼ばれている。 京都議定書すら離脱したブッシュ政権とは180度異なるのだが、オバマ政権 が地球温暖化防止のために、予算を費やし、政策投資していると考えるのはナ イーブに過ぎよう。 オバマ次期大統領が舵を切ったのは、脱石油の環境ビジネスでもポジションを 確保、CO2 を軸に、引き続き英米で世界の金融システムのコントロールをし ようという深慮遠謀である。 グローバル化の中で製造業が海外で生産を始めて空洞化、「車」と「住宅」と 「軍事」と「IT」で米国は国家経済を支えてきたが、これらに附属する各種 サービス産業を加味しても、消費に欲望を燃やす米国民の満足を満たす力はな かった。 そこで登場したのが金融である。80年代に入って成熟国家となってしまった 米国は、規制緩和と小さな政府でビジネスチャンスを民間企業に与え、金融自 由化で潤沢にカネが流れるシステムを確立、「成熟のなかの繁栄」を謳歌した。 ただし、その前提には金融が富を生みだすための過剰流動性を、常にキープし なければならず、それがいつの間にか実体経済の4倍、日本円にして2京円を 上回る規模の資金量となり、世界経済はバブル化、カネのない人間にローンを 組ませる詐欺のような商法が破綻、現在、恐慌に陥っていることは、今さら言 うまでもあるまい。 金融システムを崩壊させた今は大人しくしているが、長く金融覇権を握ってい た英米は、これで他の国に主導権を渡すほどヤワではない。 次のシステム構築に向けた動きは、10年以上前から開始している。それが環 境ビジネスであり、地球温暖化対策としての排出権ビジネスである。 既に、CO2 の売買はEUで活発に行なわれており、8割は英国に本拠を置く ECX(欧州気候取引所)で取り扱われている。 現在のCO2 1トンあたりの価格は3000円程度。 この排出権ビジネスに否定的なのが日本の鉄鋼、電力などの排出量の大きな大 企業で、その理由は「CO2 を売買したところで地球温暖化の防止に役立つと は思えず、それなら各社が自助努力で排出量の削減に努めた方がいい」(新日 鉄の三村昭夫会長)というものだ。 正論である。しかし世界はもはや、地球温暖化防止のために動いているのでは ない。 「建前」としてはそうだし、その大義で国民をリード、社会活動家やNGO、 NPO法人などを巻き込んでいるが、本音のところでは脱石油社会へのパラダ イムシフトであり、そうすることによって新規産業を創出、新規雇用を生み、 金融恐慌で傷んだ経済を立て直そうとしている。 同時にこの動きは、成長著しいBRICsなど「次の枢軸国」に一定の“枠” をはめる効果がある。 CO2 の発生量は、GDP(国内総生産)の伸びとほぼ重なる。 「地球環境」を大義に、排出量に“縛り”をかければ、成長をコントロールす ることができる。 さらに、排出権ほど金融商品にうってつけのものはない。腐らず見えず、置き 場に困らない。 2050年までの半減を各国が約束をしているのだから、削減競争は激しくな り、それでも追い付かずに排出権は売買され、将来は高騰、スワップ、オプシ ョン、先物といったデリバティブを駆使した金融商品ができあがって、金融機 関に貢献する。 産業資本主義は金融資本主義となり、リードしようとした欧米は、欲望を制御 しきれずに経済システムを崩壊させた。 その欲望を、CO2 で制御しようとするカーボン資本主義は、環境ビジネスと いう懐の深い領域とセットになっていて、将来性がある。 国家戦略としてシステムをつくることにおいて、BRICsはもちろん日本や アジア諸国は欧米、なかでも英米の足元にも及ばず、「緑のニューディール」 をひっさげて、来年1月、大統領に就任するオバマに、結局はついていくのだ ろう。 それが嫌なら、「CO2 の削減は企業の自主努力に任せる」という現在の日本 の排出権取引を、世界に認めさせる駆け引きと強さが必要だが、それだけハラ の座った政治家がいるとは思えず、また強固な戦略性を持つ英米に負けないカ ーボン資本主義に代わるシステムを打ち立てるほどの知恵を、日本の産業界が 持っているとも思えない。 それならせめて、英米のシステムにいち早く飛び乗って、「先行優位」のポジ ションを確保すればいいのだが、その覚悟もなさそうだ。 結局、日本はシステムで勝負することはできず、製造国家として、米国の一翼 を担うしかないのだろうか。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』購読のご希望は、本誌が お取次ぎします。お申し出あれば、無料で見本誌をお送りいたします。 ━〔新刊書籍のご案内〕━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■27万部突破のベストセラー第2弾! 『読書は1冊のノートにまとめなさい』奥野宣之 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901491849/ →100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング →多読・速読より、1冊ずつきちんと頭に落とす読書術 ■アマゾン・キャンペーン実施(12/5-12/11) 期間限定で2大特典プレゼント! http://www.sinkan.jp/special/dokusho/campaign.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ついに発売! 27万人が支持した『情報は1冊のノートにまとめなさい』の 第2弾がついに出版されます。 今度のテーマは「読書術」。 ■なぜ、読んだのに覚えていないのか? 何十冊、何百冊読んでも、ほとんど何も覚えていない……。 多くの方がこの悩みを抱えています。 でも、「覚えていない」は「読んでいないと同じ」です。 この本では、読んだ内容を確実にあなたの「財産」にする、 「インストール・リーディング」の技術を紹介します。 →詳しくは公式サイトへ http://www.nana-cc.com/note/reading.html 【お知らせ】 ■□■第18回社内広報サロン 12/19 金曜日■□■ 今回のテーマ「社内報のリニューアルを考える」 多くの企業がこの時期、来年4月に向けた社内報のリニューアルを考えます。 デザインの変更、台割の変更など、リニューアルの仕方もさまざまです。 しかし、見せ方の変更だけでいいのでしょうか? もう一度、根本に立ち返って、 社内広報の目的も見直してはいかがでしょうか? 詳しくは、 ⇒http://www.commu-suppo.net/salon/20081219salon.pdf ------------------------------------------------- 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 取締役 社内広報事業 ナナ総合コミュニケーション研究所 所長 豊田 健一 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F Tel : 03-5312-7471 Fax : 03-5312-7475 E-mail :toyoda@nana-cc.com URL : http://www.nana-cc.com URL : http://www.commu-suppo.net ------------------------------------------------ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2008年12月17日 第463号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |