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  2008/12/24  No.464   週刊メールジャーナル  読者数11419(前回)
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【お断り】
まことに勝手ながら、12月31日号、1月7日号は休刊し、次号は1月14
日配信とさせていただきます。来年は創刊10周年を迎えます。引き続き、ご
購読を賜りますようますようお願い申し上げます。

●「田母神論文問題」の本質とは何か
(会員制経済情報誌『現代産業情報』12月15日号より転載)

田母神俊雄・元航空幕僚長の論文問題とは、いったい何だったのか。

大山鳴動はしたものの、結局その“本質”は見えてこないまま、マスコミの報
道は終わってしまった。

しかし弊誌に寄せられた情報を総合すると、その“本質”の一端が浮かんでく
るのである。

押さえておきたい問題点は、「田母神論文」の選考過程をめぐる不透明さであ
る。

論文懸賞主催者側によると、寄せられた論文(235点)を、募集したアパグ
ループ側がまず25点に絞り込み、評論家の渡部昇一氏ら審査委員4人が、執
筆者名の伏せられた各論文を審査した。

各審査委員が25論文の中から、「最優秀賞」から「佳作」までの候補14論
文を選び、これを得点化してアパ側に送った。

これを2回目の審査会で集計した結果、田母神氏の論文が最高点を獲得した――
とされる。

問題はその過程である。審査委員の前外務政務官、中山泰秀衆議院議員の代理
として、2回の審査会に出席した山本秀一秘書は11月上旬、TBS系の番組
の中で「自分は田母神論文に0点をつけた」と発言したのだ。

これが事実であれば、田母神論文が最高点を獲得したということは考えにくい。

公安関係筋はこう語るのだ。

「山本秘書が番組で『0点証言』をした直後、中山議員サイドにアパ側から激
しいリアクションがあったというのです。具体的には、アパグループ代表の元
谷外志雄氏サイドから、発言を封じる要請があったらしいのです。

中山事務所は、アパ側からのその電話の内容を録音しているという話です。ま
た、中山議員サイドは、『代理審査した山本秘書が田母神論文に0点をつけた
のは事実』との態度を示しており、これが事実とすれば、アパサイドの強い反
発は何を意味するかが推測できる」

公安当局者が明かす、中山議員サイドとアパサイドの衝突は、「アパグループ
が意図的に田母神論文を最優秀賞に引き上げるために工作を行なったか否か」
の証明に関わってくる、といえる。

では、仮にアパグループが「結論ありき」を企図していたとして、その理由は
何なのか。

それこそが、いわゆる「田母神論文問題」の本質にリンクしてくるものである。

ここで、この問題に長く関わってきた公安当局者の証言が、明確な意味を帯び
て生きてくるのだ。

「アパ=元谷氏の背後にいるのが田母神元幕僚長である構図は、はっきりして
いる。そこには森喜朗元首相や安倍晋三元首相ら自民中枢部の人脈も絡んでき
ます。

元谷代表は石川県小松氏出身。その人脈の裏に『小松基地拡張計画』があった
という。

アパグループを中心としたそれらの人脈が、どう絡んだかは調査を待つしかな
いが、拡張計画の情報は関係者にとって大きな価値があったのではなかろうか。

今回の論文問題がアパの『田母神氏最優秀賞の結論ありき』だったとすれば、
その賞金300万円は合法的に田母神氏に流れる。

それが何を意味するか、もう分かるでしょう。われわれ公安は、こうした符号
を偶然という眼では見ません」

田母神論文の根は深い。イデオロギー論争や防衛省幹部の倫理問題だけではな
い。一介の不動産業者が国益のためという大義で、防衛省関係者の後援者にな
るかという点も、検証に値する。

大手マスコミの追及は、いま終わる時期ではないのである。



●ワーキングプアを「死」に追い詰める御手洗キャノンに抗議せよ!
(転載同前)


この年の瀬に、財界トップの御手洗冨士夫氏が会長を務めるキャノンが、大分
と青森で1700人もの非正規社員の解雇を計画していることが判明した。

大恐慌といっていい不況の中、寮からの退出も求められるワーキングプアたち
は、どこへ行けばいいのか。

キャノンだけではない、ソニーもトヨタもスズキもリストラを行なっている。
製造派遣、製造請負の労働者に行き場のあるはずもなく、ここで放り出すのは
「雇用」どころか「生存権」を奪うに等しい。

格差社会に警鐘を鳴らし続け、キャノン問題を国会でも取り上げた日本共産党
は、機関紙の『赤旗』で、「非正規社員は時給1000円、1日8時間、月2
1日勤務として計算すると、年収200万円余(残業代含まず)です。非正規
社員1700人の雇用を維持するには約34億円で可能です」と書くが、この
数字には説得力がある。

御手洗氏は12月9日の記者会見で、大企業の派遣労働者、期間労働者の解雇
について、「経営者にとっても苦渋の選択」と述べた。

自分の所でも「派遣・請負切り」を実施しているから、そう言わざるを得ない
が、キャノンのどこに「苦渋」があるのか。

キャノンが貯め込んだ余剰金は、今年9月末の段階で3兆3000億円を超え
た。また、この1年間だけでも約2800億円増やした。

「約1700人の非正規社員の雇用維持に必要な額は、余剰金の1年の増加分
のわずか1.2%に過ぎません」という『赤旗』の指摘は、まったく正しい。

世界を金融恐慌が襲い、実体経済にまで波及して、企業は完全に萎縮してしま
った。生存をかけたリストラが始まっているが、それは正しいことなのか。

余剰金を貯め込んだ企業が、今、成すべきは、雇用を維持、消費にカネが回る
ようにして、投資と消費の収縮に歯止めをかけることではないのか。

そして財界のリーダーの成すべきは、率先して市場原理主義に別れを告げ、雇
用を維持して労働をシェア、みんなで難局を乗り切ろうとする環境を築くこと
だ。

終身雇用の良さは、生活の安定、中産階級の確保、社員同士の連帯感の確保に
あった。

キャノンには、余剰金に象徴される貯えがあり、経団連会長社として、それを
生かして使い、他の大企業に“範”を示す責任がある。

ところが御手洗キャノンは、スリム化した体をさらに引き絞り、自分だけ生き
残ろうとしている。

そうした「目先の利」にすべてを委ねる功利的な資本主義が、世界を恐慌に陥
れたという反省のうえに立てば、国家がこれから「成長」から「共生」への道
を探らなければならないことは明らかだ。

逆にワーキングプアから仕事を奪い、プアだけにした際の消費の減退と社会秩
序の乱れは、目を覆うばかりだろう。希望なき若者は街にあふれ、社会は活力
を失う。

御手洗キャノンが踏み出した企業戦略は、そんな絶望に満ちている。それを許
してはならない。

「右」も「左」も声を上げ、デモでも街宣でもいい、リストラに励む大企業に
抗議すべきだろう。

マスコミも同様である。「米国流」の強欲な拝金資本主義が崩れ去っている今
こそ、日本の国益とは何かを考え、大企業の身勝手を許さず、歪みは積極的に
報道しなくてはならない。

奪われているのは、単なる「職」ではない。生存権であり「命」である。

その重みを理解せず、自社のためだけに非正規社員を解雇する御手洗キャノン
に、まず抗議の声をあげ、そうした行為が国益に沿わないことを、周知徹底さ
せることが何より重要となっている。

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 週刊メールジャーナル 2008年12月24日 第464号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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