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  2009/4/15  No.479   週刊メールジャーナル  読者数11072(前回)
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●民主党から闇社会にまで広がるコシ・トラスト事件の全貌
(会員制経済情報誌『現代産業情報』4月1日号より転載)

新聞記事を何度読み返して読んでも、良く理解できない事件――。

弊誌は昨年4月から5月にかけて、東京・渋谷に本社を置いていたコシ・トラ
ストという不動産会社が、60数社を三井住友銀行に紹介、同行が約170億
円を融資、100億円以上が回収不能となっている事件を二度(No.596、No.
598)にわたって書き、その際、事件の不可解さをこう表現した。(本誌もそれ
ぞれ転載=本誌注)

それから1年、警視庁捜査二課の捜査も大詰めを迎えているが、その不可解さ
は変わらないどころか、闇はもっと深くなっている。

最初にスクープした『読売新聞』によれば、コシ・トラスト融資の仕組みは次
のようなものだった。

「60数社の大半は融資の申し込みの際、偽造された経理書類を提出し、約2
0社は営業実態のないペーパーカンパニーだった」

この信じがたい迂闊さは、コシ・トラストを担当した三人の高円寺支店の行員
が、程度の差こそあれ中林明久社長に籠絡されていたことで、ある程度、納得
できた。

最も親しかった元行員は、家賃補助を受けていたうえに、車やクルーザーの便
宜を図っていたのだから、中林社長に「審査のくぐり抜け方」を伝授していた
としても無理はない。

実は、この時点で、ズサンな融資は三井住友銀行だけでなく、三菱東京UFJ
銀行にも及ぶことが判明していた。

ただ、三井住友に比べると三菱UFJは総額60億円と金額的に小さく、三井
住友ほど「組織的な関与」の疑いはしなかったために、続報的な扱いだった。

だが、その後の調べで三菱UFJのコシ・トラスト関連融資は、三井住友以上
に大きな闇を抱えているのではないかと思わせた。

「融資先の映画会社『ルート・ピクチャーズ』(渋谷区)や同社社長が幹部を
兼ねた時期があるインターネット機器販売『ユナイテッド・パワー』には、約
9億円を貸し付け、半分が焦げ付いた。(中略)

ユナイテッド社はマルチ商法(連鎖販売)を展開し、『絶対儲かる』などとウ
ソの説明をして販売代理店を勧誘したとして、昨年8月、特定商取引法違反で
経済産業省から半年間の業務停止命令を受けた」(『朝日新聞』2008年
11月2日付)

ルート社の社長には、かつて著名なバレリーナを恐喝した前科があるうえ、昨
年10月にはバカラ賭博をさせた疑いで警視庁に逮捕されている。

しかもマルチ商法で業務停止を受けたユナイテッド社の社長は、民主党の増子
輝彦参院議員の後援者として知られ、同議員が07年12月までの2年間、監
査役に就任していたのに加え、その紹介で05年と06年に民主党のパーティ
ー券を各150万円分購入していた。

マルチ商法と民主党は、小沢一郎代表の側近で知られる山岡賢次代議士が業界
擁護の議員連盟の会長を務め、推進役だった前田雄吉代議士がマルチ業者から
金銭を受け取ったうえで、業界寄りの国会質問をしていたことが発覚、離党す
るなど関係が深い。

さらにコシ・トラスト人脈は、関西の山口組関係者のところにまで伸びる。ま
ず、中林社長本人が、そんな体質だったのか深く暴力団と関わっていた。

「一時は、山口組の三次団体の構成員が役員に就任していました。また、そん
な中林の体質に着目、脅しすかしで食いこもうとする暴力団関係者は多かった。

そんな連中の排除に中林は、山口組トップクラスの組長と若頭の名前をあげて、
『お世話になっています』と公言していました」(警視庁関係者)

広がりはそれにとどまらない。

大阪市で「上場予定」を売り物に未上場株を販売、100数十億円を集めなが
ら、実際に上場を果たした企業はないという怪しいコンサルタント会社が、詐
欺容疑で刑事告訴され、社会問題化している。

この会社は、人間と産業開発研究所(H&M研究所)で、株の購入者を勧誘し
た会員は紹介手数料を受け取るシステムだから、マルチと未公開株販売をミッ
クスさせた怪しい商法。

ここで売られていたのがルート・ピクチャーズ株で、両社の社長には共通の裏
人脈があり、そこには中林社長の人脈も重なっていた。

つまり、こういうことであるマルチ商法と未公開株販売は、この商法に慣れ親
しんだ人間たちが、くっついたり離れたりしながらビジネスを展開する場であ
り、最近は、そこに暴力団関係者が“しのぎ”として関与することが少なくな
い。

今回、そこに三井住友、三菱UFJという二大メガバンクを引き連れた中林社
長が飛びこんできた。

闇に流れたのは幾らで、民主党はどの程度この構図に関与しているのか。

警視庁がどこまで解明するのかはわからないが、底知れない広がりを持った事
件であることは間違いない。

●西松違法献金の『深い根』――小沢民主党は形式犯と言い続けるのか
(同前転載)

弊誌がNo.618で指摘した通り、小沢一郎民主党代表の公設第一秘書を「表の献
金」をめぐる政治資金規正法違反でこの時期に逮捕・起訴した東京地検特捜部
の平衡感覚には、以前疑問が残る。(本誌は4月8日付前号にて転載)

だがそれは、「規正法は微罪・形式犯」という批判にはつながらないし、まし
て小沢氏の免罪符にはなり得ない。

“形式犯”を理由に検察批判を繰り返す資格は、小沢民主党にはない。

各紙報道の通り、罪に問われた西松建設の違法献金の形は、逮捕・起訴された
秘書の大久保隆規被告が創ったものではない。

「以前の第一秘書だった、高橋嘉信氏が創り上げたシステム。高橋は古くから
小沢氏の右腕として活躍した実力派の秘書で、地元・岩手では知らぬ者はいな
いほどの著名人。

『趣味は小沢一郎』と公言するほどの小沢信者だったが、その後離反し、現在
は自民サイドに抱えられている。次期総選挙では岩手4区から出馬を表明し、
自民に公認を申請している」(関係者)

高橋氏が違法献金システムを構築するまでには、曲折があった。関係者が語る。

「旧経世会の本流らしく、小沢氏の選挙はゼネコン丸抱えだった。それを仕切
っていたのが高橋氏。地元での集票・集金マシーンとなった裏選対の最たるも
のは、『桐松倶楽部』。

19社の会員のうち大半を中央の大手ゼネコンが占めるこの組織は、ゼネコン
汚職摘発当時(平成5〜6年)、鹿島盛岡営業所長が会長を務め、小沢氏側の
担当秘書は高橋氏。

しかも相談役には、東北談合の天皇といわれた鹿島東北支店の門脇一韶元副支
店長、宮城県知事への贈賄で逮捕された、大成建設前東北支店長の天田耕治氏
も名を連ねていた」

これだけでも、小沢氏がいかに東北談合に近い位置にいたことが分かろうとい
うものだが、当時の東北談合のボス・門脇氏は、三塚博元蔵相と不可分の存在
であり、小沢氏の威光は限定的であった。

それが決定的に激変したのが、ゼネコン汚職摘発による談合組織壊滅であった。

「捜査線上に乗せられた三塚陣営は、門脇氏と距離を置き、政治力を必要とし
た門脇氏は小沢陣営に接近した。

公共工事入札が安値叩き合いになって困窮するゼネコン各社は門脇氏を通じ、
交通整理を求めた。門脇氏はそれを小沢氏に要請したのです。窓口は高橋氏で
す」(関係者)

高橋氏を通じ、小沢氏が門脇氏、さらに中央談合のボスとして摘発された鹿島
元副社長の清山信二氏らと会食したとの情報もある。

「その結果、検察捜査で痛手を受けた鹿島は、自社の名が出ぬよう岩手の『高
弥建設』を地元ダミーとして、小沢氏の『天の声』の伝達役に使うシステムが
考案された」(関係者)

こうした複雑なカラクリの一環として、西松建設をはじめとする中央ゼネコン
の違法献金システムは創設されていった。

その実務を引き継いだのが、今回起訴された大久保秘書なのである。

こうした経緯を鑑みて、今回の事件を“形式犯”とみることのできる方が不思
議である。

小沢氏は、献金元が西松建設だったとの認識はないとしているが、選挙がゼネ
コン丸抱えだった実態は、ゼネコン汚職事件当時から報道機関の間では広く知
られており、これまで表立たなかったのは、ゼネコン汚職の摘発の矛先が小沢
氏側に向かなかったため、報道が控えられたというだけの事情による。

いずれにしても、小沢民主党が言うところの“形式犯”である大久保被告の政
治資金規正法違反罪には、これだけの背景と根がある。

何かと言えば「談合体質」と自民党政治を批判してきた菅直人氏がいる民主党
に、この事件が意味するところが理解できないとは言えまい。

如何に検察の捜査方法に疑問があるにせよ、利権体質を有する小沢氏を代表に
して、そこに依存してきた民主党の責任は極めて大きい。

そして、検察が動かなければ問題の本質に迫れない大手マスコミも、猛省すべ
きであろう。

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 週刊メールジャーナル 2009年4月15日 第479号(水曜日発行)
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