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  2009/7/1  No.490   週刊メールジャーナル  読者数10856(前回)
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●国交官僚暗躍「JAL・ANA経営統合案」の怪しさと落とし穴
(会員制経済情報誌『現代産業情報』6月15日号より転載)

一部勢力の間で囁かれたいた「日本航空(JAL)・全日本空輸(ANA)経
営統合案」を、国土交通省官僚が与党議員にレクチャーするなど、公然と語ら
れるようになってきたようである。

が、その背後には国交省やJAL内紛に絡む主導権争いなど、怪しい要素が詰
まっており、話の実相はかなり異なっているらしい。

話の前提には、深刻なJALの経営不振がある。

世界的な景気悪化で旅客需要が落ち込み、JALは2009年3月期決算で6
31億円の最終赤字を計上した。

10年3月期も大幅赤字が見込まれており、先行きはかなり厳しい。そのうえ
で関係者がこう語る。

「国交省が画策しているJAL救済策が、ANAとの経営統合という案です。
『両社が経営統合して持ち株会社を設立し、その下に国際航空部門と国内航空
部門をぶら下げる』という、詳細な統合案まで国交省内部では検討されている
らしく、それに対する意見を求められた与党議員もいる」

関係筋によると、「JAL―ANA統合案」は昨年暮れあたりから一部で囁か
れていた。

だが、現実には独占禁止法のクリアなど問題が多いうえ、企業文化の全く異な
る両社の“合併”は「難しい」として、立ち消えた状態になっていた。

「ところがここへきて再び話が浮上してきたのは、JALの経営があまりにひ
どいことが3月期決算で裏付けられたからです。

国交省は統合メリットとして、『経営規模の拡大で銀行融資は受け易くなり、
機材調達などでもスケールメリットを発揮してコスト削減が進む』を挙げてい
るようです」(関係者)

しかし、こうした国交省の“お説”を、額面通り受け止める関係者はいない。
多くの関係者は、統合案の背後に国交省の権益拡大欲を敏感に嗅ぎ取っている
のである。

「国交省にとって、このプランのミソは『合併』ではなく、『経営統合』であ
ることです。

会社形態は変わらないためポストは減らず、天下り枠は確保される。それ以上
に、国交省主導の統合が実現されれば、影響力を保持でき、天下りポストを順
調に継承することができる。

それが国交省官僚のねらいだと見られています」(航空ジャーナリスト)

しかも国交官僚は、JAL、ANAとも採算性の低い地方路線の廃止を打ち出
していることを逆手にとり、「統合で経営基盤が強化されれば、地元路線の廃
止も食い止められる」と自民党筋に説明している模様だ。

これが「地方振興を得票に結び付けようと考える議員に媚薬として効いている」
(関係者)という。

それ以上に怪しげなのが、JAL内部のお家芸ともいえる内紛が、統合案にリ
ンクしていることである。

関係者は「西松遥社長の強硬な再建路線に反対する一部のJAL幹部が、国交
省と組んで経営統合の後押しをしているとの情報がある」と指摘するのだ。

しかし、日本の二大航空会社の経営統合は、国交官僚が言うように良いこと尽
くめだとはとても考えられない。

競争原理が消滅し、サービスの多様化や価格低下はストップするだろう。

ツケは、高いチケットを買わせられる乗客に転嫁されるのである。

さらに、「競争力を失うことで、外資航空との競争の戦いに敗れる可能性が高
い。日本から航空産業が消滅する機会を生み出しかねない」と危惧するジャー
ナリストも多い。

国交官僚と一部JAL幹部の手前勝手な都合で、ツケを国民に転嫁することは
許されないし、この統合案は、自力で現在の位置を築いたANAの経営努力を、
親方日の丸で育ったJALに汚させるに等しい。

JALを再生させたければ、民事再生法しかないと指摘しておく。

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 週刊メールジャーナル 2009年7月1日 第490号(水曜日発行)
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