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   2009/7/29    No.492   週刊メールジャーナル   読者数10695(前回)
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●グッドウィルM&Aの「会計士脱税事件」で政界ルートの“障害物”
(会員制経済情報誌『現代産業情報』7月15日号より転載)

旧グッドウィル・グループ(GWG・現ラディアホールディングス)の折口雅
博前会長が、2006年10月、渾身の力を込めて行なったクリスタルグルー
プのM&Aで、スキームを組み、仲介を行なった公認会計士らが、383億円
分の現金と131億円分(1万3635株)の株券を“中抜き”、その一部を
申告していなかったという脱税事件は、東京国税局が東京地検特捜部に告発、
早ければ7月中旬にも強制捜査の見通しとなった。

捜査に当たるのは、特捜部の中で脱税を扱う財政経済班ではなく、「政界ルー
ト」を視野に入れる直告二班。

この体制は、ターゲットとなった中澤秀夫公認会計士の先に、政界捜査を思い
描いていることを意味する。

同会計士は、383億円分の現金のうちの約180億円分の「配当」を得て、
千年の杜(現東邦グローバルアソシエイツ)という上場企業を買収したが、そ
の後、千年の杜株は「ソチ冬季五輪向け人工島建設への参加」をぶち上げて高
騰、それに一役買ったのが久間章生元防衛相だった。

特捜部は、間違いなく久間氏の「政界ルート」を見据えている。だが、その道
のりは、かなり遠い。

難しさの第一の理由は、これが脱税事件であること。中澤氏は、180億円の
うちの大半を国内外の企業買収や不動産投資などに使ったというのだが、一部
は使途不明で申告を除外、あるいは架空経費を計上するなどして脱税した疑い
がある。

また、クリスタル株分については香港の企業に1億円で売却、M&Aに伴う利
益を違法に圧縮していた。

国税の役割は、課税逃れを見逃さず、納税させることなので、中澤氏の脱税工
作を解明、悪質なら告発して刑事責任を問えばいい。

だが、そこから先、特捜部が担う「政界ルート」は、脱税資金が政治家にまで
流れたことを立証しなければならず、それはかなり困難だ。

現段階ではっきりしているのは、中澤氏がM&Aで蓄えた資金で、大証2部に
上場している住宅メーカー・千年の杜の株を購入したことだけである。

第二の理由は、捜査の端緒となった脱税事件と千年の杜の株価操作は、まった
く別物であることだ。

千年の杜株は、著名投資家の畑崎広敏氏が買い占めていた株を、金融ブローカ
ーの黒木正博氏が仲介、中澤氏が購入した。

その株が「ソチ五輪向け人工島」で高騰したのは確かだが、その仕掛けに乗っ
た久間氏の不正が指摘されているわけではない。

08年1月、千年の杜株は、19円を底値に急騰、2月に500円を突破する
勢いで、株価操作は見事に成功した。

「人工島利用」のシナリオは、ロシア通の事業化が考案、それに千年の杜の運
営を任されていた中澤氏の右腕の鬼頭和孝氏、「久間調査会」の駒栄博志氏と
その知人の澤田三帆子氏が相乗りしたという構図。

久間氏は、駒栄、澤田の両氏に乗せられてソチ冬季五輪協力委員会の会長に就
任した。

仕掛けは、07年秋から始まり、株価操縦の報酬は株。仕手株に便乗した連中
は儲かった。

ただ、千年の杜の事務所と同じビルに置かれたソチ五輪協力委員会の事務局長
(澤田氏)、副事務局長(駒栄氏)の二人はともかく、政治家の久間氏が、安
易に株で報酬を受け取ることはあるまい。

「久間のウラの政治資金部隊」といわれる「久間調査会」の駒栄会長が、「献
金のろ過装置」となったのではないか。

久間氏は、防衛商社の山田洋行が引き起こした事件でも、「防衛フィクサー」
の秋山直紀氏の「先にいる政治家」として特捜部が狙った。

だが、秋山氏がカベとなり、結局、久間氏には辿り着けなかった。今回、その
役割を担うのは駒栄氏だ。

防衛スキャンダルの渦中に、久間氏が自ら代表取締役を務めるアイメックとい
う会社が話題になった。

軽井沢の別荘を研修所に、「軍事情報提供会社」として企業に参加を呼びかけ
ていたが、この会社が本社を置いているマンションは、駒栄氏が所有していた。
駒栄氏の役割の一端である。

政治家として幅広い活動をこなす久間氏が、企業を応援したところで問題はな
い。まして千年の杜には、「ソチ五輪」という錦の御旗があった。

問題があるとすれば、不正に利益を受け取っていた時だが、その間には利害を
同じくして泥も被る覚悟の駒栄氏が入っているだけに、久間氏に行き着くには、
相当な手間と時間がかかりそうである。

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■「会社の不祥事と社内コミュニケーション」■
(ナナ総合コミュニケーション研究所のポータルサイト「コミサポ・ネット」
より転載しています。このコラムにアクセスするためには会員用のIDが必要
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三菱UFJ証券の個人情報流出事件は、マスメディアが大きく取り上げた以上
に金融機関の関係者に衝撃を与えた。

私も、かつてその一員だったから強烈なショックを受けた。金融商品というの
は信用を取引するものであるから、金融機関は信用に瑕疵する事態を最も恐れ
るのである。

銀行・証券・保険・中小企業金融・消費者金融等業務の内容によって、多少の
違いはあるが、一般に金融機関には、信用をベースにさまざまな個人情報が集
まる。

そして、金融ビッグ・バンでお互いの垣根が低くなり、それらの情報の相互利
用も進んでいる。それゆえ個人情報の管理には他業界以上に気を使っている。

しかし、これら情報の収集・保管・利用など運用管理にはIT機器とそれを運
用するシステム技術者との連携が必要になる。

したがって、金融機関は、自社社員だけでなく、協力会社社員などとの協働マ
ニュアルを定め、情報アクセスの権限やIDを木目細かく運用している。

ところが、この事件は、そうしたシステムが想定していない、人間関係による
バリアフリーを作り出してしまったのである。これは、ミスではなく犯罪であ
る。

このような犯罪動機がなぜ生まれたかは、事件の捜査を待たなければならない
が、「人がつくるシステムは人によって破られないことはありえない」という
のが、コンピュータのSEの常識だそうであるから、いくら細密なマニュアル
を定めても、データを盗み出そうとする人にとっては、そうしたシステムは、
いかほどのバリアにも感じられないのであろう。

つい先日、この事件を取り上げ、他山の石にしようと社説を掲げた生命保険の
業界紙が私の目に留まった。

ところが今度は、生命保険大手のアリコジャパンで、個人情報の略取と見られ
る事件が発覚し、生保業界に激震が起きたのである。

しかも、事件の経緯をみると、アリコ事件はUFJ証券事件よりも前から起き
ていた可能性がある。

UFJ証券の事件では、個人情報を利用した不招請勧誘などの被害が報道され
ているが、アリコ事件では、クレジットカードのデータが悪用され持ち主の金
銭損害が発生しているという。

盗まれたデータ量は少ないがより悪質な事件である。個人データの管理・運用
について、さらなるセキュリティシステムの強化が求められるかもしれない。

このような事件は、その動機の解明が必要だが、過去、ITシステムがらみで
発生した類似事件では、裁判を傍聴しない限り、分らないケースが多い。

このようなケースでは、金融機関は信用の失墜をカバーしようと努めるのだが、
再発防止策としては、コンプライアンスの徹底だとか内部統制の強化といった、
いわば、形而下的な対策を対外的に公表するにとどまっているように見える。

私はこれまで、個人情報の流出や盗み出しだけでなく、社員や関係者がひき起
こしたさまざまな不祥事の原因を調べ、その対策を検討する社内プロジェクト
にかかわったことが何回かあるのだが、内部統制によるリスクマネジメントシ
ステムの再構築をいかにしたところで、犯意を動機付けられた人間には、あま
り効き目はないように思われてならないのである。

では、いかなる対策も、犯罪をあえて犯そうとする人にとっては無策と同じな
のであろうか。そうではない、と思う。

私は、社内コミュニケーションが活発に行なわれ、社内の空気に淀みがなく、
タテ・ヨコのホウ・レン・ソウがうまく機能している職場では、犯意に繋がり
かねない気持ちのモヤモヤなどが、大きく育つことが少ないのではないかとい
うことを幾度も見たり聞いたりしてきたのである。

ここに取り上げたふたつの金融機関の例は、そのまま、他の業界に当てはまる
ものではないかもしれないが、社内誌・社内報の役割は、このような不祥事を
発生させない視点からも、見直していく必要があるのではないか。


【お知らせ】


■ 社内報担当者の交流会【第22回社内広報サロン】
  8月21日 金曜日 18時30分より開催
  ■ 今回のテーマ
  「社内報・コミュニケーション企画の展開を考える」
  詳しくは、
⇒http://www.commu-suppo.net/salon/20090821salon.pdf
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 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 取締役 社内広報事業
 ナナ総合コミュニケーション研究所  所長
 豊田 健一
 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-26-6
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 週刊メールジャーナル 2009年7月29日  第492号(水曜日発行)
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