■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2009/10/28 No.505 週刊メールジャーナル 読者数11047(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●「鳩山捜査はやらざるを得ない!」と検事が参考人に力説する真意 (会員制経済情報誌『現代産業情報』10月15日号より転載) 鳩山由紀夫首相の政治資金規正法違反捜査が本格化している。 首相サイドが「問題有り」と認めた寄付は、2005年以降の4年間で193 件(90人)、総額2177万円。まず、その名前を使われた献金者の参考人 聴取に着手している。 「政治資金規正法違反の虚偽記載であることは明白ですが、悪質ではない。 (首相が退陣、政治が混乱するという意味での)政局にするつもりはないんで す」 聴取に応じた人によれば、検事はソフトにこう切り出したという。 名前を使われたのは、鳩山首相個人か鳩山家に何らかの関わりのある人たちだ が、名前を利用されたという純粋な被害者である。 寄付金控除を受けるための書類を鳩山事務所は受け取っていたが、故人を含む 虚偽記載に利用された人たちは、そんな書類を目にしたこともない。 マスコミからの電話を受けて、したこともない献金について聞かれ、「寝耳に 水」と驚いていたら、故人献金騒動は日に日に大きくなり、一生、縁がないと 思っていた東京地検特捜部にまで呼び出されてしまった――。 こんな「善意の第三者」を目の前にして、普段は手ごわい被疑者を相手に、あ の手この手で籠絡しようと知恵を振り絞る検事も、拍子抜けだろう。 名前が使われたことを確認、鳩山家あるいは鳩山事務所との関係を聞いた後は、 たいしてやることがない。 そこで、「政局にしたくはない」という“本音”が飛び出したのだが、こう付 け加えることも忘れなかった。 「ただ、告発を受けて捜査している以上、やらざるを得ないんです。そして、 起訴に相当するような違法性があれば、たんたんと処理する。国民の目もある。 どうなるかまだ分りません」 一見、矛盾しているようだが、検察の側からすれば矛盾ではない。 西松建設事件の「小沢捜査」に続く「鳩山捜査」は、「霞が関の論理」を打ち 壊し、そのついでに「法務・検察の秩序」にまで手を伸ばし、検事総長の持つ 人事権を奪おうとした民主党政権への反撃だった。 「受理した以上、やらざるを得ない」というが、正体不明の「鳩山由紀夫を告 発する会」なる団体の告発を、受理する必要があったとは思えないし、たとえ 受理したところで、「捜査しない」という選択肢だってある。 「受理して捜査」の段階で、間違いなく検察の意志は働いた。その結果、鳩山 政権にプレッシャーをかける“材料”は手に入れた。 検察は「小沢捜査」から始まった民主党狙いの思惑をようやく達成、その余裕 が、先の検事の言葉となった。従がってその真意はこう読むべきだろう。 鳩山政権の命運を握っているのは、俺たちだ――。 実際、特捜部がたんたんと捜査すれば、鳩山首相は自分個人が罪に問われるこ とはなくとも、辞任は免れない。 弊誌は前号(No.631)で、「鳩山献金の秘密」を暴露した。(本誌10月14日号 にて転載=本誌注) 捜査で暴かれるのは、(1)政治資金規正法違反、(2)脱税、(3)詐欺の 三つである。 既に5万円以上の記名献金と、それ以下の匿名献金で虚偽記載が明らかになっ ている以上、(1)の政治資金規正法違反は免れない。 そして毎年、5000万円前後に達する虚偽記載の原資が、鳩山首相の本人の ものであっても、巷間、伝えられるように母・安子さんのものであっても、無 申告、贈与税逃れといった税金問題が発生、それは(2)の脱税捜査につなが る。 さらに、100万円、150万円といった高額献金者や、クリスマス献金を行 なっている道議、市議、町議らの献金が名義貸しで、にもかかわらず寄付金控 除を受けていたら(3)の詐欺である。 検察は、捜査着手前から、鳩山首相を追い詰められると読んでいた。だから総 選挙前に「鳩山班」を編成、総選挙後にいっせいに着手。 その最大の理由は、法務省官房長、法務省事務次官、東京高検検事長という将 来の総長候補を10年前に定め、検事総長に就けるという不文律を、絶対に揺 るがせたくなかったからである。 実に意味のないこの内輪の論理で、検察は日本が揺らいでしまうことを厭わな いし、「検察広報」と化したマスコミは、その真意を報じない。 であるなら、「やりたくないがやらざるを得ない」という検察の“暗い意図” は、弊誌のような情報誌や週刊誌ジャーナリズムが徹底追及すべきだろう。 ●政権交代を機に大新聞・TV局は自民党とともに下野せよ! (転載同前) 国民が民主党政権を選択したのは、「政官業のトライアングル」に、本当に決 別、「官」にもたれ、「業」に頼る独自性のない「政」が、主導権を取り戻し、 国民の声が通る政治を期待したからである。 政治家が、官僚のペーパーに頼らず、自分の言葉で語る姿は、やはり頼もしい し新鮮である。 だが、その新しさを受け入れられず、旧態依然とした「役所のリーク」に踊ら されているのがマスコミだ。 というより問題なのは、役所の中にただで部屋を借り、広報と化して情報を垂 れ流す記者クラブジャーナリズムである。 「政官業のトライアングル」の中に、このジャーナリズムを加えてよかろう。 新聞やテレビの大半は「発表もの」である。役所がペーパーを作り、勉強不足 の記者を相手にレクチャーをする。 それを咀嚼する能力があれば是是非非で論じられようが、政治家と同じで担当 2〜3年、猫の目のように担当が変わる記者に批判できるはずもなく、官僚の 思惑通りに情報発信する。 だから、新聞各紙が同じような記事で埋まり無個性なのだが、サラリーマン化 した記者は、むしろ他紙と違った論調になるのを恐れ、競うのは発表の半日前 を他社と争うスクープである。 その切磋琢磨が記者を育てることを否定はしないが、大企業経営者、官僚、政 治家、捜査員の“お墨付き”をもらって、いち早く記事にしたところでなんに なろう。 ネットで情報が瞬時に流れる時代に必要なのは、正しい分析と解説を、官僚に 頼らずにできる知識と見識である。 そうした記者クラブジャーナリズムの弊害が、政権交代によって如実に表れた。 八ッ場ダムの問題で、「7割以上、完成したダム建設を中止するのは損」とい った役所の論理を、中止を嘆く地元住民の声とともに垂れ流すのは、記者クラ ブジャーナリズムであり、それに沿って新聞は紙面を作成、テレビは特集を組 んだ。 日本航空(JAL)問題では、財務省のリークに依って、日本政策投資銀行主 体の大リストラを伴う再建案を報じたかと思えば、国交省のリークで外資の出 資による自力再生が報じられた。 弊誌は、前号(No.631)で、亀井静香金融担当相の「平成の徳政令」に反する 「保身の銀行界の反論」を笑ったが、(本誌10月7日号にて転載=本誌注) マスコミは逆に金融秩序の混乱を憂う。 本当に、混乱すると思っているわけではない。財務官僚がそうレクチャーする から、反対しているだけ。 経済評論家の森永卓郎氏は「亀井さんのアイデアは間違っていない」と題した 記事の中で、こう語っている。 「多くの人が(亀井金融相を)激しく批判していますが、彼らは大事なことを 見逃している。中小企業に対する、非常に厳しい貸し渋りや貸し剥がしが行な われており、本来であれば生き残っていけるはずの企業が、どんどん破綻して いる事実です」(『週刊現代』09年10月17日号) そうした現実を、亀井金融相はまず見据え、モラトリアムの方向性を示した。 その方針に沿う政策は十分に可能で、それをやるのが官僚だと森永氏は述べる のだが、自分の意見を持てない記者は、官僚の言うことに間違いはないとマイ ンドコントロールされているから、亀井批判を展開する。 むろん、毒されているのは記者クラブジャーナリズムだけではない。 環境問題を論じながら、資源の壮大なる無駄である「押し紙」を、朝日も読売 もやっているのは周知の事実なのに、それを認めないどころか、書いた週刊誌 とフリーライターを訴えた。 マルチ商法を始めとする詐欺的商法を厳しく批判、消費者金融や商工ローンで さえ金融庁と一体となって潰したのに、テレビ局はCMを買いさえすれば、あ くどい商法にも寛容だ。 ハゲや薄毛や健康に悩む人たちの気持ちの隙をつく広告を垂れ流し、数十万円 のかつらや健康飲料、サプリメントなどを売りつける商法を手助けする。 見識なく操作された情報を伝えるだけなら、新聞・テレビは要らない。 それどころか害悪なのだから、一度、記者クラブを返上、自民党や官僚と「予 定調和」の世界を築いてきた責任を取って下野、記者クラブ制を廃止、役所に 部屋を返し、情報発信をやめたらどうか。 誰も困らない。 大マスコミは今や、そんな意味のない存在になってしまっている。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』ご購読は、本誌がお取次 ぎします。お申し出をいただけば、見本誌を無料でお送りいたします。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2009年10月28日 第505号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |