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  2010/2/17    No.519   週刊メールジャーナル   読者数11118(前回)
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●JAL破綻――増資引き受け企業に賠償請求の動き
(会員制経済情報誌『現代産業情報』2月1日号より転載)

日本航空(JAL)が経営破綻したことで、株主が保有するJAL株券は事実
上紙屑化した。

その中で、第三者割当増資を引き受けた一部株主が、主幹事証券会社などを相
手に損害賠償を請求する動きを見せている。

「財務内容の開示が不十分で、不当な増資要求だった」というのが理由である。
関係者が解説する。

「問題となっている増資は、2008年3月に実施されたものです。

みずほ証券とゴールドマン・サックスが主幹事証券となり、日本政策投資銀行
やメガバンク、三井物産など大手商社、新日本石油など石油元売り大手の15
社に総額1500億円の優先株を発行した増資です。

引き受け企業はJALと取引額が大きい相手先を対象とし、奉加帳方式によっ
て引き受け株数が決められました」

関係者によると、優先株は株主総会での議決権はないが、配当率は高めに設定
されており、ハイリターンが得られるスキームとなっていた。

しかし今回の会社更生法申請により、優先株はまったく無価値となるか、ある
いは大幅に価値が毀損する。

このため優先株を引き受けた企業の中には、「自社の株主に対して説明ができ
ない。株主代表訴訟を提起される恐れもある」として、

みずほ証券やゴールドマン・サックスなど主幹事証券に対し、優先株の損害賠
償請求訴訟を提起する方向で調整に入った模様だ。

高利回りというハイリターンがある以上、奉加帳方式とはいえども、相当のリ
スクは認識して当然ではある。

この面で引き受け会社が文句を言う筋合いはない。
しかし、賠償請求を検討する増資引き受け先が問題視するのは、増資要請の際
のディスクロージャーの不十分さである。

端的に言えば、「経営悪化で明るみに出た8000億円規模の債務超過問題に
ある」(関係者)のだという。

関係者はこう指摘するのだ。

「問題の増資要請の際、主幹事証券が出した優先株の発行目論見書には、債務
超過を示すようなデータは何も記載されていなかった。これは悪質な虚偽記載
で、賠償責任が生じて当然です」

経営の実像を隠された状態での増資引き受けに、各社は「詐欺まがい」と憤慨
しているようだ。

しかも、不信感を増幅する事実が新たに判明したのだという。

「優先株の引き受け先の一つに『DBJコーポレート投資組合』なる投資組合
がありますが、実はこれが日本政策投資銀行によって設立されたものだという
ことが判明したのです。

これは政策投資銀行の大口融資先であるJALの株式を、言ってみれば“別働
隊”の投資組合が引き受ける形で、利益背反の疑いがあるわけで、問題です」
(ジャーナリスト)

JALの会社更生法申請を受け、ほぼ無価値となったJAL株を保有する企業
の評価損も大きく膨らむ見通しで、二番底の恐怖も囁かれる市況に、深刻な影
響を与えかねない。

再建シナリオによっては、マーケットの心理面に及ぼす影響の度合いには差が
出てくるだろうが、関係者が危惧するのは、こうした訴訟沙汰がJAL再生の
阻害要因となってしまうことである。



●弊誌既報の「三菱商事出身コンサルの巨額詐欺」が予告通りに事件化した背
景(転載同前)


手元に大手製鉄会社のJFEホールディングスと都内のコンサルタント会社が
結んだ「覚書」がある。

「JFEホールディングス株式会社(以下甲と称す)と株式会社アクシー(以
下乙と称す)は、監督官庁の指導の下、平成21年4月1日に甲乙間で締結さ
れた契約第3条に基づき、平成21年度第一四半期に関し、以下の通り取り決
める」

コンサル解約に基づいて、平成21年7月15日に5億5000万円をJFE
ホールディングスがアクシーに支払うという「覚書」であり、当然のようにJ
FEホールディングスの社印が捺印されていた。

この「覚書」は、“真っ赤な偽物”だった。

弊誌は、この偽造書類をもとに、都内のビルメンテナンス会社前社長から「投
融資資金」を名目に4億円以上を詐取したアクシーに注目、取材のうえ、No.
628で同社の概要を、次のように記事にしている。

「社長が三菱商事出身。20年以上も情報通信、ITといった先端産業部門に
いて、その間、米国法人社長、大学研究員、NPO法人幹部など様々な職種を
経験したうえ、三菱商事を3年前の2006年に退社、経営と投資を兼ねるコン
サルタント会社を東京都港区に設立した」

このコンサルタント会社がアクシーで、代表が松本一輝社長。この時、既に警
視庁捜査2課が詰めの捜査を行なっていたのだが、1月22日、捜査2課は、
オリックスから2億4000万円をだまし取った疑いで、松本社長を逮捕して
いる。

「逮捕容疑は、08年9月中旬、東電からエネルギー設備に関するコンサルテ
ィング業務をアクシーが受注したとするうその契約書をオリックス渋谷支店の
担当者に示し、『12月25日に東電から4億1475万円が入る。2億50
00万円を融資してほしい』と偽り、小切手2枚(約2億4000万円相当)
をだまし取ったとしている」(『毎日新聞』1月22日付)

民間調査会社のレポートによれば、松本容疑者は、大手企業や大学などから案
件を得て、マーケットリサーチを手がける一方、投資先企業への経営支援を行
なっているとのことだったが、記載された右肩上がりの業績はともかく、一時
は、「三菱商事エリート社員」の肩書と現役時代の人脈で、それなりの実績は
挙げていたという。

だが、リーマンショックは、ファンドやコンサルタントといった「金融周辺者」
を直撃、松本容疑者も次々に契約を打ち切られ、資金繰りに窮していた。

詐欺は、一度手を染めると習い性になる。契約書や社印、代表印などを次々に
偽造、数字をつくっては融資を引き出し、資金繰りに使い、それだけでは足ら
ず、高利返済を持ちかけては、さまざまな人からカネを借りまくっていた。

よくあるエリートの転落劇。自業自得というしかないが、リーマンショックを
きっかけとする金融恐慌が改めて証明したのが、「コンサルタントを名乗る人
間たちの先を読む能力のなさ」である。

そして、犯した罪が「詐欺」というのも、この口先三寸ビジネスの“正体”を
よく表している。

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 週刊メールジャーナル 2010年2月17日  第519号(水曜日発行)
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