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  2010/3/17    No.523   週刊メールジャーナル   読者数11135(前回)
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●ワシントンG河野社主のインサイダー逮捕より衝撃的な「仮想空間売買」の
闇(会員制経済情報誌『現代産業情報』3月1日号より転載)

業績不振企業の資金調達に絡んで“浮利”を得ようとする「資本のハイエナ」
の中でも、小林興起代議士を始めとする政界人脈を持つ一方で、山口組系組織
と渡り合っても一歩も引かぬ度胸があり、瞬時に用意できる資金が100億円
近く、「増資マジックの帝王」と呼ばれたワシントングループ社主の河野博晶
容疑者が、2月25日、大阪地検刑事部に逮捕された。

過去に多くの「資本のハイエナ」が逮捕されたが、今回の事件が画期的なのは、
具体的に仕掛けを作る金融ブローカー、あるいはその口車に乗ってマネーゲー
ムを了承する会社経営陣といった当事者と違い、河野容疑者がカネ主として間
接的に登場する投資家に過ぎなかった点である。

第三者割当増資や新株予約権を利用した怪しげな資金調達の際、河野容疑者は
調達スキームに関わる“愚”を避け、自らの役割を株や不動産などを担保に取
った融資に限定していた。

そのため、「仕手本尊は河野」というのが周知の事実であったとしても、検察、
警察、証券取引等監視委員会(証券監視委)などの手が、「善意の第三者」で
ある河野容疑者に伸びることはなかった。

だが、事件の舞台となったテークスグループ(東証2部)では、上手の手から
水がこぼれた。

逮捕された河野容疑者と二人の配下は、08年9月1日、テークスグループの
増資公表前に同社株を購入、同月19日の、増資縮小が発表される前に株を売
却、約7000万円の利益を得ていた。

ワシントンGは、テークスグループを事実上支配しており、明らかなインサイ
ダー取引。河野容疑者も容疑を認めているということだが、事件にはまだ先が
ある。

河野容疑者と組んだIT関連企業グループが、福島みずほ消費者庁長官による
初めての特定商取引法に基づく行政処分を受けた会社で、しかもグループ3社
で約100億円もの所得隠しを指摘されたばかりだった。

3社の役割分担は、ビズインターナショナル(埼玉県さいたま市)が、ネット
上で仮想空間の「エクシングワールド」を展開、売り上げの大半はシステム開
発費や保守料などの名目でI.D.R(東京都港区)に流れ、さらに同社からシ
ステム開発などを再委託されたフレバー・ネットワークス(東京都港区)に渡
っていた。

河野容疑者傘下のテークスグループは、09年9月7日を払込期日とする新株
予約権を発行、1個あたり1500円の割当先は以下のとおりである。

・株式会社MIT 14000個
・株式会社I.D.R 10000個
・オカザキファンド投資事業有限責任組合2号 10000個
・フレバー・ネットワークス 4000個
・山本勝三 2000個

山本氏はテークスグループの社長で、MITはフレバー・ネットワークスの宮
之内誠人社長の個人会社。

従って増資は、テークスグループがワシントンGからフレバー・ネットワーク
スグループに移ることを意味した。マルチ企業が、上場企業の信用を欲しくな
ったと見ることもできる。

では、そのマルチ商法とは、どのようなものなのか。

エクシングワールドは、3次元の仮想空間で、ネット上での不動産売買が可能。
土地の転売や賃貸でも収入を得られるし、その空間では、仮想通貨の「イーエ
ン」を使って買い物もできる。

土地を事前に取得しておけば、本格稼動後に転売することもでき、新規会員を
勧誘すればボーナスももらえる。

ただし条件があって、仮想空間で取引するためには、パソコン用のDVDなど
が入ったビジネスキットを購入しなければならず、この価格が約10万円。

そのうえに欲しい土地を購入する際には、別途料金がかかり、それは例えば
「港区六本木ヒルズ近く5000平方メートルが5万円」といった“値決め”
がなされていて、お得な「先行取得」を勧められるのだった。

マルチ商法は、鍋釜布団に健康食品と、扱う商材はなんでもいいわけだが、ネ
ット上での土地売買という発想が新しく、ビズインターナショナルは昨年6月
の段階で2万3000人の会員を集め、1年間で約45億円の売り上げを達成
した。

しかし、セールストークと違い、通常のパソコンでは高画質3D仮想空間サー
ビスは受けられず、会員が先行取得したはずの土地は登記されておらず、なに
より土地売買のための機能もないということで、全国の消費者窓口に苦情、相
談が寄せられ、それを受けた調査によって、消費者庁は、昨年11月27日、
2010年5月27日までの6カ月間、業務停止命令を出した。

ビズインターナショナルへの業務停止命令と、それに続く国税当局の「脱税認
定」で、3社の緊密な関係は明らかになった。

3社は河野容疑者のインサイダー取引との関連が指摘されているわけではない
が、テークスグループの事実上の大株主と認定されている以上、当然、捜査当
局は仮想マルチ3社にも関心を寄せている。

それがどのような形で顕在化するのか。けだし、見ものである。


●「小沢叩き」で糊口をしのぐ軽佻浮薄なジャーナリスト・評論家たち!
(転載同前)

日本のジャーナリズムのおかしさは、すべて同じ方向に向いていることにある。

スキャンダルが発覚すれば、「落ちた犬は叩け!」とばかりに襲いかかり、貪
欲に食い散らかし、読者・視聴者が飽きると次のターゲットに向かう。

それが商業ジャーナリズムの宿命ではあるが、十年一日のごとく同じスタイル
の報道を続けているために、ジャーナリズムが世の中の仕組みを変え、政治を
動かすようなパワーを持たない。

例えば小沢一郎報道である。もともと口が重く、世間受けを狙わず、プロ意識
に徹した政治家で、マスコミの“受け”が良くなかったせいもあるが、昨年3
月、大久保隆規秘書が政治資金規正法違反で逮捕されてからのバッシング報道
は目に余った。

金丸信元自民党総裁の寵愛を受けていた頃にまで遡って金権体質を批判され、
10年以上も前の公共工事の「口利き」が、今、行なわれているかのように語
られた。

「小沢チルドレン」を当選させた力量は、スパルタ式の新人教育を伴う強権と
混同され、政策も資金も全てを握るのは小沢氏で、鳩山由紀夫首相は傀儡に過
ぎないと喧伝された。

その当否を問おうというのではない。それ以外の「小沢評」がマスコミの間で、
ほとんど出てこない状況を憂うるのだ。

これではまるで覚醒剤を使っていた「のりピー(酒井法子)報道」と同じであ
る。

結局、日本のジャーナリズムは、捜査当局と一体となった疑惑報道か、不倫や
クスリといった誰にでもわかりやすいスキャンダル報道でしか人を裁けない。

つまり、自分の価値基準をもとにした報道ができない。これは国民にとって非
常に不幸なことではあるが、ネットの普及で見識ある専門家が、自分の目線で
森羅万象を語るようになり、基準を他に委ねた従来のジャーナリズムに存在価
値がなくなりつつある。

一例を挙げよう。

政界スキャンダルに必ず登場する立花隆氏は、捜査当局の権威に寄りかかって
被疑者を叩くパターンを定着させている。

そのときのキャッチコピーは、常に「田中角栄金脈の報道で元首相を追い詰め
たジャーナリスト」というものだ。

30数年前の『文藝春秋』の「田中角栄研究」が、雑誌ジャーナリズムの金字
塔であることを疑う人はいない。その後の公判に通い詰めたうえで、まとめた
記録にも価値はある。

だが、「角栄研究」以降の立花氏は、犯罪の現場に出ることもなければ、事件
当事者に会うこともない「書斎ジャーナリスト」である。

「角栄研究」の時もデータは、文藝春秋社に雇われたスタッフ記者が集めてい
たので、「書斎の人」ではあるのだが、近年、その傾向はますます強くなり、
頼りとなるのは新聞テレビの報道だけ。

「茶の間の国民」と同じレベルの情報力で、週刊誌や月刊誌でヤメ検と対談を
行ない、記事を作成するので、その内容は寒々としてしまうほど薄っぺらい。

『文藝春秋』3月号で立花氏は、「『政治家』小沢一郎は死んだ」と題する記
事を執筆した。

論点は一つだけ。「自分が戦った田中角栄と同じ次元に小沢一郎はいて、だか
ら過去の遺物として消え去ってもらわねばならない」というものである。

そのうえで、東大駒場で立花氏が持っているゼミの学生に「小沢一郎」を語ら
せ、「既に過去の人」であると、結論づけている。

小沢氏が利権政治家であることを、否定するものではない。だが、今、日本に
求められているものは、小沢氏の剛腕であり、その直感に従って国民は民主党
を支持した。

それに法務、検察が反発、「小沢捜査」に踏み切った過程については、これま
でに書き尽くした。

「小沢捜査」は、そうした法務省益、検察庁益の中から始まり、それに運命共
同体のマスコミ司法記者が乗っかり、そこからリークされる大量の反小沢情報
が、国民に刷り込まれていった。

その問題については別の機会に譲るとして、何の見識も持たず、検察情報とい
う、“権威”に寄りかかって、目新しさも斬新さもない情報発信を続ける立花
氏に、価値はあるのだろうか。

立花氏を取り上げたのは、「日本を代表する」と目されているからで、他の小
沢バッシングを繰り返すジャーナリズムや評論家もまた、カネを払ってでも購
入する情報、目を洗われる斬新な発想、簡単には頭に浮かばない豊かな視点を
持っていなかった。

ジャーナリズムの衰退は、ネットの普及で若年層が権威に寄らない情報を自由
に、無料で購入できるようになったからである。

その反省と、権威を利用して大上段に構える立花氏のような大御所の排除抜き
に、日本のジャーナリズムに再生はない。

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 週刊メールジャーナル 2010年3月17日  第523号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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