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  2010/3/31    No.525   週刊メールジャーナル   読者数11123(前回)
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●富士通に「反社会的勢力」と断定されたサンドリンガムファンドの正体!
(会員制経済情報誌『現代産業情報』3月15日号より転載)

富士通の野副州旦前社長の解任を巡る騒動については、火をつけた『週刊ダイ
ヤモンド』を始め、多くのマスコミで報じられているので、ここではふれない。

お粗末な巨大企業の老害経営者の内紛。

「法皇」と呼ばれる秋草直之相談役が、地位にしがみついて人事権を行使、そ
れを許す経営陣を含め、富士通は腐っている。

むしろ指摘したいのは、「反社会的勢力」と名指しされ、野副解任の道具に使
われたサンドリンガムファンドの正体である。

サンドリンガムキャピタルパートナーズリミテッドの代表を務める房広治氏、
サンドリンガム・プライベートバリューの代表を務める鳥井洋一氏は「反社」
なのか。

そうではない。
2人はともに、外資を渡り歩くことで人脈を広げ、技術を磨いてきた「外資渡
り鳥」である。
企業舎弟であったことも共生者であったこともない。

ただ、「合法的なら許される」という外資のポリシーを持つ2人は、MSCB
(修正条項付き転換社債)を駆使してゾンビ企業に入り込み、違法すれすれの
節税テクニックを使って、資産家のふところに飛び込む。

そうした金融マンの通例として、ゾンビ企業や資産家の“後ろ”に怪しい勢力
がついていることもある。

だが、それをもってして「反社」といったのでは、経済活動は成り立たない。
貪欲な資本主義経済は、アングラ経済をも呑み込んでいるからだ。

たとえば、富士通からの依頼を受けてサンドリンガムの調査にあたった大手証
券の幹部は、昨年9月の「野副解任」の前、秋草相談役や法務責任者の前でこ
う述べてたという。

「武富士、YOZANに関係しているので、レピュテーションリスクはある。
付き合わないほうがいい」

武富士の危うさは、武井保雄元会長の個性そのものだろう。グレーゾーンに踏
み込むことを厭わず、暴力団幹部ともつきあう。

その上場企業経営者としての破天荒が、武富士という会社をややこしくし、武
井氏自身、盗聴という刑事事件を引き起こして、武富士の経営権を手放した。

また、YOZANは金融機関から見捨てられ、ビジネスの核を無くしたIT企
業で、マネーゲームだけで生き延びてきた。

その危うい調達に資金を投入する中に、危うい勢力が混じり、マネーロンダリ
ングに利用されることがあることは、過去、「増資マフィア」が摘発された経
済事件が証明している。

確かに両社にレピュテーションリスクはあり、2人の評価を下げる。

UBS信託銀行会長、クレディスイスファーストボストン投資銀行本部長を経
てサンドリンガムを設立した房氏は、武井氏が息子の俊樹氏に1600億円を
「無税贈与」した際、そのスキームに関わった。

そして日興証券、日興証券スミスバーニーを経てクレディスイスファーストボ
ストンで房氏の同僚となった鳥井洋一氏は、YOZANに送り込まれてCFO
(最高財務責任者)となった。

それだけに2人に評価リスクはあるが、「反社」というには遠い。

ただ、サンドリンガム人脈の中には、よりグレーゾーンに近い人もいる。

たとえば川島亮太郎氏である。住友銀行、中央クーパースなどを経て武富士に
入社、財務部次長として武井氏に仕えた。

一度は退社、クレディスイスファーストボストンに入行、房氏の同僚となるが、
2004年、再度、武井氏に請われて入社、05年まで取締役を務めて財務を
管掌した。武富士はもちろん武井ファミリー資産の裏表を握る。

川島氏は、サンドリンガムが買収したジャレコ・ホールディングスに代表取締
役会長として乗り込むが、その時、社長に据えたのが倉田暁之氏だった。

倉田氏は、商品先物会社を経てファンドを設立。杉田かおるとの結婚で話題を
呼んだ鮎川純太氏のテクノベンチャーで役員を務めるが、ジャレコ社長を退任
後、怪しい人脈との関係が濃くなっていく。

旧グッドウィル・グループのM&Aで100億円長者となった投資家の緋田将
士との関係がそうで、保有株を大物総会屋に渡してトラブルになったり、緋田
銘柄で東京地検特捜部が内偵する東邦グローバルアソシェイツで監査役を務め
るなどして、物議をかもした。

「反社」とは、どこまで人脈を広げるかにもよる。「倉田氏の先」「武井氏の
先」「YOZANの先」にまで範囲を広げれば、サンドリンガムは「反社」だ
が、その必要があるとも思えない。

むしろ「反市場勢力」という意味では、「野副解任」の事実を、東証にも投資
家にも隠していた富士通、およびそれを仕掛けた秋草相談役の方が罪深い。

地位保全のための適当なIR(投資家向け広報)は罪で、金融商品取引法違反
の偽計取引にもなりかねないことを、証券取引等監視委員会は、一度、富士通
捜査を通じて知らしめた方がいい。



●宇都宮健児日弁連会長は急増する「弁護士難民」を救えるのか?
(転載同前)

司法制度改革のなかで弁護士が急増、新人弁護士の中には難関の司法試験を突
破、司法修習を経て、念願の弁護士バッチを胸につけながら、弁護士事務所に
就職できず、あてのないまま“漂流”しているものがいる。

当然だろう。
年間500人、弁護士数1万5000人で推移していた弁護士界は、現在、2
万8900人を抱え、さらに「年間司法試験合格者3000人を目指す」とい
う国の方針のもと、増え続けている。

技術は磨けず、経験も人脈もないまま、居候弁護士(イソ弁)にすらなれず、
軒下を借りるノキ弁、自宅で開業のタク弁、とりあえず弁護士になるソク弁が
増えれば、年収200万円以下、本業では食えずに、居酒屋やファーストフー
ド店でバイトをするような弁護士も出てくる。

無派閥の宇都宮健児弁護士が、弁護士界の最大派閥「法友会」の山本剛嗣弁護
士を破って日弁連会長になったのは、そんな「弁護士難民」を生みだす司法制
度改革に対する、若手や地方の弁護士の不満の声を吸い上げたからだった。

宇都宮氏は、合格者数を政府目標の半分の1500人とし、司法制度改革にも
是々非々の立場で臨むことを明言している。

宇都宮弁護士といえば多重債務者問題に30年以上も前から取り組み、グレー
ゾーン金利を撤廃に持ち込み、悪徳の商工ローン・消費者金融を壊滅させた人
である。

その善意を疑う人はおらず、NHKを始めとするマスコミも、宇都宮弁護士と
一体となって業者攻撃に徹した。

サラ金は悪、多重債務者はその犠牲者という構図は、無担保小口金融の一面し
か伝えないが、商工ローンと消費者金融が楽にカネを儲け、オーナーが栄華の
限りを尽くしただけに、批判も無理はなかった。

ただその副作用は大きかった。
グレーゾーン金利の撤廃と過払い金返還訴訟の急増で、無担保小口金融はビジ
ネスモデルを失い、倒産、縮小する業者が急増、10万人の雇用が失われたと
目されている。

その代わりに儲けたのが、過払い金返還を呼びかける弁護士や司法書士で、多
重債務者が取り返した利益の多くが、ハイエナのような弁護士や司法書士に還
流、彼らに「過払いバブル」をもたらしたものの、多重債務者の困窮が解消さ
れるわけではなかった。

そうはいっても、急増する弁護士数に比例する仕事の急増を救ったのは、この
「過払いバブル」だった。

宇都宮弁護士が頑張れば弁護士が救われるという構図が出来上がり、会長に選
ばれたのは、その“報酬”と捉える向きもある。

ただ、過払い金返還訴訟も峠を越えた今、ハイエナを含む弁護士界は、新たな
分野を見つけねばならず、それは過去に遡ることのできる「返還マーケット」
である。

これまで弁護士事務所の敷居が高く、被害者、請求者が泣き寝入りしていたよ
うな分野で、返還請求が始まる。

残業代、家賃の敷金、更新料、交通事故の示談金、相続問題、近隣トラブル…
…。

司法を身近にするという「司法制度改革」は、最終的には米国流の訴訟社会の
到来を意味する。

あらゆる国の縛りが規制緩和で緩くなり、決着の方法が市場社会での優劣とい
うことになると、トラブルは法廷の場で決めるしかない。

それが日本の法曹界が思い描いた将来像だが、それが正しいかどうかは別問題
である。

残業代は、2年の短期消滅時効まで弁護士の手を借りて計算、遡ってその金額
を通知すれば、企業側は支払わざるを得ない。

だが、定額残業代制を取り入れるなど残業代カットを従業員に納得してもらっ
たつもりの中小企業にとって、「返還請求」がブームのように押し寄せれば、
存立基盤が揺らぐだろう。

慣習だった家賃の更新料もそうで、9年前の消費者契約法の成立に遡って請求
が可能になれば、一気に1兆円の「返還マーケット」が成立するといわれてお
り、中小賃貸業者や家賃収入を見込んで大家を始めた家主は、たちまち行き詰
まる。

急増する弁護士は、新たな市場の獲得で救われるが、訴訟社会のターゲットと
なって追われる業者は少なくないということだ。

また、弁護士が焚きつけてトラブルを深刻化、兄弟や夫婦、近隣住民、医師と
患者、教師と生徒の親、雇用者と被雇用者など、すべての人間関係がギクシャ
クする可能性がある。

そこには貸金業者を悪とする、宇都宮弁護士のシンプルな世界はないが、日弁
連会長という立場は「日本と司法」をどのように持っていくかという俯瞰した
判断が求められる。

大切なのは弁護士の生活か、それとも国民の幸福か。「善意の人」である宇都
宮日弁連会長は、いずれ厳しい判断を迫られる。


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 週刊メールジャーナル 2010年3月31日  第525号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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