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  2010/4/7    No.526   週刊メールジャーナル   読者数11111(前回)
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■グローバル経営時代に、統合型グループ誌に期待される役割
 
グループ経営が増加するにつれ、グループ内コミュニケーションの中核的な役
割を担う「グループ誌」の発行が増加している。

このグループ誌には、「拡張型」と「統合型」の2種類があるが、両者には発
行の経緯に違いがあり、従って誌面の“作り込み”がかなり異なる。

現実には、経営統合によるグループ経営が増えていることに鑑み、統合型に絞
ってグループ誌のあり方を考えてみたい。

ここまでは、これまでのあらすじである。

まず、経営統合には、その動機となる狙いがあり、早急に実現しなければなら
ない経営課題があるのだから、グループ誌の発行目的は、その1点に絞られる
はずである。

しかしながら、編集方針は、「グループ経営の課題を周知徹底する」というよ
うな大まかなコンセプトでは、グループ経営に真に役立つものにはならないと
いえよう。

一般に、経営統合には、「傘下会社の特長を生かして相乗効果をあげる」とい
うような“統合の狙い”がある。


そのようなグループ誌は、傘下会社の単体社内誌と明確な役割分担をして、そ
れらを“統合するコンセプト”で発行していく必要があるといえよう。

それゆえ、経営統合によって発行されるグループ誌を「統合型」と命名したの
だが、これまで筆者が目にしてきたグループ誌には、こうしたコンセプトが明
確に見て取れたものはまだ多くはない。

「グループ内の相互コミュニケーションをはかる」ことを発行目的に掲げるグ
ループ誌は多いが、経営統合の狙いを的確に伝え、その実現を目指すグループ
誌は、まだ少ないのが実態といえる。

これからの統合型グループ誌の課題は、経営統合の狙いを実現するために、傘
下会社の経営情報を、どのようにコミュニケートするかということにある。

つまり、グループ経営の目的に適合し、そのうえで読者を惹きつけるようなグ
ループ独特の企画を考えたいのである。

おそらく、トップダウンの情報提供だけでは、読者を惹きつける魅力的な情報
誌にはならないであろう。

そこで、各社の社内誌編集者が定期的に集まり情報交換をする必要がある、と
いうことは前回述べたとおりだが、持ち回りで各社の状況をレポートしたり、
年に1回くらいは、全員で共同企画を立て、それをベースに単体社内誌で掲載
し合う、というのも一つのアイデアではなかろうか。

持ち回りの企画には、各社の“強みと弱み”といったような、グループ読者が
知りたいであろう経営情報を提供するのも面白い。

グループ誌独自の企画としては、このように、単体社内誌では企画しにくい
「グループ経営の視野」が求められるのではなかろうか。

こうした視野を前提とするならば、グループ誌の発行目的を、単に経営目的の
実現のみに矮小化せず、広く社会全体とのかかわりや、時には地球規模での、
グループ経営が目指すテーマなどを取り上げてみたい。

例えば、「低炭素社会の実現」とか「国際会計基準への対応」などのグローバ
ルなテーマを、単体社内誌と違った切り口で展開すれば、グループ誌のテーマ
として面白いかもしれない。

また逆に、グループ内の特殊な業務に特化した小さな合弁会社とか、きわめて
ローカルな出先機関をシリーズで紹介する企画なども面白かろう。

なぜなら、こうした小組織は、グループ経営の方針がどのように具体化されて
いるかが端的に現れている場合が多いからである。


いずれにせよ、社内誌の長い歴史の中で、まだ編集ノウハウの蓄積が薄いグル
ープ誌には、グローバル経営が進む中で、社内誌の新しい役立ちが期待されて
いるといってもいいのではないか。
(この項おわり) 
 


●「ナベツネVS小沢」の不毛の最終戦がもたらす「読売新聞」の「死」
(会員制経済情報誌『現代産業情報』4月1日号より転載)

新聞の「社説」に眼を通す読者は、マスコミの同業者か知的レベルの高い暇人
のどちらかであり、つまり社会的影響力はない。

それでも、新聞社を代表する国家国民への「意思表明」なのであるから、それ
なりの見識を持った論説委員が、健筆をふるっているはずである。

だが、日本最大の発行部数を誇る『読売新聞』の民主党政権に対する「意思表
明」は、「批判のための批判」に終始、読者の心に響かない。

最たるものが、民主党の生方幸夫副幹事長の解任騒動を伝えた3月22日付の
「副幹事長解任 言論封じた民主の強権体質」である。

党内でいくらでも発言機会のあるはずの執行部の幹部が、朝から晩までテレビ
に出ずっぱりで、「小沢批判」を繰り返した。

その異様さにふれることなく、「言論封殺」と断じ、「今回の解任劇は、小沢
氏率いる党の体質と、ブレーキをかけられない首相の限界を露呈した」と、ま
とめた。あまりに凡庸な論調に、言葉も出ない。

以降、最近の「社説」を眺めても、「10年度予算成立 マニュフェストの抜
本見直しを」(3月25日付)、「郵政法案迷走 またも露呈した指導力のな
さ」(3月26日付)、「普天間政府案 鳩山首相に成算はあるのか」(3月
27日付)と続く。

政府批判はいい。それは権力の監視役としてのマスコミの務めだろう。だが、
批判が意味を持つのは、隠された事実を指摘、鋭い切れ味で権力に迫る時だけ
である。

国民と同じ程度の知識量で、「床屋政談」をされたのでは、たまったものでは
ない。

原因は、はっきりしている。書き手である論説委員が、「読売のドン」の渡辺
恒雄会長の要望に沿った政府批判を書こうとし、無難な線でまとめるからだ。
魂の入っていない文章に、人は心を動かされない。

しかも、ナベツネの「小沢批判」は、実につまらないところから始まっている。

弊誌はそれを、No.636の「天皇の『逆政治利用』に手を貸した宮内庁長
官と読売新聞の大罪!」のなかで、政界事情通のコメントとして指摘した。

「ナベツネは、周知のように福田康夫元首相と小沢党首(当時)の会談をセッ
ト、大連立を模索した。

しかし、それがうまく行かなかったばかりか、小沢がナベツネを含めてマスコ
ミを批判。それでナベツネが反小沢に回った。

民主党政権になって、ナベツネは、一度は関係修復を望んだが、小沢が拒否。
読売の反小沢路線は、ますます顕著になった」

権力に介入する大物政治部記者の面目躍如たるものがあるが、時代は「政界フ
ィクサー」も「大物政治部記者」も必要としなくなった。

「古い」といわれる小沢幹事長ですらそうで、それで拒否されると社をあげて
「小沢批判」に回り、「主筆」の権力は絶対だから、それに合わせた新聞作り
をしている。

生方擁護の冒頭の社説をもじれば、「言論封じた読売の強権体質」となるわけ
で、ナベツネによる「小沢批判」は、まさに天に唾する行為だろう。

ネットの破壊力が、今後、大新聞にまで及ぶのは必至で、宅配、再販制度とい
った新聞を守っていた環境はもちろん、新聞が国民に対して果たしてきた正確
な情報伝達、時代を読む目、権力の監視といった役割を、ネットは「フリー
(ただ)」のなかで果たすようになった。

玉石混交であることは間違いないが、ブロガーの中には専門知識と自らの情報
を駆使、鮮やかに時代を切り取り、多くの読者を持つ人がいる。

そんな「フリー」の環境が整い、政府や企業がホームページを充実させ、「発
表もの」に直でアクセスできる時代に、新聞は存在価値を失っている。

そうした自覚を若い新聞記者ほど持ち、危機感を強めている時代に、定年の見
えた幹部がやっているのは、「老主筆」の怨念にしたがった紙面づくりである。

読者離れも当然で、「ナベツネが小沢に仕掛けている最終戦争」は、『読売新
聞』の「死」も意味するものだ。


●楽天銀行の誕生でイーバンク銀行時代の未公開株詐欺の行方
(転載同前)

インターネット専業のイーバンク銀行を2009年2月に買収、連結子会社と
していた楽天は、同行にTOB(株式公開買い付け)を実施、4月30日まで
行なって完全子会社化を目指すことになった。そのうえで、5月4日、「楽天
銀行」に商号変更する。

ネット関連企業の「勝ち組」である楽天は、これでネット通販における電子決
済機能を向上させ、個人向けローンなどを手がけ、ネット上の「楽天帝国」を
充実させる。

同時に、イーバンク銀行の評価を落としてきた、未公開株問題にも決着をつけ
る方針だ。

イーバンク銀行の前身は、旧日本長期信用銀行出身の松尾泰一氏が、2000
年1月、銀行設立を目的に立ち上げた日本電子決済企画。

翌年7月、予備審査が終了して銀行免許を取得、イーバンク銀行となった。ネ
ット時代の幕開けを映す新銀行の誕生だったが、電子決済業務で利益を確保す
るというビジネスモデルに無理があり、また同時にスタートしたセブン銀行や
ソニー銀行と違って独立系のために、資金繰りも苦労した。

その苦境を伝えるのが、ライブドアとの紛争である。2003年10月、イー
バンク銀行はライブドアと提携、35億円の出資を受けるが、筆頭株主となっ
たライブドアが経営権を主張、反発する松尾社長ら当時の経営陣と争いとなり、
双方が刑事告訴する騒ぎとなった。

この一件は、ライブドアという会社の傍若無人ぶりを伝え、それが後のニッポ
ン放送買収劇につながるのだが、それはさておき、紛争の最中にGMO(グロ
ーバルメディアオンライン)に第三者割当増資を行なうなど、その場しのぎの
調達に走った。

そうした増資戦略のつけが回ったのが、未公開株の流通。度重なる増資に、
「資産を投げ出して出資」という投資家も少なくなかった。

「ネット銀行」という清新さと新興市場の創設が続き、新規公開株がブームと
なったせいもある。

だが、期待したほどの成果は上がらず、ビジネスモデルが確立しないまま、上
場の見通しが立たないとあって、未公開株ブローカーなどに株式譲渡証明書、
印鑑証明書などを添付、売却する株主がいた。

未公開株詐欺グループが、「値上がり確実です!」などと電話で勧誘、上場の
定かでない株式を売りつけていたのは03年からのことである。

ただ、後に事件化するプロバイダー業者のMTCIのように詐欺を目的にした
ような怪しい会社が多く、そういう意味で銀行免許をもったイーバンク銀行株
は人気があり、「1株50万円」といった高値が勝手につけられ、流通するこ
ともあった。

捜査当局による摘発が相次ぎ、未公開株詐欺グループが海外先物やFX(外為
証拠金取引)などに“商材”を移したことも会って、ここ数年は下火だが、イ
ーバンク銀行や大塚製薬といった“本物”の未上場株は、まだ流通しており、
トラブルが絶えない。

例えば、イーバンク銀行の創業時からの株主である埼玉県のH兄弟は、未上場
株を二重売り、三重売りしていた疑いがあり、株式を購入した業者や個人投資
家から、民事刑事で訴えられている。

そのうち都内の金融業者が08年に提出した訴状に寄れば、04年8月4日、
400株を4500万円で、05年1月27日、200株を2500万円で、
同年2月18日、400株を4500万円で購入、株券はないが、それはイー
バンク銀行の公開準備室が「上場3カ月前まで書き換えを待って欲しい」と、
説明したので名義変更その他はしなかったという。

ところが、06年11月、株式の譲渡制限の撤廃を受けて1000株分の名義
書換の変更および株券交付の申請を行なったところ、他の投資家からも申請が
出されていることが判明、二重譲渡が発覚、さらに他の譲渡人も名乗りをあげ、
少なくとも三重譲渡は間違いないことがわかった。

この三重譲渡の末、株式は先行取得が裁判所に認められ、株券の交付を受けた
都内の個人が取得、今年1月、イーバンク銀行(現社長は国重惇史氏)は名義
書換に応じている。

当然、株券交付を受けられなかった都内の金融業者ともう一人の個人は不満で、
イーバンク銀行に対して法的措置を起こす動きもある。

三重売りした1000株は、“卸”の段階で約3億円の被害を生んでおり、そ
の他の流通分も同じようなトラブルを内臓していよう。

完全子会社化でイーバンク銀行が楽天銀行に代わるまでには、こうした未公開
株の処理にも時間をとられることになりそうだ。

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  週刊メールジャーナル 2010年4月7日  第526号(水曜日発行)
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