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  2010/4/28    No.529   週刊メールジャーナル   読者数11050(前回)
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●「小沢批判」の急先鋒・立花隆は害悪である!
(会員制経済情報誌『現代産業情報』4月15日号より転載)

巻頭の大特集で民主党批判、小沢一郎幹事長批判を展開する『週刊現代』4月
10日号のタイトルは凄かった。

「小沢一郎は害悪である」

われらが政権交代に泥を塗る男、という副題がついた大特集は、評論家の立花
隆氏と東大の山内昌之教授との対談で始まっている。

一読して感じるのは、立花氏の衰えである。

「知の巨人」として取材する人ではないが、それならば「目からウロコ」の論
理展開、鋭い洞察力、有無を言わさずにやり込める迫力が必要だが、意見は凡
庸で、常に頼るのは田中角栄との比較対象。

そこにしか自分の“居場所”がないのだろう。

発言をピックアップしよう。

「民主党の場合は1、2年生が奴隷となり上級生の命令に絶対服従で仕える運
動部応援団体質ですね。(中略)その絶対服従を利用して、小沢は絶対権力を
築いていった」

「最近、ある雑誌に書かれていましたが、小沢の父の小沢佐重喜は、安保国会
当時の安保の委員長をやった人で、自民党のまさに中心的な部分にいた人だっ
た。けれどもこの人物は心情的にものすごい反体制主義者だったと。それを読
んで、ああ、なるほどなと思ったわけです」

「私は前に『週刊現代』書きましたが、共産党的な民主集中制的な体制が、小
沢の頭のなかに一つのモデルとしてあるのだなと考えています。そして、実は
それは田中角栄とも重なるところがあるんですよ」

「小沢は政治の世界に入った時から田中角栄のすぐそばで彼のすべてを見て修
行した。逆に言うと、彼はそれしか学習しなかったから、必然的にそれが彼の
国家モデル、権力モデルになってしまった」

ここからうかがえる小沢一郎は、次のような政治家である。

体育会的な発想を持つ権力者でありながら、「反体制」の血をひいて「小沢・
輿石(東)体制」を築くと同時に、田中角栄からすべてを学んだ――。

小沢一郎研究の第一人者を自負する立花氏は、おびただしい数の雑誌に出て
「小沢論」を書き、しゃべっているが、突き詰めると10行に満たない、どこ
を切っても角栄と相似形だという「小沢論」しかない。

それでも、雑誌媒体が立花氏を起用するのは売れるから。

ある意味、古典落語の域に達しており、もはや新しさを求めない団塊を中心と
する雑誌の読者層は、立花氏の「小沢論」に満足する。

破綻がなくて、心にしっくりする「水戸黄門」のようなものである。

しかし、こんなことを続けているからジャーナリズムは衰え、若者に見捨てら
れる。

4月7日の『毎日新聞』の「熱血!与良政談」で、論説副委員長の与良正男氏
が、立花氏との間にあったトラブルを明かしている。

与良氏が専門誌に、権力者を一方的にバッシングするだけの報道姿勢を反省、
「性急に結論を求めるのではなく、ここには一つでも二つでも改革が進むよう
政権の背中を押すのがマスメディアの仕事ではないか」と、書いたところ、立
花氏が『週刊現代』誌上で、こう批判したという。

「(鳩山政権のひどい状況には)目をつぶって、現政権の後押しをするのが、
メディアの役割といっているのだ」と言い、そんな報道は戦中の「大本営発表
の時代」に等しい、とまで酷評したという。

与良氏も述べているのだが、立花氏を始めとする日本メディアは、「政治=悪」
「捜査=正義」で片づけるところがある。

そうした思い込みが、すべての報道を横並びにし、見苦しいばかりの小沢バッ
シングを展開する。

そんなマスコミの正義面が、若者を、多様な意見が展開されているネットのブ
ログに走らせていることを自覚、反省すべきなのである。


●「改正貸金業法」の6月完全施行が奪う社会の活力!
(転載・同前)

「正しいこと」が、必ずしも社会生活の為にはならないことは、よくある。

アメリカの「禁酒法」が最たるもので、酒やギャンブルや煙草や売春は、害悪
なものには違いがないが、社会を円滑にする潤滑油であり、人を廃人にする覚
醒剤の取り締まりとはワケが違う。

では、貸金業はどうか。カネ貸しが嫌われるのは洋の東西を問わない。

だが、手持ちのカネで家や車を買える人は少なく、ローンを組むのが一般的。
消費を活性化、需要を刺激するために金融は不可欠である。

だが一方で、依存症の人たちがいる。パチンコ、ギャンブル、酒……。

こうした依存症の人に、カネを貸してはならない。依存症は病気であり、自分
の力では止められない。カネがなければ借りる。そして多重債務者となる。

こうした多重債務者を救済、同時に依存症の人々の“転落”を防ぐために、日
本弁護士連合会の宇都宮健児会長を始めとするクレサラ弁護団は、消費者金融
業者や事業金融業者に戦いを挑み、ついに勝利。

高金利を過払い金返還請求で取り戻すことに成功、貸金業法を改正、グレーゾ
ーン金利を撤廃、総量規制で借りたくとも借りられないようにした。

「貸さない親切」というわけである。

だが、6月に完全施行される改正貸金業法は、二重の意味で間違っている。

第一に、依存症は規制強化では救えない。パチンコをしたい人、飲みたい人は、
友人知人はもちろん、ありとあらゆる借り先を探し、最後はヤミ金に走って自
己破産する。

第二に、安定収入のない自営業者やフリーターなどが困窮する。

「正社員」の身分がある人や公務員には理解できないだろうが、収入の変動の
激しい人が、当座のカネを、高利を承知で消費者金融業者から借りてしのぐの
は一般的である。そのリズムを、年収の三分の一までに借り入れを制限する総
量規制は崩す。

それは中小零細企業の経営者も同じ。当座の資金繰りに苦しんで、夫婦で消費
者金融業者から借り、一息ついて次の入金を待つのは日常茶飯事。

事業者の総量規制の除外規定として、各種証明書に事業計画書を添えて出せば
認められるし、専業主婦の借り入れにも除外規定はあるという。しかし、手続
きが煩雑過ぎて、とても現実的ではない。

つまり、依存症を救うことにはならないし、健全な困窮者を追い詰める。それ
だけではない。改正貸金業法は、ごく普通の「借り手」の消費を制限、社会の
活力を奪う。

総量規制は、消費者金融会社、事業者金融会社、クレジット会社、信販業者な
どの貸金業者からの個人向け借入れが対象で、銀行、ゆうちょ銀行、農協等金
融機関などの借入れは対象外。また、不動産購入のための住宅ローンや自動車
担保ローンも除外される。

だからといって、「一般人の生活とは無関係」ではない。住宅を購入、そのロ
ーンは除外されるとしても、手持ち資金が少なくなるために、家具や家電など
をクレジットカード会社や信販会社から借りようとすれば、総量規制に引っ掛
かるだろう。

経済社会は借金で成り立つ。企業は株主に出資を仰ぎ、銀行から借り入れる。
その時、収入(売上高)の三分の一までと制限をつけられたのでは、事業は立
ち行かないし、なによりそんな消極経営では発展しない。

貸金業者への規制強化は、「多重債務者の救済」が目的だった。
宇都宮弁護士の「正しさ」と同じで、「救済」を否定できない。

だが、現実は多重債務者の救済にはならず、むしろ過払い金請求を引き受ける
弁護士や司法書士の救済につながったことは、今や周知の事実である。

依存症には、カウンセリングや転落した際のセーフティーネットで救うしかな
く、その整備は今からでもやるべきだろう。それなしには、多重債務者問題は
完治しない。

それ以外の末端の健全な借り手、健全な困窮層とでもいうべき人々、困窮層で
はないが一時的な資金需要に見舞われている中間層や事業者が、改正貸金業法
の完全施行で、自由度を封じられて困窮する。

需要不足が指摘され、消費拡大が求められる時、それと逆行する法律が施行さ
れる。間違いなく副作用は大きく、そうなったときは躊躇なく見直すべきだろ
う。

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  週刊メールジャーナル 2010年4月28日  第529号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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