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  2010/5/26    No.533   週刊メールジャーナル   読者数10911(前回)
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●メディア政局にするな!
(会員制経済情報誌『現代産業情報』5月15日号より)転載)

鳩山首相や小沢幹事長へのメディアの批判が止まらない。

普天間問題では、沖縄の人たちも米国も5月解決など期待をしていないのに、
「6月政局」「鳩山退陣」を煽っている。

この問題は、沖縄や社民・国民新党・米国という複雑な三元連立方程式を解く
必要があり、困難は最初から分かっていた。

にもかかわらず、鳩山首相は「国外県外」への移設を主張し、沖縄の人々に鳩
山内閣なら本当に解決できるのではという期待感を与えてしまった。

しかし、軍事外交政策は簡単に変えられるものではない。それなのに、期限を
区切り大逆転があるかのような幻想を持たせたのは、政治家としては甘すぎる。

それでは、鳩山首相を退陣させれば問題が解決するのか。それは有り得ないだ
ろう。

当面の普天間移転だけではなく、沖縄への過酷な負担の固定化を無くし、同時
に日米同盟を見直し、独立国として自らの力で国を守るという方向を、国民が
自分たちの問題として覚悟を持って考えないといけない。

長期にわたり鳩山内閣は、この課題に取り組むしかない。メディアの姿勢も問
題だ。

一部識者も「内政問題なら別だが、日本の国益を代表して米国と交渉をしてい
る首相へのバッシングは理解できず、これでは交渉の足を引っ張り、国益を損
なうことになる」と指摘している。

そして、50年続いた自民党一党支配政治の歪みの是正や、官僚主導体制の打
破など、鳩山政権には多くの課題が残されている。

一時的な感情論で、鳩山政権を倒しても、何も生まれてこない。政府・官邸も、
心無いメディアの攻勢に覚悟をして臨むべきである。

鳩山首相の「ぶら下がり会見」は、止めるべきおだ。

失言を期待し、何かを言えばその日のうちに興味本位で報道するこの国のメデ
ィアの本質を理解すべきで、発言は定例の記者会見を用意すべきだ。

そして、スポークスマンとしての官房長官の資質に疑問があるならば、当然に
更迭すべきだろう。

民主党の独り善がりの閣僚たちの発言にも、厳しく対処すべきだ。

前原国交相、仙石国家戦略相、枝野行政刷新担当相らは、鳩山―小沢ラインに
注文をつけ、待ち構えているメディアを喜ばせ、結果的に鳩山内閣支持率低下
に手を貸している。

だいたいこれらの大臣も、自らの職務で必ずしも成果を挙げていない。反小沢
などで目立つことで、大物政治家を気取っているのだ。

必ず将来、そのつけが自らに回ってくることは当然で、大臣も一回で終わりだ
ろう。

国民も目先の損得ではなく、長期的な視点で判断する必要がある。溶解しつつ
ある自民党には、既に政権担当能力はない。

父親が壊した自民党を、小泉進次郎議員が30年ぐらいかけて復権させるしか
ない。

みんなの党を含め新党乱立だが、渡辺喜美議員に代表される「不満分子」には、
政権担当など無理で、だいたい宰相になるような顔をしていないではないか。

結局、鳩山―小沢ラインで正面突破を図るしかない。

参院選までに真剣に景気対策と金融政策を打ち出し、国民に新たな期待を持た
すべきだ。

いつの時代でも、どこの国でも、経済が政治を決める。世論調査政治やワイド
ショー政治にしっかりと対処すべきだ。

国民も新聞やテレビの嘘にそろそろ気がつくだろう。



●検審「小沢氏起訴相当」の危険性
(転載・同前)

司法は、社会正義を実現するためのシステムである。運営には正義感が必要要
件となる。

しかし司法という社会システムが一定の約束事=秩序で成り立っている以上、
そこに生半可な「正義感」―感情的正義感と言い換えてもいい―が持ち込まれ
ると、システムそのものを破壊しかねない事態が生まれる。現在この国の司法
に発生している現象は、それに近い。

東京地検特捜部が民主党の小沢一郎幹事長に対し、3回目の任意聴取を実施し
た。

資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)
をめぐり、小沢氏を不起訴とした検察の処分に対し、

東京第5検察審査会(検審)が起訴相当を議決し、再捜査を検察に迫ったこと
を受けての再聴取である。

裁判員裁判導入と並び、司法制度改革のもう一方の柱である検察審査会法の改
正に伴い、検審の議決には強力な権限が与えられ、起訴相当の議決を二度続け
れば検察の判断がどうであれ、強制的に起訴がなされることになった。

小沢氏の事件も、検察が不起訴を見直す可能性はなく、そうなると検審が再び
起訴相当を議決して強制起訴となる公算が強い。

先の起訴相当の議決を受けてのマスコミ報道は、鬼の首でもとったかのような
大見出しであった。

「選挙の神様 民意は『起訴相当』」「市民感覚 検察判断を覆す」……。

ところが、その議決文をつぶさに読むと、驚かされるのだ。

検審が起訴相当とした被疑事実は、「陸山会は平成16年10月に3億426
0万円を土地代金として支払ったのに同年分の政治資金収支報告書に記載せず、
実際は支出・購入していない翌年の収支報告書に記載した」という虚偽記載。

要するに土地代金の支出、取得の時期が2カ月ずれ、それが年をまたいで記載
されたことを、「起訴相当」と言っているに過ぎない。

あれだけ検察捜査で問題視された、「小沢氏からの4億円借り入れ不記載」
「4億円の原資」は、一顧だにされていない。

記載期ずれが現職国会議員の起訴の罪状となるか、普通の神経なら明白であろ
うに、検審は問題の核心を理解しているのか、見識を疑う。

さらに目を疑うのが、議決文の激烈な感情的表現。「不合理で不自然で信用で
きない」「執拗な偽装工作」「絶対権力者である被疑者」「市民目線から許し
がたい」……。

小沢氏が「絶対権力者」であることを、検審はいかなる形で確認したのか。
「信用できない」で起訴が可能であれば、検察は必要ない。

マスコミ報道の受け売りで思い込み、感情的な「許せない」を「市民目線」と
振りかざす検審とは何なのか。

議決文の結びを「これ(起訴)こそが善良な市民の感覚である」としているの
は笑止を通り越し、傲慢そのものであろう。

この調子で二度目の起訴相当議決がなされ強制起訴となった場合、その国家的
コストは誰が負担するのか。

弊誌は裁判員裁判導入と検審の権限強化を、一貫して「精密司法から感情司法
への変質」をもたらすものとして危惧してきた。

これまで強制起訴は明石歩道橋事故、JR西脱線事故の2件なされているが、
もし陸山会事件で小沢氏が強制起訴されたとすれば、質が決定的に異なる。

特捜部の政治事件に、「感情」がもちこまれるという特異性である。

政治事件は、通常の事件・事故のように構図が明確でない。被害者が不明瞭な
のに比べ、事件摘発による政治的受益者は明確である。

その意味で、政治的に利用されやすい舞台なのだ。素人が口を出すべきではな
い。

マスコミ報道が、検審に「起訴すべき」という空気を充満させたことは想像に
難くない。

検審にも問題がある。なぜ起訴できないのか、核心を分かりやすく説明してい
ないことが、こういった事態をもたらしている。

「起訴すべきか微妙な判断だったが不起訴にした」ようなミスリードが、検審
をその気にさせていることを、自覚すべきであろう。

今回の検審の議決への疑念は、もはや「違和感」にとどまるレベルではない。

日本の司法を破壊しかねない「危険性」を放っていると見るべきだ。



●検察審査会を「組織維持」に使う「法務・検察」の病理
(転載・同前)

検察審査会の「起訴相当」を受けて、東京地検特捜部は15日、小沢一郎民主
党幹事長を事情聴取、マスコミの論調は、不起訴処分が濃厚なことから「検察
の敗北」である。

今回の小沢氏の政治団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件において、最も
検察寄りで、ゆえに捜査情報が的確な『読売新聞』は、翌16日の「検察は改
めて真相解明めざせ」と題する社説に、こう書いた。

「秘書だけに責任を負わせる『トカゲのシッポ切り』の対応が、国民の政治不
信を増幅させたことは否定できない。各種世論調査でも、小沢氏は幹事長を辞
任すべきだとの声が圧倒的に多い。再度『不起訴』なら検察審の第2幕が開く。
小沢氏の追及は終わらない」

同紙が、渡辺恒雄主筆の「反小沢感情」に乗って、小沢批判を繰り返している
のだから、こうした論調になるのも無理はないが、検察が真相解明に不熱心で
はないことは、誰にだってわかる。

むしろ、しつこいほどの波状捜査に、聴取を受け続けてきた小沢秘書軍団も、
ゼネコン・サブコンの業務屋も、それを報じ続けたマスコミも、辟易としてい
るというのが本当のところだ。

最高検東京担当検事だった時から捜査に影響力を行使した大鶴基成東京地検次
席の身上は、「粘り」である。

権力者である小沢氏は、その周辺にいろんな防御装置を備え付けている。だか
ら大鶴次席は、現場に挑戦し続けさせた。

その執念に引きずられた捜査の結果、再び「不起訴」になったのなら、それは
仕方のないことなのである。

一度、不起訴としたのに、同じ証拠や証言で起訴にすることはできない――。

検察は、この当たり前の結論を出した。プロ集団の検察は、さすがに「小沢許
すまじ!」といった検察審査会のような感情論は排した。

そういう意味で、小沢氏と秘書3人の聴取の末、「不起訴」の結論を出すのは、
「敗北」ではあっても恥ずかしいことではない。捜査は十分過ぎるぐらい尽く
した。

ただ、今回の「敗北」は、単に、特捜検察の得意な「シナリオ捜査」がうまく
いかなかったというだけの話。

「法務・検察」という組織を、政治主導の名のもとに改革しようとした小沢民
主党の思惑を封じたという意味では、「敗北」どころか「勝利」なのである。

検察の「小沢狙い」が、田中角栄元首相の衣鉢を継ぐ政治家である小沢氏が権
力を掌握することへの不快感と、検事総長人事の内閣承認制、検事正の公選制、
取り調べの可視化など、様々な改革を突き付けようとする小沢民主党への反発
から始まっていることを、否定する人はいない。

小沢氏は、捜査権力が嵩にかかって攻め込んできた時の恐怖心を、今回ほど感
じたことはあるまい。

本人は強気の姿勢を崩さなかったが、昨年3月の最初の秘書逮捕で展開した
「検察ファッショ論」を徐々にトーンダウンさせ、最後は検察の不起訴を理由
に「無罪証明」に結びつけようとしたのだった。

当然、民主党も小沢氏も、「法務・検察」の改革を封印、検事総長人事は予定
通り6月に行われ、樋渡利秋検事総長は勇退、後任には大林宏東京高検検事長
が就く。

しかも、5月末までの「不起訴処分」は、この総長人事を始めとする大人事異
動を、スムーズに行なうためだったというから驚く。

「検察首脳が、5月末の処分にこだわったのは、なにより参議院選への影響を
避けたかったから。

『起訴相当』から3カ月以内に起訴か不起訴かの結論を出せばいいのだから、
本当は参院選後でもいい。

でも、政治に中立を保つことをまず宣言、そのうえで人事異動を実行したほう
きれいだ。つまり、検察の自己都合による早期処分だった」(司法記者)

むろん、それだけなら検察内部の反対もある。検察には「赤レンガ派」と呼ば
れる法務官僚出身のエリートと、特捜経験の長い「捜査現場派」の二つの流が
あり、今回、「小沢起訴」にこだわったのは、大鶴次席、佐久間達哉特捜部長
を中心とする「捜査現場派」だった。

周辺からすれば「無理筋の捜査」ではあったが、特捜検事はそう思っておらず、
検察審査会の「起訴相当」を受けた再捜査でも、「これまでの証拠と証言でも
起訴は可能」という強行論すらあった。

それをなだめることができたのは、「たとえ不起訴にしても、検察審査会が二
回目の起訴相当を出して、小沢は強制起訴される。そこで被告になった小沢を
追い詰めればいいじゃないか」という、検察上層部の“説得”だった。

つまり検察審査会は、「組織の論理」を最優先する「法務・検察」に、小沢氏
を徹底的に牽制、被告にして動きを止める材料を提供したことになる。

改正検察審査法を、被疑者を追い詰める材料に使う、あざとい検察――。

ここが「最後の聖域」で、誰の批判も許さず、どの組織からも干渉されない
「唯我独尊組織」であることは間違いなさそうだ。


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「学び」と「交流」の場・社内広報サロン。
次回のテーマは「トップ・役員登場企画を考える」です。
経営方針の浸透のみならず、トップや役員の思いや人となりを知ってもらい、
従業員との距離を少しでも近づけるには、どんな手法・展開・巻き込み方があ
るのでしょうか。
さまざまな切り口から「トップ・役員登場企画」について、みなさんと考えて
いきます。

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  週刊メールジャーナル 2010年5月26日  第533号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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