■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2010/6/2 No.534 週刊メールジャーナル 読者数10923(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■保険と共済の法整備 (保険研究所発行『インシュアランス』6月3日号「主張」より転載) オレンジ共済やKSD事件といっても、もはや詳しい事件内容は忘れられてい るかもしれない。しかし、このような共済制度を今後どのように規制するかに よっては、再び、多くの加入者が被害をこうむり、これが、保険制度に対する 信頼性にまで影響を及ぼす可能性が、改めて出てきている。 5月11日、政府は05年改正の保険業法の一部を改正し、公益法人の共済制 度をそれぞれの行政官庁の監督下におこうとする改正案を閣議決定したからで ある。 これは、文部科学省所管のPTA共済をどうするかという問題が引き金となり、 公務員制度改革法案との絡みで政治問題化したことに対する解決策という意味 を持っている。 当然、他の省庁も同様の案件をかかえているのだが、国民の視点で見れば、こ のような暫定的な枠組みによる政治的な時間稼ぎは、好ましく見えない。 そもそも、「保険」と「共済」はどう違うのかという本質論があり、明治政府 は保険業法を制定し、その許認可制度によって保険会社を監督し今日のような 業界と契約者との関係を作ってきたのだが、共済制度を監督する法律は無かっ た。 これを、長年の学際研究を踏まえ、1996年の新保険業法、05年の改正業 法、そして今年、保険法の制定という一連の法整備を経て、一定の規模を有す る共済については保険法の枠組みに含めて監督指導しようという流れができか けてきたのだが、行政の縦割りという現実直視論から、これにブレーキをかけ る動きが表面化したと見ることができる。 これには、去る18日、与党が郵政改革法案の審議入りを強行したという事態 も絡んでいるし、公務員制度改革法案の審議の行方も関係しているとみること もできる。 しかし、05年の改正業法によって、保険業や小額短期保険業に転換した共済 もあり、これらとの整合性も新たな問題として浮上しており、国民的視点とあ わせて大局的観点から、保険と共済の整合性の取れた法整備が強く望まれる。 もとより、特定のグループによる真の意味での正常な、良心的な互助共済のシ ステムが、権力の介入によって、その存在が否定されてはならない。 実は、筆者は10年余り、心臓疾患によってほぼ永久的に民間医療保険に入れ ない仲間たちで、再入院の費用を互助するグループを運営してきたのだが、き わめて有意義な役割をはたしてきたにもかかわらず、事務負担の煩雑さ等の理 由によって、今年2月、残余金を分配して解散した経験をしている。 たとえいかなる法的整備がなされたとしても、このような特定グループの共済 加入者を、新たな共済難民にしてはならないと思う。 保険業界は、これからの保険法の枠組みの中で、真に生活者の期待に応えうる アンダーライティング体制を構築すべきであろう。 ●脱北者偽装の対南工作頻発――アジアの公安網から見放される日本当局 (会員制経済情報誌『現代産業情報』5月15日号より転載) 日本ではあまり認識されていないが、北朝鮮の対南工作――テロ活動が熾烈化 している。 しかもアジア全域を舞台にして工作対象に接近しており、北の先鋭度は高まっ ているとみるべきである。 日本の公安当局者を驚かせたのは、4月20日に韓国当局が逮捕した2人の北 朝鮮工作員の接触手口だった。 韓国の報道によれば、工作員の男2人は韓国に亡命した元朝鮮労働党書記、黄 長ヨプ(光偏に華旁)氏の暗殺を命じられていた。 「2人は昨年11月、北朝鮮人民武力部偵察総局長の金英徹上将(韓国軍の中 将に該当)から直接『裏切り者の黄長ヨプ(光偏に華旁)の首を取れ』という 指示を受けて動いていた」(関係者)という。 関係者が語る。 「その手口は入念の一言に尽きる。韓国国家情報院の捜査によれば、2人は深 夜に川を渡り中朝国境の中国・延吉までたどりつき、その後ブローカーに接触 してカネを払い、タイに密入国した。 そこでわざとタイ当局に捕まり、脱北者としてソウルに強制退去された。つま り、脱北者を装うことで、きわめて自然な形で韓国に入国していたのだ」 脱北者としての韓国入国時の事情聴取の段階で、2人は韓国当局から「不審」 と監視されていた。 このため黄氏暗殺は未遂で終わったのだが、問題視すべきは、脱北者を装って 対南工作を仕掛けてくる北と、それを見越して防諜線を張る韓国公安網の攻防 の熾烈さを、日本の公安が共有していないという現実であろう。 韓国公安、特に国家情報院関係者は、「日本には危機感が希薄すぎる。パート ナーとして不満だ」と吐き捨てるほどなのだ。 国家情報院関係者が「失望した」と振り返る事件は、2年前、08年夏に発覚 した。 韓国当局は脱北者を装い韓国に入国した北の女工作員、元正花受刑者を国家保 安法違反の罪で起訴したと発表。 韓国裁判所の判決は「元受刑者は北当局の指示を受け、韓国で軍幹部を色仕 掛けで篭絡。 北に送り込んだり、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に加入させようと謀っ た」など、様々な工作を認定した。 関係者が語る。 「元受刑者は07年から08年にかけ3回、日本に入国している。韓国人とし ての真正旅券を使用してだ。 朝鮮総連幹部や大阪の在日商工人との接触が目立ったが、真の目的は在日出身 の脱北女性Yの居場所を探すこと。 Yはもともと脱北者を装った北の工作員として韓国入国したが、転向し、韓国 当局に工作計画の指示や全貌を供述してしまった。このため元受刑者はYを殺 害する目的で日本での居場所を探索していたのだ」 元受刑者を泳がせていた韓国当局は、日本入国計画を察知した際に、日本の公 安ルートに情報を乗せたという。 「場合によっては、韓国公安は日本当局に花を持たせるつもりでもいた。しか し日本の公安は動きが鈍く、 このままではYが消されると危機感を抱いた韓国公安は、在日韓国大使館や領 事館に潜む国家情報員の職員にYを匿わせて守った。 そして手ぶらで韓国に帰国した元受刑者を仁川国際空港で逮捕し、自白に追い 込んだ。日本に見切りをつけた韓国が、すべて自力で処理したのです」(関係 者) 近年とみに増加した脱北者偽装の北工作員の韓国入国。南北の諜報戦は緊迫し ている。 そこから多数の北工作員が日本に渡り、工作活動を展開しているのだ。それす ら把握しきれていない、日本の公安とは何なのか。 アジアのテロ網という現実についていけず、公安網からも外されるとは、由々 しき問題なのである。 ●中途半端な増資と人事でみずほFGの加速する落日 (転載・同前) みずほフィナンシャルグループ(FG)は14日、前田晃伸会長らグループ3 会長が6月に退任する人事とともに、8000億円増資を発表した。 マスコミはそれなりに大きく報道、『週刊現代』(5月29日号)のように、 「みずほ3人組強制退場の裏舞台」と、裏面に切り込もうとする企画もあった が、総じて地味な印象しか与えなかった。 人事も増資も市場にサプライズを与えられず、期待も抱かせない。それが今の、 みずほFGの弱点である。 弊誌は、前号(No.644)で金融庁がみずほFGの国内メガバンク化を構想 していると報じたばかりである。(本誌5月12日号にて転載=本誌注) 金融庁が同行を見限ったのは、合併から何年経とうが、旧富士銀行、旧第一勧 業銀行、旧日本興行銀行の3行の寄り合い所帯が続き、 いまも旧3行で、みずほFG、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行の3行の 社長会長の6ポストを分け合うような体質のせいである。 弊誌は、そのみずほFGの非効率が収益の悪化を生み、増資を何度行なっても 自己資本比率の低下に歯止めがかからず、国内メガバンクとして生き抜くほか はない、と指摘、次のように書いた。 「みずほFGが、海外業務を継続するためには『2兆円増資』が避けられない ものの、自力が無理なら公的資金に頼らざるを得ず、金融庁としては『3メガ 体制』に見切りをつけ、公的資金投入の代わりに、みずほFGに引導を渡し、 2メガバンク体制に持って行く可能性がある」 その金融庁に促され、ようやく居座り続けた前田晃伸みずほFG会長(旧富士 銀)、斎藤宏みずほコーポレート銀行会長(旧興銀)、杉山清次みずほ銀行会 長(旧第一勧銀)の3人のクビを切ったが、 3人はその後もみずほFGの「特別顧問」に就くというのだから中途半端。3 行の社長を旧3行で分け合っているのと同じ姑息さである。 もっとダメなのは、8000億円増資にとどまったこと。増資が必要なのは、 銀行の自己資本規制の強化が世界各国の共通課題で、 昨年9月のG20ピッツバーグサミットでは、新規制における中核的自己資本 Tier1の主要部分を「普通株」と「内部留保」とすることが決まっている。 その規制に従えば、2度の大型増資に踏み切った三菱UFJフィナンシャルグ ループと三井住友フィナンシャルグループのTier1は、6〜7%に達するのに 対し、 みずほFGのそれは3.8%で、8000億円増資でも1.4%の積み上げで5. 2%。これでは、国際的に活動するインターナショナルバンクの要件は満たせ ない。 ところが、記者会見に出席したみずほFGの塚本隆史社長は、「現時点での追 加増資は考えていない」と、さらなる自己資本の充実を否定した。 増資しないのであれば、収益力を大幅に引き上げるしかないのだが、日暮れて 道は遠い。 中期計画では、2012年度に5000億円の最終利益を上げることになって いるが、 「みずほコーポレート銀行とみずほ銀行の非効率な2行制は収益力アップにつ ながらない」(金融庁幹部)と、誰もが口を揃える。 だが、それを阻むのも旧3行の呉越同舟が習い性となった幹部たちなのである。 『日経新聞』(5月15日付)は、行内のこんな声を掲載していた。 「顧客の特性に合わせて営業活動を展開するには、今のツーバンク制が最善」 トップから中堅まで、改革の意思はまるで感じられず、あるのは自己保身のみ。 サプライズを打ち出せないみずほFGは、8000億円増資に3会長の退任で も、国内メガバンクとしてささやかに生きていくしかない。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』のご購読は、本誌がお取 次ぎをします。無料で見本誌をお送りします。お申し出ください。 【お知らせ】 ■6月18日(金) 第27回社内広報サロン 「トップ・役員登場企画を考える」を開催■ 社内報担当者や社内広報に携わる方のための 「学び」と「交流」の場・社内広報サロン。 次回のテーマは「トップ・役員登場企画を考える」です。 経営方針の浸透のみならず、トップや役員の思いや人となりを知ってもらい、 従業員との距離を少しでも近づけるには、どんな手法・展開・巻き込み方があ るのでしょうか。 さまざまな切り口から「トップ・役員登場企画」について、みなさんと考えて いきます。 【開催日時】 6月18日(金) 18時30分〜21時(18時開場) 【開催場所】 株式会社ナナ・コーポレート・コミュニケーション会議室 http://www.nana-cc.com/corporate/map.html 【参加費】 2000円/1名 ※飲み物・軽食付き 【お申し込み方法】 コミサポネットにアクセス! http://www.commu-suppo.net/ ※お申し込み用紙をダウンロードして 下記連絡先にFAXでお申し込みください。 【お問い合わせ先】 ナナ総合コミュニケーション研究所 担当:古屋(furuya@nana-cc.com)、大橋(ohashi@nana-cc.com) 〒160-0022 新宿区新宿1-26-6 新宿加藤ビルディング5F tel:03-5312-7471 fax:03-5312-7475 【本誌おすすめの図書】 あらゆるビジネスシーンで使える 「どうしようかな……」を「なるほど!」に変えてゆく コミュニケーションテクのすべて。 『心動かす交渉術』 〜顧客リピート率95% トップクラスのヘッドハンターが使う交渉術〜 【著者】小松俊明 【価格】定価(本体1,300円+税) 詳細、購入はこちら⇒http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901491970 【本誌おすすめの映画祭】 “知らなかった世界がここにある”『第7回東京平和映画祭』 マイケル・ムーア監督『キャピタリズム マネーは踊る』、 サム・ボッゾ監督『ブルーゴールド―狙われた水の真実』、 小林アツシ監督『どうするアンポ?〜日米同盟と私たちの未来〜』 など10作品と講演など 6月19,20日の2日間でお届けします。 詳細、チケット購入はHP⇒http://www.peacefilm.net/ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2010年6月2日 第534号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |